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サリーとパリィ

サリーとパリィは、娘が2、3歳の頃にやってきた。

電話のオモチャでおしゃべりする娘に、誰と話しているの?と聞いたら、
「サリーとパリィだよ。」
と答え、電話で用件をテキパキと伝えていた。

ドラッグストアの帰り道、
「サリーとパリィは、ここのおみせのてんじょうからおりてきて、ついてきて、ずっとおともだちなんだよ、いまもいるよ。」
と、教えてくれた。
ほう。こわい。正直そう思ったけど、そうなんだね、よかったね、お世話になります、と、二人がいそうなところを見て軽く挨拶をした。

私にサリーとパリィは見えない。ちょっとビビってる私をおもしろがるように、娘はニヤけながらサリーとパリィはここにいるよ、きょうはどこかにいっちゃった、きょうはサリーだけだよ、とか言う。
サリーは男の子でパリィは女の子、たまに逆になることもあるし、たまに動物だったりもする。

【イマジナリーフレンド】
ひとりっこによく現れる空想の遊び友達。


調べてみたら、そんなことをかいてあり、けっこうアルアルみたいだ。
サリーとパリィにもおやつを分けている娘を見て、いいもんだなぁと3人の友情を嬉しく思っていたのだが、幼稚園生になって、現実のお友達が増えていくごとにサリーとパリィはだんだんと現れなくなった。

現在11歳の娘に、サリーとパリィのことを聞いたら、ちゃんと覚えていた。
「チップとデール」みたいな「ぐりとぐら」みたいな「サリーとパリィ」だったらしい。人間じゃなく、大きめの小動物っぽかったことが判明した。しかもふわふわと浮いていたらしい。

なんであれ、ひとりっこで多少寂しかったのであろう娘の幼児生活を豊かにしてくれたサリーとパリィ。私もひと目お会いしてお礼を言いたかったな。

でもひょっとしたら、サリーとパリィは娘にも見えなくなってしまっただけで、すぐ横でふたり、ちょこんと座って娘をつっついているのかもしれない。
飼い猫が急に走り暴れ出す、その先にサリーとパリィがいたずらに笑っているのが見えた気がした。


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