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コウノトリが運んできたものとは?  視察~豊岡市と城崎温泉~

少し日数は経ってしまいましたが、先日兵庫県の豊岡市と城崎温泉を訪れ、そこで提供されているサステイナブルとエコツーリズムコンテンツを視察して参りました。

城崎温泉は、日本国内の中でも知名度の高い温泉地であり、京都から電車で3時間という好立地なエリアでもあります。今回の視察では、温泉街そのものにフォーカスを置いておらず、その地域の農業が支えるエコシステムを中心にしたものでした。

最新モダンの農業方法と農薬についてお話しする前に、このエリアの複雑な生態系は、魚、蛙、昆虫、齧歯動物、また蛇までも食する雑食性のコウノトリが多くの割合を占めています。1971年、野生のコウノトリは、生息地の消失、農薬使用、乱獲によって絶滅の危機を迎えていましたが、2007年には繁殖されていた飼育中の鳥から初めて子どもを確認します。

私たちは、そのイニシアチブについて、そしてなぜコウノトリがそもそも絶滅しかけたのかを探るために、兵庫県立コウノトリの郷公園を訪れました。資料館には英語表記のある部分もありましたが、何かドライで無感動な印象を抱きました。

次の訪問先である豊岡市立ハチゴロウの戸島湿地は、はるかに魅力的な場所でした。長靴を着用し、真新しい鎌を手に湿地を進みます。そこでは、コウノトリの餌を育むより良い環境を作るために、水辺の長い葦を切っていきます。機械ではなく手で刈り取っていくことで小さな生き物を逃がすことが出来るため、エコシステム全体にいい影響を与えているのだそうです。落ち着いた時間、地元住民の方々とのコネクション、そして環境に少しでもいいことをしたという感覚は、非常に忘れがたく、価値のある旅の一部となりました。

コウノトリのより良い環境のためを管理するために、低収量なオーガニック米の栽培(価格も通常より高く設定)へと移行した農家も現れだしました。実はこれをすることによって、水田により長く水を貯めておくことができ、つまり蛙やその他生き物たちも繁栄していくという意味になります。

農家間との合意形態を築いていくことは、簡単ではありません。中には、育てている作物に鳥たちが来ることを嫌う農家もいるからです。この件に関して簡単に受け止められがちですが、サステイナブルな仕組みを作ることがいかに難しいことなのかという価値あるレッスンを学ぶことが出来るでしょう。

今回私が視察したプログラム全体は、思うところが多くありました。バードウォッチャーや環境保護活動家といったセグメントに響きやすいのでしょうが、より多くの人々に伝わる分かりやすいストーリーの必要性を強く感じました。

ロケーション同士を繋ぐ城崎温泉もまた同様で、コウノトリとの関係性と繋がるストーリーが必要です。しかし総合的に見て、ロケーションが上手く活用されていること、またストーリーが効果的に伝えられていれば、関西エリアへの旅行にプラスされるスポットになる可能性はあると感じました。

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