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お金は使うほど不幸になる。

お金は使うほど不幸になる。

スーパーで美味しいけど50円高い味噌ラーメンスープを買うと彼女にふられるし、友達の誕生日に欲しがっていたガンプラをプレゼントすると決まって犬のうんこを踏む。

子どものころ高くて買えなくてずっとやりたかったゲームを買うと、店を出た直後暴走したトラックにひかれて異世界に悪魔の奴隷として転生してしまい「貴様は欲しかったゲームを買うために金を使った。その罪は重い。その代償に一生丸太を運び続けるのだ。ぐははははは。ゲーム?それなら安心しろ。代わりクリアしてメルカリで出品しておいてやるわ」と言われてしまうだろう。


「何言ってんねんこいつ」と自分でも書きながら思った。

だけどここまで極端なことはなくても、お金を使うと「何か苦しい状況に陥ってしまうのではないか」という漠然とした不安が押し寄せ、支払いをするたび魚の内臓を噛み潰したような苦味に顔をしかめてしまうのだ。

その反面、高校生の時に15万円のギターを一括で買ったり、毎日スタジオに行くと大変だからと工具と木材を買い家の中に防音室を作ったりと必要だと感じたものに思い切った決断する面もある。今は貯めたお金を全て音楽の勉強時間に投資している。

結果後悔したことはほとんどないし、後に費用を思い出すこともない。

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「今年の抱負」というものがある。

人生で一度も達成したことがないどころか、意気込んだ1ヶ月後には存在さえ忘れ去っている人がほとんどのアレだ。2020年、僕はそこに「幸せにお金を使う」を設定した。

今までと違ったのは1年スパンの大きな目標ではなくて、忘れてもいいからできるだけ思い出したり意識したりする日々の小さな目標として実行するようにしたことだ。

コツコツ思考を巡らせていると当然疑問が湧いてきたり関連するものが気になってきたりする。ある日時間潰しで入った本屋で「happy money」という表紙が目についた。失礼ながら今冷静に考えるとレジに持っていくのが恥ずかしくなるタイトルだ。

明らかに金運が上がりそうな真っ黄色の装飾だし、よく見ると帯に「世界的ベストセラーの予感」と書いてある。予感かーい!と突っ込みつつその時は「ベストセラーなんだ」と都合のいい部分しか見えなかったことに脳みその都合よさを感じずにはいられない。

「1600円です。(うわー、こいつめっちゃ金に悩んでるやん。こういう本買う奴が金持ちになったの見たことないわ)」と思われるかもしれないという被害妄想を押しのけ手にしたhappy moneyにはこんなことが書かれていた。

お金に対するネガティブな考えや思い込みー「お金は悪だ」「お金は修羅場を生み出す」「人生でうまくいっていないことは、お金が原因だ」といった考えーを持ち続けているなら、そうした内面でのつぶやきが、いずれあなたの外面の人生に確実に反映することになるでしょう。
私たちがこれまで受け入れてきたお金についての考え方のほとんどは、両親や祖父母の影響を受けたものです。


思い返してみればおかんはよく「世の中金が全て」と言っていた。それはお金がないと幸せにはなれない、つまり「お金が減ると不幸になっていく」という考えだったのだ。

それを聞いた僕は「世の中はお金じゃない、気持ちなんだ!」と反発する思考を持つようになっていた。バネを引っ張って離すと反動で縮むようにお金のことを考えないようにすることもフラットなものではなかった。

整体で体をまっすぐに矯正する時も歪みと反対の方向に曲げるのではなく正しい姿勢を記憶させるような背術をされる。反発もまた歪みなのだ。

新たな価値観を発見できて、店員さんになんと思われていようがこの本を買ってよかったと思えた。

おかしな話だけどhappy money を買うためにお金を使うことを躊躇していた。そしてもうお分かりの通りお金を使っても不幸にはならなかった。

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このnoteは岸田奈美さんの #キナリ杯 へのエントリー記事だ。

初めは気になってはいたものの自分の文章がたくさんの人の中から選ばれる自信もなかったしやめておこうと思っていた。だけど心のどこかでずっと引っかかっていた。


先日家賃を払いにいく時に口癖のように「あ〜払いたくない」と言っていることに気がつき今年の抱負を思い出した。

「幸せにお金を使う」とイメージした途端に「深夜にレコーディングもできて深夜に大声で配信もできる防音室があって、もうすぐグリーンバックも届くから簡単な映像ぐらいなら作れるようになるこの家にありがとうってお金を払うの全然嫌じゃなくない?」と自分でもびっくりする考えが出てきた。

同時にキナリ杯が気になっていた謎が解けた。

私は私のために、おもしろい文章を書く人へ10万円を使います!イエ〜〜〜〜〜〜イ!!!!!!!!ドンドンパフパフゥ〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!誰にもなにも言わせねえ〜〜〜〜〜〜!!!!!!私の桃源郷〜〜〜〜〜!!!!!

ああ、そうか。この人はまさしく幸せにお金を使っていてそれが羨ましかったり格好良く見えたんだ。

どんなに忙しくても好きな人に誘われたら予定をこじ空けるように人間は本当にやりたいことはなんとかやろうとするもの。お金と幸せという熱を持ったテーマが見つかったことでエントリーしないための言い訳は全て吹っ飛んだ。

僕は賞金が欲しい。めっちゃ欲しい。同じぐらい賞金がなくても岸田さんの企画でこのテーマで文章を書きたい。どっちかじゃない。どっちも歪みのない本心だ。

もし賞金を手にできたら思い切り幸せのために使ってやろうと思う。肉もいいな。漫画もいいし機材でもいいな。さらなる勉強時間に当てるのもいいし、習い事をするのもいい。

青い鳥は一度探し始めると見えなくなってしまう。だけどチルチルとミチルは旅をして広い世界に触れることで家の中にいたのを知ることができた。そんな風にまずは迷ったり失敗したりしながらも幸せにお金を使おうとする旅をたくさんしたい。

いつかウキウキであの味噌ラーメンスープをまとめ買いしてズルズルと幸せをすすってやるのだ。

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