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能登半島地震 経済への影響は?

能登半島地震で犠牲となられた方にお悔やみ申し上げます。被災されました皆様にも心よりお見舞い申し上げます。

安否不明者もなお多い状況で心苦しい限りですが、建物など被害の状況はまとまってきました。経済の視点でどういう影響があるのか伝えることも意義があろうかと思います。現時点の報道やエコノミストの分析を踏まえ、地震の経済への影響をお伝えします。

◆ 建物被害、1万以上も

建物の全壊・損壊の数はまだ全容が明らかになっていません。

NHKによると、民間測量会社「パスコ」の人工衛星の分析で、被害を受けた建物は5000近くに達するとのことです。1万を大きく上回るとの見方もあります。

エコノミストも粗い試算を進めていますが、数千億円~2兆円程度の範囲で見積もる推計が多いようです。名目GDPの0.1~0.4%程度にあたります。

建物など資産の被害だけでなく、経済活動が停滞する影響もあります。

こちらもかなり幅がありますが、数百億円ほどGDPを押し下げるとみられています。日本全体のGDPの0.01%程度となります。今後は復興需要も見込まれます。

震災は大変厳しいものではありますが、日本経済全体のGDPという面ではものすごく大きく落ち込むほどのショックではないとの評価が多くなっています。

◆ 東日本大震災との違いは

内閣府は2011年6月に、東日本大震災での道路や住宅などの直接的な被害は16.9兆円との推計をだしました。原発事故やその波及は含まれていません。

直接の被害という意味では、能登半島地震は東日本大震災の5-10%前後と計算できます。

そして、東日本大震災は地震による直接の被害だけではありません。代表的なものを箇条書きすると…

  • 原発事故および周辺への被害

  • 電力不足により工場稼働などに制約

  • 地域によっては、津波でインフラごと壊滅的な被害が生じ、産業施設や生活基盤も破壊

  • 物資や資材の輸送や人の移動も滞り、経済活動に制約

  • 自粛ムードが強まり、個人消費が停滞

地震が建物などに物理的な被害をもたらしただけでなく、多くの重たい要因が重なりました。

広域に及んだことで、モノをつくるサプライチェーンの寸断も起こりました。幅広い地域で、飲料水など必需品が手に入りにくい状況にもなりました。

能登半島地震も被災は深刻です。ただ、東日本大震災とは地震の規模だけでなく、原発・サプライチェーンなど様々な側面で経済への影響はかなり異なるといえます。


いまなお安否不明者は多く、復興にも時間を要します。

微力ながら、noteの収入の一部を災害義援金(被災地全域)として振り込みました。復興が進み、被害が少しでも和らぐことを祈っております

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