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【速報・解説】日銀、金融緩和を維持

◆現状維持

日銀は17日、金融政策の現状維持を決めました。注目されたイールドカーブ・コントロールは従来通り、10年債金利は0.25%を上限に「0%程度」となるよう誘導します。0.25%で無制限に10年物国債を購入する「指値オペ」も継続し、これまで同様、原則として連日実施します。

◆「為替」注視

公表文終盤、「金融・為替市場の動向やそのわが国経済・物価への影響を、十分注視する必要がある」というくだりで、「為替市場」という文言が新たに加わりました。最近の急速な円安に一定の警戒感をにじませたことで、今後さらに円安が進んだ場合には対応しうるとのメッセージとなる可能性もあります。

◆「緩和修正」、今後の示唆もなく

物価目標の達成まで金融緩和を続ける方針はまったく修正せず、「必要なら躊躇なく追加緩和する」の文言も堅持しました。ETFなど資産購入の方針も前回と同様です。公表文では今後の修正検討を示唆する文言もありませんでした。

◆発表直後、円安 & 株高

金融市場ではここ数日、「金融緩和を修正するのではないか」との思惑が一部にありましたが、現状維持だったことで為替市場では円安・ドル高が進みました。日経平均先物は発表前後で200円ほど上昇する場面もありましたが、その直後に半分あまりを戻しました。

▼公表文のリンク
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2022/k220617a.pdf

◆黒田総裁会見 主な発言

冒頭は金融政策の現状維持を決めた旨、および日銀の基本的な経済シナリオを説明しています。

(Q 「家計の値上げ許容度」発言について)自主的に値上げを受け入れているわけではなく、苦渋の選択として受け入れていると認識している。

債券市場では米欧の金利上昇を背景に金利上昇圧力が生じている。金融調節方針と整合的なイールドカーブが形成されるよう、先物市場に対応する7年ゾーンを対象に連続指値オペの対応を実施。先物市場では投機的な動きが続き、流動性が低下し、裁定取引が働きにくいこともあり、現物市場と先物市場の乖離やボラティリティーの高まりが生じていることは認識している

足元で長期国債先物に強い売り圧力がみられる中で金利上昇圧力があり、そのゾーンを対象とするチーペストへの連続指値オペの対応を実施した。今後も10年金利が0%程度で推移し、それ以外のゾーンもおおむね整合的なイールドカーブが実現するよう指値オペや国債買い入れ金額の増額など必要な措置を実施していく。

為替レートは経済金融のファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが好ましい。急速な円安はそういうことに反している。経済にマイナスになる。今後も金融為替市場の動向はよく注視していく必要がある。欧米で長期金利がかなり急速に上昇している。日本の金利にもインパクトを与えてきた。急速な為替変動は企業の計画策定に大きな不確実性をもたらす。いまのところ企業収益は高水準、設備投資も全体としてしっかりしている。直ちに為替の変動が企業の心理に大きな影響を与えたわけではない

躊躇なく金融のさらなる緩和をする用意がある。経済に一部弱めの動きもあるが、消費が回復しつつある。設備投資もしっかりした動きをしている。今の時点でさらなる金融緩和をすべきではない。

欧米金利の動きに起因する金利上昇圧力がかかる中で、変動幅の上限を引き上げれば、長期金利は0.25%を超えて上昇し、金融緩和効果は弱まるため、そういうことをやろうと考えていない

(Q公表文に「金融為替市場を注視する」とある。どうするのか)過去数週間、やや急速な為替の変動が起こったことは好ましくない。ただ、為替レートをターゲットに金融政策を運営している国はない。あくまで金融政策は物価の安定ということだ。為替が経済物価に影響を与えるのは事実なので注視していく。

(Q政策の点検の必要性はあるか)イールドカーブコントロール等の金融政策については昨年3月に点検し、様々な調整を加えている。現時点でさらなる点検が必要と考えていない。毎回の会合で金融政策の効果や経済物価の展望を十分議論し、対応していく

いまの物価上昇はコストプッシュ型のインフレ。日本の交易条件が悪化し、所得が海外に流出するかたちで起こっており、我々が目指している物価上昇とは異なる。経済がしっかりと回復し、賃金が本格的に上昇していくかたちで物価目標が達成するよう努力せねばならない。

海外の金利上昇を受け、一部日銀が金融政策になんらかの変更を加えるとの思惑もあり、0.25%を上回ったようだが、ごくわずかのこと。いまは0.25%以内に収まっている。欧米の金利上昇が急速だったことで影響は出たが、様々なオペの工夫でしっかりしたイールドカーブが形成できると考えている。(債券)先物市場が大きく動き、流動性低下が起きているといわれている。適切な対応をとっていく。十分注視する。

▼ 下記リンクは今朝配信したプレビューです。背景確認にどうぞ!

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