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【3分解説】First Republic破綻

米銀First Republicの破綻が話題になりました。ただ、「話に追いつくのが、なんかめんどくさそう」「結局、マーケットは荒れてないんでしょ」という方も多いかと思います。そういう方向けに「これだけおさえておけば、とりあえずOK」という3分解説です。

まず、First Republicの株価チャート

厳しいチャートですが、大きく2度の急落があります。1つめは3/10前後。米銀シリコンバレーバンク(SVB)が破綻し、ほかの銀行の経営にも不安が広がりました。

もう一つがこの1週間ほどの出来事です。4/24の決算発表が衝撃を与えました。

◆ 預金が急減

1-3月のうちに預金が41%も減っていたのです。

銀行は集めた預金を、融資や証券投資にまわして収益を得るビジネスモデルです。急激に預金が引き出されると、融資を貸しはがしたり、証券を無理やり売却してでも資金を捻出せねばなりません。短期間での41%減は、資産売却も追いつかない事態です。

一気に経営不安が広がり、株価は急落、破綻に追い込まれました。総資産は2000億ドル超で、アメリカ史上2番目に大きな銀行破綻となりました。

◆ 重なる構図

SVBの破綻も、預金者が「預金がなくなるかも」と心配し、預金の引き出しが殺到し、破綻しました。そして、国民の間で「同じようなことが起こるかもしれない」という疑心暗鬼が拭えず、ほかの銀行にも預金引き出しが波及したかたちです。

先ほどのグラフにあるようFirst Republicの預金はこの数年で急増しました。そして、当局に保護された預金の割合が少なく、この1年の金利上昇で資産の含み損も増えていました。破綻したSVBと構図が重なり、取り付けのターゲットになりやすい条件がそろっていたわけです。

▽SVB破綻については下記をご参照

◆ 救世主 JPモルガン

First Republicはいったん公的管理下に入ったうえで、米銀JPモルガンチェースが買収することになりました。預金も含めて買い取るため、預金者からするとひとまず安心です。

JPMは米銀最大手で、CEOのジェイミー・ダイモン氏は金融業界で極めて影響力の大きい人物です(下記記事ご参照)。米銀行システム全体を守る観点から、ほかの米銀とともに3月にFirst Republicへ預金するという異例の救済措置も主導しました。

今回の買収は政府が促した面があります。仮に預金が大量に流出したままで、公的部門での処理するとなると、多額の預金保険を支払わねばなりません。ダイモンCEOは「預金保険基金のコストを最小化する方法で、取引できた」とコメントしています。

◆ 今後は?マーケットへの影響は?

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