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5人の敵がいる

2015/1/4 記

 正月のジャンキー烈伝最終日は、ヨガのインストラクター大ちゃんの話だ。
 インドを始めヨガの修業で世界を渡り歩く大ちゃん。草はプロでも薬にヨレる。彼が苦しむのは幻聴で、これまたあまり類の無い複数人登場するパターン。
 多くの幻聴の相手はひとりで本人の気に障る事を言って話掛けて来るものだが、彼の場合は5人居て、リーダーは女。それがコソコソ悪口をささやき合うらしい。
 ひとりで薬を使用してひと晩も寝ないでいたら、例の男たちが、”こいつはひとりでやること何もないのかネ” ”ああ、女もいねェしな” ”この前フラれたからか情けねェ” ”いや、こいつまだ好きなんだぜ” ”あの娘はもう男いるよ”・・・てな具合だ。布団をかぶっても、押し入れに閉じ籠っても声は聞こえて来る。(あたり前だよ。頭の中で聞こえてるんだから)。  しばらくして聞こえなくなったので大ちゃんオナニーしようとしたところ、”オイオイ。あいつ始めるぜ” ”えっ?またかよ” ”このヤロウそれしかやることねーのか”と言って全員で、”チーンコ!チーンコ!それっチーンコ!”の大合唱でその音響も耳をつんざくばかりに上がるらしい。
 ふざけた幻聴だろ。笑ったよ。
 しかし本人は至って大真面目に語る。そのうちリーダー格の女が、”やめなよ”と制してくれて、彼女だけは少々大ちゃんの味方らしい。意を決して女に話し掛けると女はきちんと相談に乗ってくれるという。
 この相談してる時点で様子はおかしく、家族に通報されて初犯務めてるんだナ。その後瞑想するようになると幻聴はしなくなっていったという。そこからヨガにのめり込んで今ではインストラクターになるところまで達した。
 ところがそれで油断したのかある日幻聴は突然MAXの状態で現れた。フラッシュバックだ。なぜかこれは過去の一番ひどかった時の状態で現れるのが特徴なのでやっかいだ。
 おかしいと気付いた父親が『大丈夫か』と聞くと、うなずくもののそのうち我慢できず外へ飛び出して騒ぎ出し、通報され2度目の懲役へ。この時『大丈夫』かと言った親父さんの心中を思うと切ないものがある。
 大ちゃんも幻聴止めるための修業より、薬止める修業した方が良いと思うのだけどネ。

PS
大ちゃん、今もインストラクターなってるか、インドで馬鹿野郎になってるかのどっちかだな。

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