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このことが無かったら五足のくつはできなかったに違いない その19.

2012年11月に南米・ペルー、マチュピチュの遺跡にて。
旅をしている間の24時間と日常の24時間は違う。
時間の感覚も移動する距離や時間に比例しているように思う。

その19.『二週間ごとの上京』

アルバイトやパートの人たちは、当初、
我々を乗っ取り屋のように理解しているらしかった。
どうも前の店長がそういう説明をしており、
先入観を植え付けられているようだった。
だが、話してみると皆いい人たちで、 弟も安心したようだった。

私は、二週間毎に上京する生活が始まった。
この生活を何年か続けたことで ある気づきを得ることができた。
それは、移動する距離や時間に比例して
意識が肯定的になるということだ。

例えば、長期の外国旅行などをして帰国し職場に戻ると、
なにか言い争いをしている同僚がいるとする。
その問題が、旅行前の自分には
確かに 言い争いをするに値する問題であると思っていたのに
旅から戻ってその風景を見ると、些細な問題でしかない、
というようなことだ。

私にとっての当時の大問題は、
新たに自分の宿を造れるかどうか、ということだった。
そして、いい情報はなにもなく、
もう無理かというような時を過ごしていたが、
この上京を繰り返すことが、私の意識を肯定的にすることに役立った。
また、このことは、旅の意義や、
それに関わる宿というものの大切さを知ることにもつながった。

ラーメン店の経営は順調だった。
1年ほど続けた1994年の冬に
角川書店の「東京ウォーカー」という雑誌の
「東京近郊でおいしいラーメン店」 という
特集記事の取材を受けることとなった。
これが、このラーメン店のみならず、
伊賀屋の売り上げをさらにアップさせることとなる。

 

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