「再考察・飯島真理〜天才シンガーソングライター〜」
「はじめまして。リン・ミンメイです。」
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第一印象、及び最初のイメージを払拭するには、倍以上の時間がかかるものだ。
最初から相手の事など分かる筈もなく、ましてや話した事もない人に
『イメージと違う』なんて言われる筋合いも無い。
しかし我々の住むこの世界は、個人による【自分の尺度】で形成されているのだ。 曖昧な『社会』の名の下で・・・。
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天才シンガーソングライター『飯島真理』
そのデビューは本当にセンセーショナルなものであった。
万全の体制で製作されたSF超大作アニメーション
【超時空要塞マクロス】に於ける、ヒロイン・『リン・ミンメイ』を演じつつ、現実世界でも、作劇中での人気アイドルそのものの活動をするという、前代未聞の活躍ぶりにファンは魅了された。
キュートなルックスと、コケティッシュな声質も人気の素だ。
実は作詞、作曲もこなす、名シンガーソングライターなのだが、ファンは彼女の裏側の『リン・ミンメイ』の姿を追う。
それでも最初は良かったのだが・・・。
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【超時空要塞マクロス】のストーリーが進むにつれ、彼女が演じていた
『リン・ミンメイ』の動向に異変が見られるようになっていく。
主人公とのラブストーリーを予想していたミンメイ・ファン、
及び視聴者は、予想を裏切られ驚愕&怒涛の嵐。
劇中に於ける『リン・ミンメイ』の性格の未熟さを、飯島真理へと直接投影していったのだった。
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元々優れた資質を持っていた彼女は、本来の夢であったコンポーザーとしての道を進めば良かったのだ。山下達郎、吉田美奈子、大貫妙子、坂本龍一・・・憧れのアーティストとの仕事を通じて、更にソングライティングの腕を磨く。
だが。
劇場版【超時空要塞マクロス】
『愛、おぼえていますか』 1984年
この作品は飯島真理の作詞・作曲では無い。
『作詞・安井かずみ 作曲・加藤和彦』
最強コンビの作品だ。
もちろん大ヒットした作品なので、ご存知の方も多い事でしょう。
『自作曲ではないヒット曲』を歌い、アニメファンからは『酷い女』と揶揄された。
気が付けばイメージは急降下し、その結果として自身の裏側に居る 『リン・ミンメイ』を否定した。
『愛・おぼえていますか』を歌わない時もあった程だ。
しかし彼女は、大ヒット曲こそ無いものの、クオリティの高い作品を次々と生み出し、業界で更に高い評価を得、渡米。
その本拠地をアメリカ西海岸に移した。
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『リン・ミンメイ』の幻から解放されたのか、2000年代以降は海外のアニメ・コンベンションなどでも、『愛・おぼえていますか』を披露する姿が見られる様になった。
【最初のイメージを払拭する】のに、かなりの時間を要したが、『否定するのではなく、肯定し、共存する』事を選んだ事により、表情が柔らかくなった気がする。
そこには『リン・ミンメイ』をも内包した飯島真理の姿があった。
今日も世界の何処かで、『マクロス・・・ロボテック(Robotech)』
を初めて観る人が居る。
英語版のヒロインの声は、もちろん飯島真理。本人による英語吹替だ。
他に誰が居る?
「はじめまして。リン・ミンメイです。」
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