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私の名は

大宮近辺での仕事を終えた。これから東京都内へ帰る。

今回は、原付に乗って仕事に来た。原付を走らせ、高架橋か何かの下の、少しトンネルのようになったところに入る。
もう、夕方となり、薄暗くなって来ている為、トンネルの中はかなり暗い。後方に、ライトを点けた自転車が走行しているのが分かる。

トンネルを抜けたところに、交差点がある。ここを左折する。左側に、三、四階建てのカラオケや居酒屋の入ったビルが見える。

左折して入った幹線道路を、ずっと南下して行く。この道をこのまま進んで行けば都内だ。

橋を越えて、下り坂を一気に駆け降りる。このあたりから都内だ。橋から下り切ったところにある信号を、左へ曲がった方に幹線道路は続いているが、ここで、直進して、細い生活道路に入った。

信号を二つくらい過ぎたところで、右側の、砂利を敷き詰めた駐車場へ入った。
薄暗くなって来たのに、原付のライトが点いていないようなので、どうなっているのか、確かめる為だ。

砂利の駐車場は結構広い。十台くらい停められるだろうか。今は、3台ばかり停まっている。
その内の一台のドアが開いたままで、その傍らに、運転者と思われるオッサンが立っている。

さて、原付を調べてみたが、どこがどうライトに関係しているのか、よく分からない。
というより、この原付、見れば見る程奇妙だ。前面に、自転車のようにカゴが付いているのはいいのだが、車体をよく見ていると、水色の、明らかに自転車のものと思われるフレームが合体している。

先程まで、走行していた時には、こんなフレームはなかった。何だかおかしい。第一、この水色のフレームは、私が毎日乗っている自転車のものだ。一体どうなっているのか。

何だかおかしいけれども、とりあえず、原付を曳いて、180度向きを変え、幹線道路へ戻ろうとした。
そうして前を見てみれば、いつの間にか、駐車場に車が増えていて、入口あたりに、五台くらい固まって止まっている。
これでは、原付を曳いて駐車場から出るのが難しいかもしれない。

それにしても、先程から、おかしなことばかり起こる。
そうだ、何かおかしい。これは本当に現実なのか?!これは夢じゃないのか。

そもそも、私の名前は何だ。
私の名は……。

梅津和夫。

そうだ、私の名は、梅津和夫だ。
私は、梅津和夫だ。

……。
……。
……。

……そうか?私はそんな名前だったか?
私は梅津和夫なんかじゃないんじゃないか。

やはり、これは夢だ。
私は誰だ。私は……。

ここで、目が覚めた。
私の名は、もちろん梅津和夫ではない。本名はもちろんのこと、ペンネームや、その他今まで使ったハンドルネーム等、様々な自称でも、そんな名前は少しもかすってすらいない。

なお、水色のフレームの自転車というのは、実際に私が所持しているものである。

そう、こんな。これは、今年の一月、大雪が降った際に撮影したものである。

こちらは、今年の七月、沖縄の慶良間諸島・阿嘉島でレンタルした原付。夢で見たのは、この二つが合体したようなイメージである。

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