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恐怖によるパニック発作を抑える習慣

パニック発作は「怖がる」ことが問題なわけではなく、怖がったときに発作が起きるということが問題になります。では何が発作を起こしているのかというと、脳にある扁桃体という場所が関係します。

扁桃体は何をしているか

この扁桃体は生命に危険が迫っているかどうかを感知するセンサーです。脳の深いところに存在していてアーモンドのような形をしているようです。扁桃体が危険を感知すると、生命を守るため身体には「闘争or闘争」の反応を引き起こします。自律神経に「血圧上げよ!心拍上げよ!筋肉緊張せよ!」と命令するのです。

ですから通常でも怖がると血圧、心拍数、呼吸数は上がり、筋肉は緊張します。ジェットコースターの落ちる直前は、心臓はバクバク、呼吸は浅く、場合によってはふるえも起こりますよね。

しかし、パニック発作の時はより急激で過剰です。ある研究で、不快なワードを聞かされてどれだけ扁桃体が活性化するかをMRIで見てみる実験をしました。するとパニック障害の人は他の人たちに比べ扁桃体をより強力に活動させていることが判明しました。
パニック障害がある人が怖い想いをすると扁桃体はオーバーリアクションぎみに「血圧上げよ!心拍上げよ!筋肉緊張せよ!」と命令します。すると自律神経は間に受けてブッ飛んだ身体反応を起こして発作になってしまうのです。

そこで扁桃体のリアクションを再教育することが必要になります。つまりオーバーリアクションを落ち着かせる教育をしていくのです。

扁桃体のリアクションを落ち着かせるには、脳のある部位が活躍します。それが前頭前野。

前頭前野は扁桃体の活動を抑制してくれます。前頭前野は「考える」「記憶する」「創造する」など知的分野を担当し、人間が理性的でいるための部位です。

この前頭前野を育てることによって、扁桃体のリアクションも再教育されます。幸いなことに大人になってもこの前頭前野は成長可能であるという事が確認されています。

では、どうすれば前頭前野を育てることができるのでしょうか?

いくつか方法があるのですが、ここではエモーショナル・ジャーナルという技を紹介します。実際に当院では患者さんと一緒に実践して効果を発揮しています。 


目的 :
自分の心と向き合う練習をする。現在自分の心の状態を感じ取る力、感じ取ったものを推論する力、推論したものを言語化する力を育む。


必要なモノ:ノート、ペン


所要時間 :5〜10分


やり方 :
1. 深呼吸を三回してください。二秒吸って、四秒吐きます。

2. 静かに目を閉じてください。

3. 心の奥底にいる、感情を観察してください。

4. 目を開けてください。

5. さて、どんな気分、どんな感情だったでしょうか?言葉で表してみましょう。(わからなければ1~3の手順に戻ってもう一度観察してもよい)

6. どんな出来事、考え事がその感情にさせているのか記述してみましょう。

これは自分の感情を感じとり、それを言葉としてつむぎ出し、書き留める、書き留めたものを客観的に眺める、という事を練習します。本来、感情というのは本能的な反応です。私たちはなぜかわからないけど涙があふれたり、はらわたが煮えくり返ったり、嬉しくてニヤけたり、不安で落ち着かなくなったりしています。それを「どうして私はそういう感情になったのかな」と考え、言語化して表現することは前頭前野を使う作業になります。つまり前頭前野のトレーニングになるのです。

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