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革の鞄はアルコールで拭くべからず

この鞄は数年前に、キソラにてセミオーダーした鞄だ。

A4の書類も入るので、重宝していたが、在宅勤務でPCを持ち帰ることが増えたのと同時に利用頻度は低くなった。革素材で作られていて、PCを収納するとちょっと重く、持ち歩きが大変だからだ。

しかし、夏の間ハンガーポールにかけっ放しにしていたら、少しカビがついてしまっていた。アルコールを湿らせた布でカビを除去できた。ところが、却って拭いた部分がシミになってしまった。

捨てるしかないのか・・・と諦めかけたところ、染め直しのサービスをしてくれるお店が県内にあるという。写真を添えて見積りをお願いしたところ、こんな返答が帰ってきた。

「革にアルコールが付着したことで成分が浸透し、揮発時に革に含まれている染料や油分、可塑剤(柔軟化成分の総称)という成分を浮かせてしまうことで、塗膜が剥がれたようにシミや色落ちが発生しています。
特にタンニン鞣しのような繊細な革は元々風合いの変化を出やすいような染色が施されているとこもあってアルコールによるダメージが大きい素材です。
浸透したアルコールが満遍なく染まってる部分に深く浸透し、色素を含んだ構成成分を表層に浮き上がらせて固着することで色が濃く染まって見えてしまいます。」

ガーン!!
実はこのコロナ禍で同じ事象があちこちで起こっているらしく、注意喚起をしていたそう。

一方でこんな意見もいただいた。

「今のシミやムラも、味のある使い込んだ風合いに見えて非常にカッコイイと思えるんです。(どうしてもシミは目立ってしまいますが。。。)」


上記の助言を頂き、トータルで10000円ほどかかることもあり、散々迷ったけど、クリーニングと今後のエイジングに向けた加工をお願いする事に。

そして1週間後、鞄は無事に帰ってきた。シミ自体は取れないものの、カビを除去する処置は、周りの鞄へのカビ伝染を避けることができるし、心なしか味が出た気がする。


店頭で対応いただいた店員さんの革への愛情たっぷりの解説を聞いて反省すると共に、これからはしっかり使ってケアもちゃんとやろうと改めて思った次第。

皆さんも気をつけて。

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