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不動産のもやもやがスッキリするフレームワーク集(其の1)-価格の仕組み-

住宅はいつ買ったらよいか、、
自分がもつマンションって一般的に価値があるのか
賃料交渉ってどうしたらいいのか

といった悩みがこれから多くなりそうです(実際いままさに多く寄せられています)

実はこのような課題、あるフレームワークと理論を知っておくだけで、
自分でも高い仮説が立てられるようになるんです。

ここから2回に分けてそのフレーム応用の仕方をお伝えします!

僕の自己紹介や、マイホームの買い時に関する記事はこちらです。

不動産市況がどうなるのか、という自論もちょっと折り込みつつ、
その手前で僕がどのようなフレームワークを使い、様々な情報を当てはめ、仮説を立てているかという方法についてお伝えしていきたいです。

なんでそんなじれったいことをするの?

と聞こえてきそうですね。笑

ここからの経済や社会の変化はとても大きなものになります。

多くの人が、自分の力で素早く判断できたら、損したり後悔したりしないで済むのじゃないか。

逆にチャンスを掴んで、この難局を乗り切った先に光があったら嬉しいと思うからです。

できるだけわかりやすくお伝えするので、ぜひついてきてください!

不動産の価格を決める概念は?

以下の3つだけです。

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効用(その不動産に対してわれわれが認める効用)
相対的希少性(その不動産の相対的希少性)
有効需要(その不動産に対する有効需要)

鑑定評価基準的にはこの3つを「三者(さんしゃ)」って呼ばれています
なんだか人みたいですよね。

ちなみに、不動産の鑑定評価基準で表現するとこのようになります。(読み飛ばして全然OKですので、逃げないでくださいねw)

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出典:不動産鑑定評価基準

これ、不動産で説明すると急に難しく見えてしまうので、
日用品でやりましょう。

そうだ、いま流行りの「マスク」で説明しますね。

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【効用】

マスクの効用といえば、病原菌をカットする、花粉を弾く、匂いを防ぐ、などなどありますよね。


それぞれニーズは異なれ、その人は効果を認めるから購入します。
その際、どのくらいの機能を求めるかで、マスクの価格は変わりますよね。

必要以上に高機能で、高価なマスクはいらないわけですから。

不動産も同じです。

そのマンションを買って得られる便利さ(あるいは満足感)が効用。
その店舗を借りて得られる収益などが効用になります。


【相対的希少性】

じゃあ、最適な効用と価格のマスクが見つかったとして誰でも買えたのは、昨年までの話です。
いまは、マスクがそもそも限られた数しか存在しないので、
相対的に希少となって価格がめちゃくちゃ上がってしまっています。

不動産も同じです。

間取り(効用)は同じでも、みんなが狙っている希少な物件ってあるじゃないですか。
本当にレアな物件だと、入札形式で価格をつけると、とんでもない値段がついたりします。

欲しいのは自分だけじゃないこともあるってことですね。

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【有効需要】

相対的希少性が高いからといっても、それを実際に購入できる人がいなければ、意味のない価格。

1つ100万円のマスクといわれても、購入する人はいないので適切な価格とはいうことはできません。

不動産も同じで、きちんと購買力のある買主が世の中にいることで、
はじめて有効需要があるといえます。


特に価格が億を超えるような物件で起こりがちです。
本人がめちゃくちゃ内装などにこだわった”レア”な住戸だと思って高値で売りに出しても、
その価格で買うなら別の物件買って、自分好みの内装にしますわ...

みたいなことはよくあります。

価格を形成する要因って?

さて、価格をかたちづくる概念はなんとなく理解できましたね?

では、次に進みましょう。


といっても次で、ほぼ終わりです。
これだけで不動産の価格がどうやって成り立っているかわかっちゃいます。

先程の図に一つ要素を加えます。

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価格形成要因です。


さきほど同様、不動産鑑定評価基準をほぐしながらみてみましょう。

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ごちゃごちゃ書かれてますね~。
みなさんにとって重要な部分だけ引っこ抜いてまとめます。

・不動産の価格を形成する要因は、さっきみた「三者」に影響を与えある要因
・それは一般的要因、地域要因、個別的要因に分けられる
・この要因を市場参加者の観点から把握、分析する必要がある

最後が重要です。

「市場参加者の観点から」

そう!結局はみなさんの観点から把握するのです。


これでぐっと不動産価格の理解が近くなった気がしません?
(しないかな)


で、そのときに人によって、観点の抜け漏れがないように、
鑑定評価基準では要因を整理して分類してくれています。

これ、いっぱいあるので覚える必要はないのですが、
たまに見ると便利ですよ!

なにせ、これでもかってくらいとにかくいっぱいあるからw

興味がある方はこちらへ(6~11ページまで!w)
出典:不動産鑑定評価基準


これを市場参加者の観点からみるというわけですから、
ちょっとだけ実際のみなさんのライフサイクルに適用してみてみましょう!

【ビフォーコロナ】

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ぼくたちの生活が、住宅地だけではなく、
商業地などとどのように結び付いていたかわかりますね。

これがアフターコロナになると...

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商業地が生活から切り離されてしまいました。

商業地の店舗はいろいろな工夫をして、
ワーカーのライフサイクルに入ろうとするものの、
オフィスエリアの店舗は変えられない立地ゆえに相当難儀なのを痛感します。

一方で住宅地の方も市場参加者(みなさん)の価値基準が変わりつつあるのがわかります。

このままの状況がつづいたら、価格にも若干の地殻変動が起こります。
事実、地方物件の問い合わせが増えている。


地方物件の「効用」が上がったからです
(よし、うまくフレームを適用できた!)


いま、海外からの移住者もいないので、住宅需要の量はほぼ一定です。
そこで需要が分散したら当然価格は下がりますよね?
(「有効需要」が少なくなるからですよ。フレームをハメハメ)

どうなりそうか予想して先に動くことで、資産性は高くなるでしょう。

逆に売主さんは、新しい価値基準を取り入れた訴求もしてよいと思います。

デッドスペースと思われていた場所がリモート会議室にちょうどよい防音的なお部屋になったりしませんか?
(そんな物件があれば、「相対的希少性」が上がり、価格も上がるポテンシャルを秘めています。フレームをハメハメ)

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と、こんな感じで世の中の流れをフレームの中で整理していけば、
だれでも仮説を立てられます。

仮説をもって不動産業者さんと話し合えば彼らの知見もうまく引き出して、ステキな購入や売却活動ができるはず!

そのなかで信頼できる不動産業者さんが見つけやすくなるでしょう!
(そもそも話についてこれない不動産業者さんからはそっと立ち去って、着信拒否、LINEブロックしておきましょう^^)

次の項目はおまけです。(でも実は読んで欲しい内容です)

”役に立つ” より ”意味”があること?

いきなり

「は??」

って感じですよね。笑

今風なこと(でもけっこう大事そうなこと)を加えておく必要もあると思っています。

哲学者 山口周さんの言葉から着想を得た、天才起業家のけんすうさんがこんなことを言ってました。

これも、これからの時代では重要ですね。

効用だけでは語れない、「意味」を見出すことで、
個人の価値を上げる可能性を持っています。

湾岸タワマンに住むボク
古民家でリモートライフを送るワタシ
新宿ゴールデン街での店舗にこだわるオレタチ

こういったものは、数値的な効用以上に意味を見出す人も多いのではないでしょうか。

不動産って自分の人生で何かを実現する手助けをするものだとも思うのですよね。

負債と考えないで、自分株式会社の経営資源とすべきです。

論理も大事ですけど、それにとらわれすぎて緊張せずに、
リラックスして楽しく不動産のことを考えることも忘れないでほしいです。

あえてフレームに整理すると「効用」なのかもしれない。

これは個人の趣向であって「トレンド」とも捉えることができるので、
そういった流れをおさえておくことも忘れずに。

今日は以上です。(お疲れさまでした!)

次回は、いま特に価格や賃料への影響の大きい商業不動産を中心に、
住宅、オフィス、ホテル、ゴルフ場、ありとあらゆる不動産の価格の仕組みが簡単にわかってしまうフレームをご紹介します!
(おそらく明日リリースします!)



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