今回は、noteを読んでくれている大学時代の友人2人に向けて読書感想文を書きたいと思っている。
なぜならこの本が、良質なBL本だったためである。
○○○
幻想的な世界観で、夢か現実か。はたまたこの世かあの世なのかはっきりしない不思議な短編集。
長野先生が描く男の人は、知的で色っぽく、彼らの恋愛は切なくて優しい。
小学生のころ、ブックオフで小コミを立ち読みしてその大人な内容にドキドキしたのと同じくらい、登場人物の色っぽい態度にドキドキしながら読み進めた。
もうアラサーだというのに(笑)
とはいっても、過激な本ではない。
むしろ真逆で、直接的な表現はないのにここまで艷やかに書けるのかと驚く文章。
高校の現代文で、「こころ」を読んだときと同じくらいときめいた。
14の短編集なので、きっとお気に入りの話が見つかるはず。
そのなかでも私が特に好きになった5つの話を紹介したいと思う。
※ここからは、紹介のためにあらすじを記載するのでネタバレを含みます※
○○○
「飛ぶ男」
ユキムラが健気で、飛ぶ男が無口な生真面目ボーイなところがよかった…!
この話の季節は冬だけど、冬は寡黙な男を引き立てるとても良い季節だとこの話を読んで思う。
ユキムラの健気かつ純情な可愛さが引き立つラストをぜひ見届けてほしい。
○○○
「花の下にて」
高尾…!高尾?!高尾~!!!!と高尾に悶える話だった。
めぞん一刻が好きな人にはささるストーリーかもしれない。それ以上は語るまい…!
人物像は今回紹介するなかで、一番高尾が好きだなぁと思う。
ぜひ中浜の視点で、阿部真央さんの「じゃあ、何故」を聞きながら高尾に振り回されるのを楽しんでほしい!
○○○
「アパートの鍵」
色っぽすぎるで賞を受賞したのではないかと思うほど、知的でなまめかしいストーリー。
年上のお兄さんにからかわれて、手のひらで転がされるのが好きな人にオススメ!
○○○
「雨過天晴」
怪しい求人内容というのが、
「代筆求ム。毛筆できる方。時給二五〇〇。委細相談。橘川」というもの。
親元を離れ一人暮らしをして3ヶ月。
親や兄に、うまい話には裏がある。学生の本分を忘れるなと忠告されているにも関わらず、こんな怪しいところに電話をかけるなんて若いなぁ~と思った。
この話は、異界とのつながりが好きな人に向いていると考える。
夏目友人帳が好きな人が好みそうな世界観。
夏のジブリを思い出すような情景を描きながら読んだ。
○○○
「空耳」
高校生たちによる王道青春ストーリーを読みたい人はこちら!
と紹介したいけど、わりと屈折した両片思いなお話。
高校生活って中学生までの地元だけの世界から、ちょっと世界が広がるような
根拠のない自信と、今までの自分と決別する瞬間の寂しさが混じってていいなと思う。
出会いが共同のロッカーっていいよね。
ましてやそれがクラスが全く違うってところが。
認めたくなさそうなにはいいたいけど、
約束もしてないのにその人のために、何かを毎日買ってあげて待つというのは
それはもう恋なんよ…。
○○○
紹介した話以外にも、もっともっと語りたい話がたくさんある。
そのくらいこの本に惹き込まれてしまった。
調べてみるとこの本は、「あめふらし」の前日譚が収録されていたみたいなので
次はあめふらしを読んでみようと思う。