赤いヒモ

CASE3
朋O瑞樹さん。age22。ヒモ
max:ヒモ normal:ヒモ low:ヒモ
(ヒモはどこまでいってもヒモである)

前回の彼氏がセコセコマンだった私は、次にお付き合いするのならお金持ち、欲張らずとも小金持ちくらいの方がいいと考えていた。


そして、気づけばなぜか3歳年下のヒモと暮らし始めていた。人生とは時に難解な数式よりも謎めいている。しかし彼に関して嫌な思い出は1つもないのである。
アベマに彗星の如く登場した生駒卓也を筆頭に、ヒモという存在は決して無視できるものではなく、彼らの生息地はどの女の中にも可能性として開けているのだ。自分の好きな時に好きなだけ会える。愛した分(お金然り)愛してくれる。何より圧倒的に話を聞くのが上手い。
女たちは「都合のいい女」を演じながら、「都合のいい男」を探しヒモに辿り着く。
ヒモも才能ならば、ヒモを飼い慣らす女も才能。或いは一枚上手なのかもしれない。(そう信じたいだけ?)
ヒモメンと付き合っていた時、私はよくスピッツのロビンソンを聴いていた。“誰も触れない2人だけの国がある”と思っていた。振り返れば滑稽だし、正当化するつもりも美化するつもりもないが、私がしてきた恋愛の中では最も純愛に近しい気がしてならない。

愛した分の愛が返ってくることが、どれだけ心を落ち着かせるか。安心できるか。無駄なざわつきなど望んじゃいないのだ。
いつも私からLINEのやりとりが始まること、デートの行き先は大体私が決めていること、家族の話をしてくれないこと……そんなことを気にするなんざまっぴらだ。
恋愛に必要なのは自己開示。
いらない何も 捨ててしまおう……その偏屈なプライド。
ヒモには金もないが余計なプライドもない。
折れることを知っている。

「俺はヒモなんだぜ! お前を喜ばすぜ! だから金くれ!」

なんて素敵な方程式🖤笑っちゃうぜ最高だぜ

当時25だったから付き合えたのかもしれない。30オーバーであればもっとお金も貢げたが、その分見返りも求めてしまったと思うから。ちょうどいいお金と、ちょうどいい愛。
仕事が終わってからの癒しと、休日の彼との怠惰な時間はなかなか抜け出せず、結局1年半一緒にいた。

今でも「奢るから相談のってよ」とLINEをいれれば、ひょこひょこやってくる。ヒモとオカマは相談に乗るのが天才的に上手い。

彼は知らない。その適当さと屈託のない馬鹿面が、幾度となく私を救ったことを。

ヒモはもしかすると、世界最強のヒーローなのかもしれない。

……そんなわけないか。顔は奇しくも手越くんに似ていた。彼には行き詰まったらヒモとして生きる選択肢もあることを伝えたい。

ハマショーの『MONEY』がすきです。