支持性に必要な歩行に関わる脳内機構〜筋緊張コントロールの神経システム〜 レポート①
こちらは、歩行ナイトセミナー「支持性に必要な歩行に関わる脳内機構〜筋緊張コントロールの神経システム〜」のレポートになります。
「まずは基礎から知りたい!」、「動画の内容を簡単に知りたい!」という方におすすめです。
はじめに
「歩く」という動作は骨と筋肉だけで成り立つものではありません。どの筋肉をどのように使うか、脳が情報を送っています。今回は脳から筋肉に情報が伝わるまでの過程を、脳内機構と脊髄機構の視点から簡潔に解説します。
※以下は冒頭部分の動画です。今回は同様の範囲を解説していきます。
1.歩行システム
脳からの情報は脊髄を通って各身体の筋肉に送られます。「歩く」という動作1つとっても、普段私たちは何も考えずに行っていますが、頭で考えなくてもいいようにシステムが働いているのです。ここでは「歩行システム」と呼んでいきます。
(※動画内では「脳機能システム」と呼んでいます。)
2.脳内機構と脊髄機構
歩行システムには脳と脊髄をつなぐ「脳内機構」と、脊髄とそれぞれの筋肉をつなぐ「脊髄機構」の2つが存在します。両方から正しく情報が送られてこなければ思うように手足が動かせなくなります。もちろん、歩くことも難しくなるのです。
つまり、脳と脊髄から情報が送られることで、人は効率よく動作を行えます。例えば、膝の角度や筋肉の動きを頭で考えながら歩くとなると他のことを考えられませんよね。歩きながら考え事ができるのは無意識に歩くことができているからなのです。
次の章からは脊髄機構について説明していきます。
3.脊髄機構の役割
脊髄機構の役割は大きく「出力系」と「入力系」の2つに分けることができます。まずは入力された情報に対して、どのように筋肉が働き、動作につながるのかを解説していきます。
4.脊髄機構の各名称と役割【出力系】
出力系でポイントになる名称です。それぞれ解説していきます。
錘外筋・・・上腕二頭筋のような身体を動かす時に使われる筋肉のことです。
筋紡錘・・・別名錘内筋です。筋肉の中にあり、筋の張り感(筋緊張)を感じ取り脊髄に情報を送ります。
腱紡錘・・・骨と筋肉をつなぐ腱の中にあります。腱が引き伸ばされたときの情報を脊髄に送ります。
α(アルファ)運動ニューロン・・・脊髄から錘外筋に脳からの情報を送ります。
γ(ガンマ)運動ニューロン・・・筋紡錘の張り感を感じ取れるように脳から情報を送ります。
5.出力系の働き①【α-γ連関】
動作を行う時に、まずは脳から情報が送られ、脊髄のα運動ニューロンを経由して筋肉が働きます。また、筋肉の筋紡錘に対しては、γ運動ニューロンを経由して筋緊張の変化が感じ取れるように脳から別の情報が送られます。
筋肉が働いたときに筋緊張も変化します。その時に筋紡錘は筋緊張の変化を感じ取り、情報を脊髄に送ります。脊髄ではその情報をもとに次の動かし方を筋肉に伝えています。そうすることで、脳からいちいち情報を送り続けなくても持続的にかつ滑らかに動作を行うことができるのです。
曲げた肘をゆっくり伸ばそうとしたときに他の考え事をしながらでも滑らかに運動できるのはこの働きによるものと言って良いでしょう。
今回はここまでです。次回はもう1つの働きである【Ⅰb抑制/促通】から解説していきます。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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