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国際女性デーに考える 女性の権利や男性への「逆差別」に関する最近の動き

このnoteのポイント
・国際女性デーは、男女の権利のギャップを埋めるための活動
・女性の権利向上が進んでいるヨーロッパで主流になってきた「議員クォータ制」も性差による権利ギャップを埋める活動の1つ
・こうした女性の権利向上の活動は男性との間に起きている権利のギャップを埋めるためのもので、現状男性への逆差別には当たらない。大事なことは性差による対応の違いではなく、性差が起きている課題の根本について考えること
・コロナ禍での女性の雇用危機「She-cession(シー・セッション)」が起きている。これは単純に女性の雇用機会が減少していることを指すのではなく、STAY HOMEにより家庭内での女性の仕事が増えることも指す

こんにちは! Good Tideチームメンバーの山下(@yamashiitaa)です。

本日3月8日(月)は、「国際女性デー」です。国際女性デーとは、言語・文化・政治や経済的な壁に関係なく、国や社会に貢献した女性の勇気と決断を称える日です。日本での取り組みとしては、2017年から「女性の生き方を考える日」として『国際女性デー|HAPPY WOMEN FESTA』が開催されています。最近では、イタリアの風習にならい、ミモザを飾ったり、プレゼントしたりといったことも習慣になりつつあります。また、女性を称える日という認識だけでなく、女性の権利の向上やエンパワメントを推進する日という印象も強くなってきました。

そんな国際女性デーですが、私たちもチームとして活動する中で、女性を称える国際女性デーのあり方について、女性の地位向上を目指した取り組みが多く取り上げられることで男性が抱える問題が見えにくくなったり、あるいは男性への逆差別になってしまっていないか、ということに頭を悩ませていました。また、コロナ禍で現在女性がどんな状況に置かれているのかも、気になっていることでした。

そこでわたしたちトライバルメディアハウスのグループ会社であるネットイヤーグループに所属しており、ジェンダー論について大学で勉強されてきた南野さんにお話を聞いてきましたので、紹介いたします。

国際女性デーの取り組みは、女性と男性の権利ギャップを埋めるためのもの

山下:いつもジェンダーをテーマにお話しをしていただき、ありがとうございます!今日は国際女性デーに関してお伺いできればと思います。国際女性デーに女性の権利向上を目指した取り組みが進むことはとても喜ばしい一方で、女性の問題を多く取り上げることが男性への逆差別にあたるのかどうか、で言うとどんなお考えをお持ちですか?

南野:そもそも社会の中に、女性が男性より劣っているという認識があったと思います。それは体力的なものや仕事の仕方などなど…。そういった女性に対しての見方を変えていこうと欧米が動き始めました。欧米ではそういった動きが盛んになりましたが、日本ではまだまだ男尊女卑の考えは根強く残っています。どんな国でも男性が作った、男性優位な社会なので、女性が活躍していくというのは難しい状況ですが、特に日本はジェンダーギャップ指数が世界121位で、G7の中でもダントツ最下位という現状があります。国際女性デーの活動はあくまで、そのギャップを埋めていくための女性の権利の向上が目的であって、男性の権利の侵害をしている活動ではなく、男性と同等の権利、立場、居場所を女性も同様にも持つべきだと主張する活動なので、逆差別には当たらないのではないか、と考えています。

山下:確かに、同じ権利を男女とも持っている中で、国際女性デーのような取り組みだけがたくさんあるのなら逆差別になるかもしれませんが、同じ権利を持っていなくて、追いつくための日として設けられているので、そこには該当しないということですね。

海外の女性の活躍の場を増やす制度「クォータ制」

山下:先ほど、日本は男女平等についてかなり海外から遅れているというお話がありましたが、海外ではどんな活動によって女性の権利の向上が図られているのでしょうか?

南野さん:ヨーロッパでは、女性の政治参加のため「クォータ制」というものがあります。

クォータ制とは
人種、民族、宗教、性別などを基準として議員や閣僚などの一定数を、社会的・構造的に現在不利益を受けている者に割り当てる制度をいい、ポジティブ・アクション(積極的改善措置)の一手法として実施されるものです。クォータ制発祥の地、ノルウェーでは、1978年に制定された男女平等法において、公的機関における男女割合を一定比率で割り当てるよう明記されました。現在では100ヵ国以上の国と地域で法制化・導入されています。
【引用】https://www.qualia.vc/glossary/entry-85.html

こういった制度のように、ある種、強制的に男性優位の場所に女性の場所が作られています。こういった制度を取り入れることで初めて国として足並みや視点が揃うため、必要なことになります。

女性専用車両は男性差別にあたるのか?

山下:女性専用車両は男性の差別に当たるのか、という話があると思いますが、ここはどう思われますか?

南野:ここも色んな議論があると思いますが、犯罪の割合として男性から女性への痴漢の割合が高いため、女性専用車両はある種緊急的な避難場所として必要なものだと思います。

山下:確かに一般的には、男性から女性への痴漢が多い印象ですね。とはいえ、男性が痴漢を受けるケースもゼロではないことを考えると男性専用車両もあった方が良いのかなと思うこともあるのですが、いかがでしょう?

南野:そうですね、ゼロではない限り男性を守る手段も必要になってくると思います。現状、女性だけが守られているので実際にはここは逆差別に当たるかもしれません。男性専用車両もあった方が良いと思っています。一方で、女性専用車にたまたま乗り込んでしまった男性に対して冷ややかな目がいきがちだと思いますが、それもそれで問題だと思っていて、本来性別に限らず誰でも自由に乗車することができるものなので、それに対する何かしらの対処法も同時にあるべきだと考えます。
そもそも論にはなりますが、将来的には痴漢といった犯罪も撲滅され、女性専用車両の必要性が無くなればオールオーケーなんですよね。本題に戻すと、女性がより生きやすい社会になれば解決の糸口が見えてきそうだなとも思います。

男女の避けられない差について

山下:ここからはちょっと毛色の違う話になりますが、以前、弊社で講座をしてもらった際に、弊社メンバーから、「特に育て方を変えているわけではないけど男の子は生まれたときから電車が好きで、女の子は生まれたときからおままごとが好きである。そういった根本的な違いはどうしたらよいのか」といった話がありました。このあたりについて、どうお考えですか?

南野:難しい問いだな、と思いましたが、基本的には、幼いときから○○が好き、と親が考えていても、その子が好き嫌いを判断する段階までで周囲が与える影響はかなりあるとされています。海外の実験では、男の子用のおもちゃと女の子用のおもちゃを複数の男女の1歳児に与えたとき、子どもが選ぶおもちゃは性別によって差が出なかったそうです。生まれたときから、と思っていても、何かしら環境が作用しているのかと思います。男の子だから、、女の子だから、、といった固定概念に関わらず、「その人だから、その子だから、」と考えられるようにれたらいいなと思っていて、実際に女性でもガンダム(かっこいいもの)が好きな人もいるし、男性でもマイメロディ(かわいいもの)が好きな人もいるし、性別はあくまで生物的な区別なだけであって、男女の趣味嗜好や得意不得意の傾向は確かにあるのかもしれませんが、女の子だから男の子だからみたいな決めつけはできないと私は考えています。

山下:ありがとうございます。そうですよね、生まれながらに好きなものは決まっていないはずですし、好きなものを強制しない社会が望ましいですよね。

コロナ禍で見えてきた女性の雇用危機「She-cession」とは

山下:コロナ禍での男女の不平等などについて気になっていることはありますか?

南野さん:気になっていることとしては、コロナ禍での女性の雇用危機が問題だと感じています。女性の雇用急減を、リセッション(景気後退)になぞらえて、”She-cession”と呼んでいる経済学者もいるそうです。

コロナ禍で雇用の打撃を受けているのが、宿泊業・観光業・飲食業などのサービス業が多くそこで働く女性の割合が高いため、女性の雇用の問題が顕在化しています。

それだけではなく、家族がSTAY HOMEでいることで、母親としての仕事が増大してしまっている現状があります。家事のほとんどが母親がやるべきという風習がある中で無報酬で家庭のことを沢山こなさなければならなく、負担が増加しています。私の造語ではあるのですが、家にいるのに何もしない人のことを「家庭無職」と呼んでいます。外の仕事だけして家の中の仕事を、全て母親の仕事だとする考え方は、社会として修正していなければならない考え方だと思います。

みなさんも思い返してみてください。自分も含めそうですが、お母さんに「ごはんまだ~?」って聞いたことはないでしょうか?(※それぞれの方の家庭環境にもよります。)ここに「お父さんごはんまだ~?」というワードが出てくるようになったら、男女平等な社会に(女性が生きやすい社会)に一歩近づくのではないかと思います。

女性が強く居られる社会であるためにまずは女性が声を挙げられる場所をつくるのが大事

南野さん:女性が活躍できる社会を作っていくには、まずは女性の社会基盤を作り、連帯していくことが大切だと思っています。

山下:確かに、まずは自分の味方がいることを実感することが大切かもしれないですね。最近、米国の女性議員であるAOC(アレクサンドロ=オカシオ=コルテスの略称)のドキュメンタリーをNetflixで見ました。

AOCは、元々ウェイトレスとして働いていたのですが、沢山の人の力を借りて選挙を勝ち抜き、議員になった人です。そんなAOCを支えたのが、Brand New Congress(BNC)というグループだったのです。AOCが勝った選挙区以外でも多くの女性議員を誕生させました。女性議員のサポート専門の団体ではないのですが、男女ともにサポートしている団体です。こういった男女差別なくサポートしてくれる団体が日本でも必要になってくるのかもしれないですね。

最後に

南野:今回は男女についてフォーカスしてお話しをさせていただきましたが、女性に関わらず、この世界にはたくさんの性別があって、それ以前にたくさんのヒトがいます。それぞれのヒトが平等に生きやすい社会を作れたらいいなと思っています!本日はありがとうございました。

山下:南野さん、本日はお話ありがとうございました。自分の中で悩んでいたテーマだったので、お話を聞いてクリアになりました!この記事を読んでくださった皆様にとっても、性についてやジェンダーロールについて、何か考えるきっかけを提供できていましたら幸いです!Happy International Women’s Day!

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