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PR視点の"イカシカタ"〜PR戦略とは経営戦略であり、事業戦略である〜

本日お伝えしたいこと

○「PR戦略」にみんな悩んでいますよ!っていう耳打ち
○「PR戦略」について、常々思っていること
○「PR」を成功させるための組織体制ってどんな感じなん?
○「PR戦略の設計」には、"イシューのデザイン"が大事だよ!

epilogue.PRパーソンはPR戦略のあり方に悩んでいる

「PR戦略ってなんなんですかね・・・?」という、話もよくいろんな人たちと話す機会が増えまして、世の中のPRパーソンは悩んでいる現状を目の当たりにしています。その壁にぶち当たるPRパーソンの特徴としては、大きく分けると2種類です。

「パブリシティを取り続けるための戦略はどうすればいいのか?」
「パブリシティを取り続ける戦略がPR戦略なのか?」

皆さんは果たしてどちらでしょうか?
今回書くブログは、後者に向けたものなので、前者を求めている方は参考程度に読んでいただけると嬉しいです。

僕自身、事業PRにフォーカスして、主にスタートアップ企業や団体のPRの支援を行なっているのですが、結論として、いえるのは「経営戦略/事業戦略=PR戦略」であるべきということです。
普段思っている課題感や戦略を立てていくためにはどうすればいいのか?について、僕の考えてることをオープンにすることで、少しでも考えるヒントになればいいなと思っています。

個人的な主観で恐縮なのですが、僕が"イケてるな"と思うPRパーソンは、常に何かと戦っていて、孤独を感じているなと思っています。
だからこそ、少しでも力になりたい。
でも、仕事で全員に関われるわけではないから、テキストでもいいから、なんとかしたい。やっぱり、そう思うのです。

このコラムで書く内容は、PR戦略とは何か?の解説。
タイトルにもあるように「PR戦略って、経営戦略であり事業戦略ですよ」ということです。意外と「PR戦略」って、「パブリシティをいかに獲得するかに終始してしまって、その概念って、浸透してないよなぁと思いつつ、壁にぶつかり、もがきながらも見つけられた、僕なりの「解」を少しでも皆さんのお役に立てれば幸いです。

僕の場合、「PR=参画」というスタンスでお話するので、頭の片隅に置きながら、読んでいただけると助かります。

まずここまでの話で感想や批判、誹謗中傷はコチラまで!!!!!
dayama@goodstory.co.jp

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episode1.”戦略なき不完全なPR戦略”の限界点

企業にとって、経営資源である「ヒト、カネ、モノ」が有限である中で、
事業を継続的に展開し、拡大、成長させるために、それらを効率よく集めることは必要不可欠な活動です。そのために必要なのが、「コミュニケーション活動」です。

「コミュニケーション活動」は、多くの場合、広告や広報等の情報発信として、捉えられがちですが、”企業の活動全部”と考えてください。
それはなぜかと言うと、その活動自体が、人に伝わり、”存在の意味づけ”となるためです。

その前提で、近年、「PRドリブン」という概念にも注目が集まりました。
「PRドリブン」とは、経営や事業のゴール地点を設定し、そのゴールに向けて、PR活動をプロットし、そこに事業活動を紐づけていくといく考え方です。言い換えると、アウトプットを前提として、そこに経営、事業、マーケティングの戦略を紐づけていくことになります。この戦略、言うは易しで、行うは難しで、経営者や経営層などの意思決定者が、理解していないと、機能しないモデルだったりします。

実は、起業したばかりのスタートアップ企業は、「PRドリブン」を活用していることが多い印象です。スタートアップ企業はご存知の通り、社会課題を独自の解決策を事業活動で提示し、急成長を目指す組織体です。そして、まずは小さい市場を独占するためのスピード感が求められます。急成長を目指すからこそ、「ヒト、カネ、モノ」を急ピッチで集めることは必要不可欠。それらを急速に集めるためにPR活動はマストで行うもの、という位置付けになっています。

起業の時点では、具体的なサービスや実績よりも、まずは自社のミッションやビジョン、存在価値を社会に提示し、"その存在が生まれたこと自体"を、PRファクトとしていきます。何者であるか?の存在意義をいかに上手く活用しながら、PR活動を行い、戦略的に求めるパブリックに見つけられる仕掛けを作れているか否かが、その後の活動をよりスムースにできるか否かにつながっているとも言えます。そんでもって、ここで上手く行きすぎると、その成功体験から、"落とし穴"に落ちてしまう会社も多いなぁと思っています。

では、その"落とし穴"とは何か?
それは、"ビジョンとミッションをそのままの状態で発信していくことが「PR」の成功だ"と考えて、活動し続けてしまうことです。それがなぜ落とし穴かというと、事業活動が続いていくと、次に求められるものは、「事業活動におけるPRファクト」だからです。
具体的に解説すると、そのビジネスが、当初打ち上げたビジョンに対して、
○どのような形で、具体的な事業活動として現れているのか?
○そして、それらが社会にどのような影響を与えているのか?
という目に見える形(数字や現象)での成果が求められるようになります。

ということで、この概念を知らない会社は、割とこの落とし穴に落ちがちです。そして、「PR=メディア露出」と考え、戦略的に新しいファクトを作り出せないまま、パブリシティ獲得のための活動に邁進するのですが、結果が出ず、どんどん存在感がシュリンクしていく。。。
その結果、企業としても、事業としても、新しい情報が出せなくなっていく。。。
実際は計画通りに進んでいたり、好調であったとしても、足踏みを踏んでいる状態に見えるようになってしまう。。。。
そして、事業としてのインパクトが演出できなくなっていく。。。。
「PRネタがない!」という悩みの声もよく聞くのですが、この部分を再点検してみるだけで、意外とブレークスルーできるかもしれません。

結論、PR戦略の設計というのは、「露出を獲得すること」と位置付けずに、いかに戦略的にPRのファクトを作り、そのタイミングに応じた演出ができるか?という点にかかっています。一方で、その"ゴール"を明確に描けていないといけないとそもそもの絵が描けないというのも忘れてはいけません。
では、具体的にどんなことに気をつければいいのでしょうか?

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episode2.経営戦略/事業戦略で描かれているビジョンの解像度は?

では、この状況に陥らないために、そして、打開するために必要なことは何か?
それは、「PRドリブン的」であることです。
“的”と表しているかというと、「PRドリブン」を行うことは、前述したとおりで難しく、経営や事業を理解している、本当に卓越されたPRのプロがサポートしていないといけません。だからこそ、”的”に物事を設計していくことです。

PRドリブンは、PRを念頭に設計することですが、逆にPRドリブン的は、経営戦略や事業戦略を実現させるために、PRを戦略的にどのように活用するか?を設計していきます。

そこで必要になってくるのが、「経営戦略/事業戦略で描かれているビジョンの解像度の高さ」です。
ここでいう解像度とは、より具体的に、より鮮明に、その戦略を遂行しきった結末が描かれているか?ということ。
数字のゴールでも良いのですが、「ステークホルダーがどのような状態になっているべきか?」「より社会がどのような状態になっているべきか?」を言葉で定義することです。
マーケティングやPRは、あくまでも経営戦略や事業戦略を推進するための機能の一部にしか過ぎません。
つまり、「経営戦略/事業戦略=PR戦略」といっても過言ではないのです。
そして、それらをうまく機能させるために必要なのが組織体制です、
僕が、これまで見てきた中で、PR戦略をうまく実行できていると感じる企業の特徴は2点あります。

1.PRに経営メンバーがコミットしていること
2.マーケティングとPRがOne Tableで動いていること

この2点について、その理由を書いてきます。

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episode3.PRに経営メンバーがコミットしている必要がある理由


「ビジョンの相違解消」と「承認」の2点が理由です。
多くの企業でよく耳にするのは、「PRは現場に任せているので放任」「PRは、特殊スキルであるから独立部門」という幻想です。
そもそも、PRは魔法の杖でありません。
必ずPRが必要な対象があって、その存在意義を発揮できるのです。
その理由は、ここまで読んでいる方にはお分かりの通りで、「PR戦略=経営戦略/事業戦略」だからです。

PRは、経営戦略にも、事業戦略にも紐づいているため、戦略のあり方や一つ一つの施策のあり方も、しっかりと経営メンバーの意識と合致していなければいけません。そして、逆に経営メンバーも、その施策のあり方を真剣に吟味し、一緒になって考えることで、承認することが求められます。

一見、PRにおける活動は、直接的に利益を生み出すものではないため、施策の有用性を理解し難いことがあります。しかし、経営メンバーが、PRチームのメンバーの一人として、議論に入り、そのプロセスを理解することで、腰を据えた強いPR戦略を展開していくことにもつながります。

経営メンバーがPRを理解している組織は、意思決定の中でも、PR視点を取り入れていて、組織自体が、PR体質になっています。実は、PR担当者が苦しまない環境こそ、PRがうまい会社なのかもしれません。

あなたの会社の経営メンバーは、PRチームの一員ですか???

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episode4.マーケティングとPRがOne Tableである理由


うまく機能している組織は、マーケティングとPRがOne Tableで動いていることです。マーケティングもPRも、役割や機能が違うだけで、求められる成果は同じで、経営戦略/事業戦略が受け入れられる環境を作り、参画を促すこと。特に小さい組織や提供しているサービスの数が少なければ少ないほど、
マーケティングとPRは密接になり、目指すべきゴールは一緒になるはずです。

ここでざっくりとPR戦略を設計していく際に必要な役割を書くと、
○マーケティング担当者
どの市場を狙うのか、ターゲットをどこに定めるのか、そして、ターゲットのインサイトをどれくらい把握しているのか、
といった利益を生み出す対象のデザインが求められます。
でも、本当に大事なのは、誰を動かしたいか?の誰をより明確に描くことです。
ありがちなのが、ターゲットのセグメンテーションが曖昧で、結局、どんな人たちを動かすのか?が不明確なため、施策の精度が高まっていかないことです。ここでのデザインが、PR戦略の精度につながってきます。

○PR担当者
マーケティング上取り込んでいくべきターゲットと取り巻く環境=パブリックを動かすために、必要なストーリーのデザインを行います。ここでいうストーリーとは、パブリックが参画するための同意を得るための脚本を描くことです。(※過去にその辺を書いたブログがありますので、ご興味があればこちら
その上で、パブリックがそのストーリーに触れ、より参画するためのコミュニケーションの方法をプロットしていきます。
それは、何もパブリシティだけではありません。イベントもそうですし、CSでの顧客対応もそうです。また、プッシュ通知もその手段かもしれませんし、HPの文言でも、お手紙でも、、、なんでもその手段です。
PR担当者は、どうすればパブリックが参画してくれるかのプロデューサーでもあり、ディレクターでもあり、プランナーでもあるのです。
それらが、より強いファクトとなり、パブリックの参画を見込める方法を模索し、常にアンテナを張り、挑戦をし続けなければいけません。

常にマーケティングとPRの担当者は、一つのゴールに向かって、情報共有を行い、それぞれの進捗に合わせて、最適な一手を打ち続ける必要があります。マーケティング担当者は、PRで得られた流れを活かし、営業チームとの連携を考え、最適なリード獲得等の施策を展開を行うために。
PR担当者は、そこから得られたファクトを最大活用と今後、作るべきファクトを考え、さらに参画を促すための流れを作るために。

PRとマーケティングの視点を掛け合わせながら、進むことが、全体的な実力強化に繋がるのはいうまでもありません。
小さい組織であればあるほど、OneTableで連携していくことは、PRを成功させる必要な体制なのです。

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episode5.ストーリーをデザインすることは、イシューをデザインすること


さて、ここまで長々と書いてきましたが、
結局のところ、PR戦略を設計するために最も必要なことを書いていませんでした。それは、"イシューのデザイン"です。

ここで、イシューとは、パブリックと自社が解決すべき共通の課題(敵)を指します。
例えると、少年漫画で言うところの、「世界を苦しめる魔王」。主人公とその世界に生きる人たちの幸せを阻害する共通の敵です。この敵を倒すことが、主人公やその世界の人たちの幸せにつながります。
さて、話を戻すと意外とこのイシューをしっかりとデザインできている会社や事業は少なかったりします。

では、なぜイシューのデザインが必要なのでしょうか?
それは、「何のためにその会社や事業、プロダクトが存在しているのか?」を見える化することです。
見える化することで、参画してもらうための旗印になるのです。
そして、倒すべき敵が見えていれば、それに応じたファクトを作ることができるから。つまり、PR戦略を設計する上での「力の根源」をデザインすることになります。
具体的にどのように設計するかは、また別の機会に書きますが、「何のために?」を持つことは、ストーリーテリングには必要不可欠な要素です。
共感できない、参画できないストーリー(脚本)をデザインしないためにも、一度立ち止まって、イシューのリデザインをしてみても良いかもしれません。
もし良かったら、経営メンバーやマーケティングチームとOneTableで議論してみてください。これまで抱えていたPRパーソン独自の悩みも晴れるかもしれませんよ?

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epilogue.少しでも誰かのgoodstoryに。

今回、このblogを書いたのも、誰かのgoodstoryを作れればいいなと思いながらも、自分のスタンスを伝えつつ、みんなとディスカッションしていきたいと思っているのでした。

ぜひ、皆さんのお話も聞かせてください。
このブログが誰かのgoodstoryに繋がりますように。

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