地域ごとは自分ごと つながりが芽吹く「県大SDGsシネマ」
2017年1月、全国に先駆けて滋賀県が
SDGs(持続可能な開発目標)
を県政に取り込むことを宣言したのはご存じかと思います。
でもみなさんの中には
「“意識高い系”の人がしてはるやつ。うちには関係ないわ」
と思われている人も、正直多いのではないでしょうか。
そんな人に必見!
もっと身近に、誰でもSDGsにふれられる場所があります。
それが「県大SDGsシネマ」
琵琶湖のほとりのお洒落なキャンパスが特長の滋賀県立大学で
月に1回程度開催されているSDGs映画の上映会です。
今回はSDGsシネマ開催に携わっていらっしゃる
谷口嘉之さん(滋賀県立大学地域連携コーディネーター)にお話を伺いました。
(写真提供:馬場奏さん)
谷口さんとSDGsの出会いは?
「言葉としては前々から知っていました。
自分からかかわりはじめたのは滋賀県立大学の職員になってからです」
もともとヨソからお越しの谷口さんは
お仕事で地方・都会問わず転々とされるなか滋賀県に定住。
2018年6月に滋賀県立大学に転職され、
SDGsについて学内外に普及促進する業務を担当することに。
その最初の仕事が「滋賀県立大学SDGs宣言」の式典準備だったそうです。
しかし、宣言後は何をやるのか具体策がなく戸惑いの日々。
そんななか大学として具体的なアクションを
起こさないといけないと思いついたのがSDGsシネマだったそうです。
県大SDGsシネマ開催のきっかけは?
「教職員、学生、地域の人がまじりあって社会課題について話し、
自分の思いや考えを発信・共有できる場づくりができればと思いました」
(写真提供:谷口嘉之さん)
谷口さんの思惑どおり
映画は誰もがとっかかりやすい媒体であり、
各回10~20人程度、15回開催で累計260名の参加がありました。
またジャンルの幅広さがSDGsシネマのイチオシな点!
実際、これまで上映されたジャンルは
ファストファッションやフェアトレードなど
私達が普段の生活のなかで関心をもちやすいものもあれば
(写真提供:滋賀県立大学HP
http://www.usp.ac.jp/campus/centers/chiikicyosa/z122/z165/)
平和国家へのアプローチや乱獲・乱開発といった
身近に「感じづらい」がために興味が湧くようなものもあり、
参加者の顔ぶれもその日、その作品ごとで多様
まさに一期一会の場所なのです。
県大SDGsシネマの魅力は?
「各回10人程度の小規模開催なので、
鑑賞後に一人ひとりの意見をじっくり発信、傾聴できます」
大学での映画上映のイメージは
シンポジウムのような大規模なものの単発開催が無難です。
しかし県大SDGsシネマは各回10人程度のため、
同じ場所に集まったことをきっかけに
感じたことや関連情報を密に共有しあえる環境を作り出せます。
(写真提供:谷口嘉之さん)
また子育て中のお母さんから
「昼だったら行けるのに…」という声を拾って
急遽、昼と夜の2部上映する柔軟さも小規模だからこそ為せる業です。
SDGsシネマを観るときのポイントは?
「『SDGsを教えて』『SDGsやろう』という人がいるけど、
そもそも義務感でするものじゃない。
『自分に何ができるのか』に悩む人もいるけれど、
『やってる人を応援してみようかな』という自発的な気持ちが大事。
SDGsシネマの鑑賞はそう思い立つひとつのきっかけと思ってくれればいいです」
今後やってみたいことは?
「実は…次、何するかは決まっていません(笑)
でも持続可能がSDGsの根本。映画上映は続けたいです。
あと、せっかくのつながりや学びをカタチとして残したい。
その一つの手段として、
市民ライターがSDGsに携わるローカルヒーローを
取材して記事にしたものを書籍化にできればな…と考えています」
そう言って見せて下さったのが
谷口さんの知人が主体となって作成された
人に出会えるガイドブック『福井人』ほか『○○人』シリーズ。
“人材”というどの地域にもあるけれど
“人財”というその地域にしかいない
貴重な地域資源に着眼し新しい観光を見出した画期的なガイドブック。
谷口さんはこのシリーズの滋賀県×SDGsバージョンを作成し
取材する人、される人、読む人の拡散から滋賀県に
SDGsにかかわる人たちのネットワークが生まれることを期待しているとのこと。
今後の谷口さんやローカルヒーロー達、
滋賀県立大学のSDGsアクションの活躍から目が離せませんね!
県大SDGsシネマ
定 数:なし(各回10~20人程度参加)
日 時:随時開催、18時~20時
びわこナレッジ・コモンズの
Facebook(https://www.facebook.com/biwako.coc/)にて情報公開
場 所:滋賀県立大学(彦根市八坂町2500番地)
参加費:無料
(写真・文:小林真紀子)