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「より多くの人々により良い日々の暮らしを」。IKEAを作ったイングヴァル・カンプラードさんとその美学。

あけましておめでとうございます。 ついに2020年ですね。

年初めということで、来月2月1日に東京の日本科学未来館にて、開催する国際シンポジウム、”IoT, Fab, and Community well-being ~ケアのあるコミュニティをつくるために、デジタル技術ができること。~ について, これからシリーズで紹介していきます。

初回の今日はIKEAのヴィジョンと設立者のイングヴァル・カンプラードさん(Ingvar kamprad)のIKEAに込めた思いと美学についての話を。

なぜ来月の国際シンポジウムの話からイケアの設立者、カンプラードさんの話までさかのぼるかというと、この国際シンポジウムではIKEAイスラエルの「ThisAbles」プロジェクト(障害のある人に家具を使いやすくるために、補助器具の3D データを無料で配布している画期的なプロジェクト)に関わったイスラエルのNGOミルバットのデザイナー・マリアーナさんがゲストでやってくるから。

で、もっというと、このThisAblesプロジェクトが生まれた背景にはイケアの組織ヴィジョン、 ”Create a better everyday life for many people as possible (できるだけ多くの人々により良い日々の暮らしを創り出すこと) が深く関わっているから。なんです。

そう、IKEA は世界最大の家具メーカーにも関わらず、”家具や雑貨をできるだけ多くの人売る” ことを1番の組織ビジョンには置いていないんです。  

あくまで “より多くの人々に今より良い質の生活をしてもらう 。“→ “そのための一つの方法として家具や雑貨を作り、売っている。”という順番。

さて、創立者のイングヴァル・カンプラードさん。

1926年にスウェーデン南部にある小さな農園で生まれました。人々が毎日朝から晩まで働き貧しかった時代。

なんと5才(!) で仕事を始めたカンプラードさん。最初はマッチを、10才になった頃には、自転車にクリスマスのデコレーションや、魚、鉛筆などを積んで近所を訪ねて売る毎日。そして17才の時、失読症という困難があったにも関わらず学校の成績がよかったカンプラードさんへのお祝いに、お父さんが少額のお金をくれます。これを元に自分の故郷と名前の頭文字をとって、IKEA ( Ingvar Kamprad from Elmtaryd, Agunnaryd=アグナリッド村のエルムタリッド農場出身のイングヴァル・カンプラード)を設立したのでした。

2018年になくなるまで、世界中のIKEAストアを訪れ旅していたカンプラッドさんは、飛行機でもエコノミークラスに乗り、従業員たちを“co-worker (共に働く仲間=同僚)と呼び、紙を大切にするためメモは両面使い、かしこまらない洋服を着ることを奨励したそう。お金は一度も借りず、インタビューにも応じなかった逸話が語られています。

資源の無駄が嫌いで、常日頃から謙虚さ、ユーモア、好奇心を美徳としたカンプラードさんの美学はIKEA sprit(イケアの姿勢・美学) として今日も地域で売られているIKEAプロダクトにも現れていますし、彼が亡くなった後に始まったThisAble プロジェクトにも脈々と受け継がれている気がしてなりません。

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ちなみにイケアではオムテンクサム(OMTÄNKSAM:スエーデン語で「思いやりがある」)というシリーズがあります。

高齢者、妊婦、障害のある人など、人より少し多くのサポートを必要とする人たちの使いやすい雑貨や家具ラインを展開しています。ケアする側とされる側の両方の視点を重視したこのシリーズ、去年から日本でも発売されています。

IKEA sprit満開かと。興味のある人はチェックしてみてください. ↓

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IKEAイスラエルと共同で「ThisAbles」プロジェクトを立ち上げたイスラエルのNGO、ミルバットに所属するデザイナーのマリアーナ・ベンダビットさんが来日し、プロジェクトの具体的なプロセスや、これからの展開について話されます。

2020年2月1日国際シンポジウム「IoT, Fab, and Community well-being ケアのあるコミュニティをつくるために、デジタル技術ができること。」のお申し込みはこちらから。

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