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RECORD | ケアとテクノロジー/ケアする人のケアセミナー in こうち 分科会1

2022年3月6日、「共助のあるまちづくり」をテーマに開催された「ケアする人のケアセミナー in こうち」。その分科会のトピックの1つとしてケアとテクノロジーに焦点があてられました。

ケアの現場で大切にしたいことを深く問いながら、同時に技術を活用している二つの実践から学び、今後、日常のなかでできそうなこと、課題、これからのケアのありようについて考えるキッカケになればと思っていますので、ぜひご覧ください。本noteには全文を掲載しています。

[ゲスト]
① 吉岡 由宇(よしおか ゆう)さん
社会福祉法人福智会 特別顧問、 Abstract(アブストラクト)合同会社 代表社員
②林 園子(はやし そのこ)さん
一般社団法人ICTリハビリテーション研究会 代表理事、 ファブラボ品川 ディレクター、 作業療法士

3月18日(金)17時から18時まで、ゲスト2名も交えて、アフタートーク&交流会も開催します。途中入場・途中退出もOKな会ですので気軽にご参加ください。
https://tanpoponoye.org/news/2022/03/224013616/ 
[お申込フォーム]

※以下のYoutubeをひらくと「ケアとテクノロジー」のチャプターから開始されます。


司会/
それでは、これより第2部に移ります。初めの分科会は「ケアとテクノロジー」をテーマにお話しいただきます。

ケアの現場で実際にテクノロジーを活用されているみなさんの取り組みから学びこれからのケアのありようについて語り合います。

小林/
はい、それでは、ケアする人のケアセミナー in こうち 共助のあるまちづくりの分科会1ケアとテクノロジーを開始させていただきます。

まず最初に、私、社会福祉法人わたぼうしの会の小林よりケアとテクノロジーの分科会の簡単な説明の方からさせていただきまして、その後に吉岡さん林さんのお二方からプレゼンテーションをしていただきまして、最後にディスカッションして終わりにしたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

では最初に、分科会1の目的や趣旨について説明させていただきます。

科学と技術が飛躍的に発展している今、
ケアとテクノロジーの関係性があらためて問われています。

ケアとテクノロジーが協同していくためには、省力化などの経済的な理由や、人材不足などの社会的な理由だけではなく、
人と人が関わるなかで生まれる楽しさや葛藤などの感情や経験や矛盾に対して、私たちとテクノロジーがどのように暮らしていきたいかを考える必要があると思っています。

そこで今回の分科会「ケアとテクノロジー」では、
ケアの現場で大切にしたいことを深く問いながら、同時に技術を活用している二つの実践から学び、今後、日常のなかでできそうなこと、課題、これからのケアのありようについて語り合いたいと思っています。

今回プレゼンをしていただくお二方を簡単に紹介させていただきます。

まず報告1が吉岡 由宇(よしおか ゆう)さんです。社会福祉法人福智会 特別顧問、 Abstract(アブストラクト)合同会社 代表社員。

物理学者から特別養護老人ホームに転身し、食事や入浴など介護記録を簡単入力できるシステム「Notice」を開発されました。「介護のありたい姿」を話しあいながら現場に技術を取り入れるプロセスは、技術を使う我々側の考えを深めていると思っています。

報告2は、林 園子(はやし そのこ)さんです。 一般社団法人ICTリハビリテーション研究会 代表理事、 ファブラボ品川 ディレクター、 作業療法士。

3Dプリンタなどデジタル機器を備えた「ファブラボ」は世界1,500ヵ所以上のネットワークがある市民工房です。ファブラボ品川は作業療法士がいる先駆的な工房でつくる楽しみとケアの新しい関係が生まれている場です。

このお二方とともにコーディネーターである私、小林の方で最後ディスカッションを進めたいと思っております。

それでは早速になりますが、吉岡さんの方からプレゼンテーションをお願いしたいと思いますので、吉岡さんご準備をお願いします

報告① ケア中心で考える介護記録システム

吉岡/
それでは、始めさせていただきます。

社会福祉法人福智会、Abstract合同会社の吉岡でございます。 よろしくお願いいたします。 最初に簡単に自己紹介をしたいと思います。

今は介護の仕事についていますが、その前は理論物理学者をやっておりました。数式とか、図のようなファインマン・ダイアグラムというのを使ってひたすら理論的に超伝導などの物理現象を解明することを生きがいとしていました。

なぜ私が介護の世界に来たかと言いますと、万が一、ノーベル賞を受賞した時のために備えて、ノーベル賞をとると晩餐会で社交ダンスしないと駄目なので、社交ダンスを習っていました。

物理の勉強よりも先に社交ダンスを習っていたんですけども、そこである女性と出会いまして、その女性が今の妻です。その妻の実家が老人ホームを経営していたので、全く興味もなかったんですけども、介護の世界に飛び込んで来ることになりました。

学問の世界と介護の世界は全然違うんですけども、最初から一貫して感じている事としては、底抜けに人のいい人が本当に多いなと思っています。私なりにその人たちに何かできないかということを考え実行してきました。今日はその話をしたいと思います。

私が取り組んできたことは、これです。

全く新しい介護システムを作るということです。日々業務に追われながらも、介護記録の業務に追われている彼らに何かできないかというを考えていました。

毎日だいたい30分くらい残業して記録作業というのを行っていました。これを何とかしたかったんですね。そして、その残業をなんとかしつつ、かつ仕事が楽しくなるような、ケアの価値が高まるようなことを何とかできないかと、いろいろ調べました。

販売されているありとあらゆる記録システム調べたんですけども、納得のいくものと言うか、もっと言えば惜しいなと思うものすらありませんでした。平たく言うともっとワクワクが必要だったんですね。介護記録とか介護そのものをワクワクさせるものにしたい。それがないのであれば独自に開発するしかないということで開発いたしました。

Notice(ノーティス)というのがその介護記録システムの名前です。Notice は介護記録の業務システムなんですが、とっても簡単です。

QR コードを使って、利用者選択とログインが一瞬でできるようになっています。そして色々な種類のQR コードを用意してこれらを使うことで簡単にスマホを使ったことがない人でも一瞬で記録ができます。

ちょっと実際に使っている様子を見てみましょう。

これは個人持ちのマグカップだともっと分かりやすいんですけども、個人持ちのマグカップだったらQR コードをカップに貼り付けておきます。

それをサッと読み取れば、その方の水分ページに行きます。後はスライダーで水分量を入力して音声で「コーヒーを提供しました」みたいなのを入れると、それだけで記録が完了します。

次に、こちらは食札(しょくさつ)の裏のQR コードを読み取っている様子で、食事の片付けのついでにQR コードを読み取って、摂食量、喫食率(きっしょくりつ)を入力しています。

こんな感じで記録ができますので、スマホに慣れない人でも1件の記録にかかる時間は、およそ10秒です。たったの10秒で終わります。これは革命でした。

今までケアの度にメモを取ったりとかして、後は残業して iPad やPCに打ち込んでいたという作業が一瞬で現場で終わるようになりました。記録というのはもはや現場ですぐに終わらせるものということに変わりました。さらに、QR コードを読み取れば、ご利用者様のトップページでいろんな情報を一目で把握することができます。

いつ入浴をして、最後の排泄からどのくらい時間がたっているか、水分や体温やバイタルなど、いろいろと見ることができます。

さらに詳細ページにいくと、これは食事のページですけども、喫食率、朝、昼、晩どのくらい食べているか、最近食べておられるかを見ることもできます。

各種報告書についても大きく変わりました。写真をアップロードすれば事故報告書もかなり情報たっぷりに作成できますし、この画面は青アザや褥瘡(じょくそう)ができた箇所を直感的に記録できる画面です。指で触れるだけで青アザとか褥瘡があった場所を直感的に記録できます。

元々、青アザや褥瘡の確認というのは、着脱があるときに、入浴介助の際とかに全体を確認して見るということをすると思いますが、その時にカメラを向けるというのはちょっとあんまりしたくないなということがあったので、写真で記録ができるだけじゃなくって3 D の人体で書く事で報告ができるようにすればそういった問題をクリアできるんじゃないかということでこういった機能を追加しました

さらに、ケアのたびに記録ができるので、端末を開けばいつでも最新の情報が見れます。

誰に水分が必要なのか、誰が便秘気味なのか、誰が体調不良になりそうなのか、トイレ誘導を誰にすべきなのか、一覧化されることで、自然とケアのポイントが浮かび上がってきます。ケアの質も効率も大幅に改善されました。

さらに、様々なグラフの可視化を使ってデータを分析しやすくしました。これはバブルチャートというものです。後でもうちょっと詳しく説明します。

これは排便の一覧の画面です。直近でこの方のカレンダーを見ることで、この人の排便パターンや何日は排便がないかといったことが可視化されています。画面右上のようにピン表示することで、さらに詳しく直近の情報というものを見ていくことができるようにしています。

このような情報を使って適切な排泄コントロールとか、下剤のコントロールというのができるようになりました。

こちらはキーワード検索のページで、キーワードがどのような時期や時刻に多いのかということを教えてくれます。詳細は後ほど紹介したいと思います。

これらはほんの一例ですが、いろいろなグラフを使ってケア会議の場では、これらを使って記録をベースに会議を行うということができるようになってきました。

福智会では、介護記録が「ただつけるもの」から「使うもの」へと大きく変容してきました。

結果としておむつ外しができたり、熱発者や入院者数を減らしたり、さらにいろんなことをどんどん取り組んでいくことができました。

ここまでで Notice の概要、そしてその結果を説明してきたんですが、そもそもワクワクっていうのはどこからくるのかということを考えたいと思います。

介護記録や介護そのものをワクワクするものにしていきたいのですが、そのワクワクをどうやって引き出すのか、より具体的に深掘りしていきたいと思います。

その前に、ワクワクしない機能についてちょっと触れておきたいと思います。一般的に売られている介護記録システムというのはこういったものだと思います。こういった機能を主張しています。

介護記録をつける時間を少し短縮できる。だからご利用者様との時間を確保できます。 センサーと連携できます。離床(りしょう)したらすぐにわかります。

様々な帳票が出力できるので便利です。

AI がいろんな予測をしてくれるので、利用者様の管理が楽です。

正直、全然ワクワクしません。なぜかと言うとそもそも発想が違うんですね。バラバラの機能があるんじゃなくって、やっぱり目的のために、目的からちゃんと逆算して全ての機能やデザインを決定していかないと駄目なんですけども、

じゃあ、介護記録の目的、使い所って何なのかということを考えたいと思います。

多くの業務システムというのは、スライド上の1番と2番のみを重視しています。帳票の作成や、業務の効率化といったものですね。

確かに一部の業務は効率化が必要なんですけども、ケアを(意味をもたない)作業として捉えて、その効率化を行っていくというのは、長期的な視点に立てばケアそのものの面白みを確実に奪っていきます。つまり1番2番に捉われるとケアは必ずつまらないものになります。

ワクワクする介護のためには3番と4番の視点を持っておくことが必要になります。ケアの質向上と、スタッフ間の共感・共有というものです。

ケアの質向上というのはもちろん、記録を見返して方針を決めて、実際にどんどん良くしていこうというのが含まれています。ケアそのものが楽しくなっていき、ワクワクしていくためには非常に大事なところです。

加えて、記録があると実践した後にどんどん良くなっていることを実感したり、みんなでよかったねと共感していくことができます。これはケアを何か変えていって新しいチャレンジをしようとするときには非常に勇気づけられます。

4番目の「スタッフ間の共有」というのは、ただの申し送りというよりは、スタッフの間で気持ちの共有するようなものです。あのとき大変だった、ケアしていったらどんどん良くなっていったから嬉しい、ちょっとあれ気になるよねとかそういったことを共有するものです。

例えば、自分の記録を誰かが見てくれていて使ってくれている、それが嬉しいというのも、この共感・共有に含まれると思っています。

この3番と4番こそが、ケアする人をケアすることにつながる視点だと考えます。

それでは、さらに、どんどん深めていきましょう。

このケアの質向上をどうすれば介護記録の視点から実現できるのか。何が必要不可欠な要素なのかというのを見ていきましょう。

ケアの質向上のためには、使える情報として、使える状態で可視化されている。活用できる状態で可視化されているというのがゴールです。そのために絶対外せない要素を考えていきましょう。

そのために必要なのはまず何よりも正確な情報です。信用できない情報いくら可視化しても意味がありません。だから正確な情報が必要です。そして活かせる状態で、様々な適切の方法で可視化してくれること。

では、正確な情報を集めるためには、今度は何が絶対的に必要かというと、リアルタイムな入力です。後から記憶を頼りに曖昧にまとめてするとか、1回紙にメモったものを転記するとか、それでは意味がありません。

例えば、ケアは生理学に基づいて行う部分が多いと思いますが、つまり、ケアというのは利用者さんの生理学的な状態とか、ケアそのものの前後関係、正確な時刻、順序というのが非常に大事な要素になってきます。

ですので、リアルタイムの記録は必須になってきます。さらに、リアルタイムな入力を可能にするために欠かせない要素というのは何かと言うと、忙しい現場でも出来るように一瞬で完了する点はとても大事です。でないと、後からまとめてやるということになってしまいます。

また、現場でみんなが使いこなせるということも非常に大事です。全員が使えるということですね。得意な人だけじゃなくて、老眼の人も70代の人もガラケー使いの人も、みんなが必ず使えるということがとても大事です。

そしてこれはスタッフ間の共感・共有にも繋がるんですが、どのような情報でも入力できる、気になったを共有できる、この二つの要素も非常に大事です。

現場で完了できるというのは、パソコンやタブレットのように持ち運びにくいものではなくて、スマホで完結できるということです。

これらの要素を全て実現するために開発をおこなってきました。

そのためにまず、ユーザーインターフェース(操作のしやすさ)やユーザーエクスペリエンス(使うことで得られる体験)のデザインですね。いろんなデザインというものを調整してきました。

例えば QR コードだけで簡単に操作できるというのも、スマホに慣れていない人が「この利用者さんをケアしました」というのを記録したいときに「この利用者さん」というのを一覧の中から選ぶとか、名前を検索したり、キーボードを使うとなるとやっぱり大変です。

ログインID、パスワードを入れるだけでも慣れていないと結構大変です。なので QR コードだけで全部操作できるというのは非常に大事なことでした。

音声入力と合わせて使えば、スマホのキーボード操作は全く必要ありません。その結果として、全ての人が現場で10秒で記録が完了できるようになりました。

デカ文字モード」も非常に大事でした。70代のガラケー使いのおばちゃんたちが「こんな難しいの使えない」と最初は反対していました。私はガラケーしか使ったことがないんだと言われたんです。

けれども、老眼モードと言いますか、デカ文字モードというのを導入したら、一瞬で取り込むことができました。

そんなおばちゃんたちが、5分くらいの説明で使いこなせるようになっていくと、「私は使いこなせる」という自信がついて、「私が使えるんやから、あんたらしゃんしゃん(記録)入れていかな」と周りにどんどん広めていってくれたということもあって、 非常に大事でした。

誰でも、初めてスマホを使う人でもわかりやすいようにデザインをしていくために導線を整備していくということをしました。

このように、全ての要素があって、初めて正確な情報がリアルタイムに現場で入力ができて完結ができるということになりました。

結果として記録のための残業ゼロという当初の目標も達成できました。

ここまではいかに正確な情報を得られるようになったかというのを見てきたんですけども、その記録を介護に活かせるように、様々なオリジナルグラフというのを作ってきました。それについて説明していきたいと思います。

これはバブルチャートというものです。一つ一つの丸が記録を表しています。排尿の丸、水分の丸、食事の丸といった具合です。縦軸が時刻で、横軸が日付です。縦に見ると、その方の一日の記録が全部あらわされています。

これを見るだけでいろんなことが分かってきます。排便が多いタイミングはいつ頃なのか、水分は取れているか、事故の前後に何があったのか、この一枚を確認することでわかってきます。

具体的にあった例で、面白い事例を紹介したいと思います。

排便が必ず昼食中にある方がおられました。色々と試してみたのですが、必ず昼食中に排便がある。すごい臭いなんですね。だから絶対に気付くので、その方をいったん居室に連れて帰って、服などを変えて、また食事戻っていただく。

ご本人も大変だし、スタッフも大変だということで、どうにかできないかとケア会議で話していました。食事前にトイレ誘導してみようか、食事前に白湯を飲んでいただくや冷たいものを飲んでいただくとかして胃腸を刺激できないか、とかいろいろ試してみましたがうまくいきませんでした。

あるスタッフが「ご家族が来られる時は食事前に排便があってうまくいくということ多い気がする」と発言したんですね。

じゃあそれをバブルチャートで見てみようということで確認してみました。

排便と食事と水分だけを表示すると、このバブルチャートは丸のところに、マウスを当てると詳細なデータが見えます。ご家族が来られる時に必ずセットで水分のコーヒー牛乳が入っていたんですね。なのでコーヒー牛乳がもしかしたらトリガー(きっかけ)になるんじゃないかということで、試してみたらうまくいったという話があります。

この例から我々は何を学べるかと言いますと、

まず一つは正確な時刻正確なデータが入っているとこんな面白い発見もできるねというのもあるんですが、排泄のことを考える時に、排泄のページだけを見ていたら多分これは気づけなかったんですね。

当然の話で、排便するためには食事を取らないとダメだしそれと関係するのは運動であって水分であって、つまりその人の一つの体で全ての事が起こっています。

なので、介護記録も切り離されたページにあるのではなく1ページに全ての要素が正しい時系列とともに表示されているというのは非常に大事だと思います。バブルチャートだとそれが見れるんですね。ケアの改善をするためにはバブルチャートしかないということでこのような機能を実装しています。

他にも面白い事例をお見せしたいと思います。

これはキーワード検索というページを、一部を切り抜いてお見せしています。どのようなキーワードが記録の中に含まれているのか、何時頃あらわれるのかを可視化するものです。

ある方がよく大声を上げられるということだったので、「大声」というキーワードが入っているのはいつなのかを調べてみたものです。

上のグラフはどの時期や季節に多いのかを表していて、下のグラフは、どの時刻に多いのかを示しています。

下のグラフを見ると、午後に増えていって、夕方の18時過ぎにピークを迎えるというのが分かっているんですが、これは典型的な「夕暮れ症候群」だと思われます。

夕暮れ症候群というのは教科書的には知っているよと言う人もいるんですが、自分たちの入れたデータからしっかり確認できるというのは意味が違ってきます。

実感として体験することで記憶にも残りますし、この人は本当に夕暮れ自体がすごい怖いぐらいに不安にいつも感じておられるんだということを感じ取ることができます。よりリアルな体験として刻み込むことができます。

そうなってくると、この方は午前でも大声を出すので「これは夕暮れじゃないけれども、何を不安に思っているんだろう」ということをより調べて行こうというきっかけになります。ですので、こういった可視化は非常に有用でした。

もう少しラフな例で言うと、

もう少し栄養状態を良くしたい方がいらっしゃって、最近この方はご飯をおかわりするようになったよねという話題が上がったので「おかわり」というキーワードを検索にかけてみました。

最近ちょっとおかわりが増えてきているというのが分かるんですけども、昼どきの記録が多いということなので、お昼ご飯におかわりが多いというのがよくわかりました。

これをどういう風に使っていたかというのは一旦置いておくんですけども、ちょっと知りたいこと、ちょっとした仮説があった時に、それ本当かなということを簡単に検証できるようになったので、記録を集めれば、ケア会議の進み具合が大きく変わるというのは実感できるようになりました。

現場あるあるだと思うんですけども、福智会でもそうだったんですけども、チェックシートが年々増えていく。だから、記録を増やすということに大きな抵抗がありました。チェックシートというものはちゃんとやっているかを監視するためのものだったりするのでちょっとネガティブなものです。

それが今では、記録を取れば、仮説が正しいかどうか分かるから、とりあえず一週間、(後で説明する)一言イベントでタグをつけて記録をとってみましょうという提案が自然と沸き起こるようになりました。記録をさせられているのではなく、記録がしたくなるようなパラダイムシフトが起きました。

ここまでで、ケアの質向上のためにどのように緻密に細部まで考えて機能をつけて、そして正確な情報を集められるようになったのかというお話をしてきました。ケアに使える情報の種類を増やしたことで、今から4番目の共有・共感についても話していきたいと思います。

追加した機能として「一言イベント」というものがあります。

これは食事や排泄やバイタルのように、数値的な記録ではない、分類できない何でも記録をできる場所ということで、一言イベントがあります。

申し送るほどではないけれども、 ちょっと気になったことをシェアできる。ちょっと機嫌が良さそうだったよ、何かいつも違うと気がする、申し送るほどではないこと、でもメモっておきたいこと、それをちゃんとシェアできる場所を作りました。

この情報がケア会議では重要になってきました。みんな気になることがあってもだいたい忘れています。いざケア会議で思い出せるということはほぼありません。ほとんどがケア会議直前に起こったことだけをベースにケア会議が進んでいました。それか声の大きい人の意見だけをベースに話が進むみたいなことが多かったんです。

けれども、このようなメモがあれば、後から思い起こせますし、ちょっと気になった利用者さんを見ていて、普段との違いに気付いたということをケア会議で、ちゃんとそれを使って感謝されるものへと繋がっていくということができる、それは非常に大事なことでした。これも共感に関わる事だと思っています。

もう一つ「ドッグイヤー」という機能もあります。 これも、気になったとか、いいねみたいなことに繋がっていくんですけども、毎日大量のデータが溜まっていきます。排泄も1日に複数回は当然あるのでたくさんデータが集まってきます。

見返すが本当に大変な作業なんですけども、特に気になったこと、頑張ったこと、人が頑張っていたこと、見返したくなるようなこと、そういった記録を雑誌や本で気になったページの端を折るように、目印が付けられるような機能をつけました。

実際の操作画面を見て頂きたいと思います。画面のように耳を折るように「これが気になりました」というシグナルを送ることができます。例えば昼食に、食べこぼしが今日は多かったのがなんか気になるわ。というので付けている。こういうことができます。

そうすると、一覧で見たときも、大量のデータがある時もこうやって目立っているので後から見つけやすくなります。大量のデータの中からパッと見つけられます。

例えば、そわそわしながら棚の整理をしていたけどもこれは排泄のシグナルではないか、みたいなことを、ちょっと気になりましたのでまた話し合いたいです、みたいなことをつけておことができます。これを会議の場で、バブルチャートで強調表示がされるのでこれを見ながら話すと言ったことをしています

こんな感じで介護記録をもっとワクワクさせるため、介護そのものをわくわくさせるためのテクノロジーということで、色々とお話をさせていただきました。

これが最後のスライドです。

介護士の地位向上ということでいろいろと取り組む中でブランディングとか、制服オシャレにしました、みたいな取り組みが大々的に取り上げられることがまれにあるんですが、それって全く本質的ではないですよね。

同じように、ケアを(意味のない)作業と捉えて、それの効率化だけを考えたような作業的介護とか作業的介護記録というのは、ケアの本質を捉えていません。

そのような本質を捉えないようなものが前面に出てくると、今度は、ケアの楽しみを奪っていきますし、 結局ケアする人を潰していくものと思っています。

だから AI の排泄予測とか、センサーアラートでスタッフを振り回すとか、主体性よりも効率性重視というのには真っ向から反対していくべきなんじゃないかなと考えています。

そもそも、ケアそれ自体が面白いものだから、それをもっともっといかに楽しくしていくかだけを純粋に追っていけばいいんだと信じています。まやかしが必要なものじゃないと思います。

なので、介護記録も、ケアありきで、ケア中心で考えればきっと楽しくなっていくんじゃないかなと信じています。

以上です。ありがとうございました。

小林/
ありがとうございました。

後でディスカッションの時にまた質問とかをさせていただければなと思いますので、よろしくお願いします。

引き続きまして、2つの報告で林さんからプレゼンテーションをお願いします。林さん、ご準備をお願いします。

報告② 3Dプリンタで自助具を作る

林/
ありがとうございます。よろしくお願いします。

私の3 D プリンターで自助具を作るという取り組みを中心にお話させていただきます。 どうぞよろしくお願いします。

改めまして、簡単に自己紹介をさせてください。私、林園子は作業療法士で、ファブラボ品川のディレクターと、一般社団法人 ICT リハビリテーション研究会の代表理事をしています。あと慶應義塾大学の大学院で3Dプリンタとデザインについてについて学んでおります。

活動の中で3 Dプリンタで自助具を作るときに上手く活用できそうなフィラメントという3 D プリンタの素材の開発や、3 D プリンタで自助具を作るための教科書、書籍なども出版しております。

ファブラボ」という名前に聞き馴染みのない方もいると思いますので簡単に説明をさせてください。ファブラボとは3Dプリンターなどデジタル工作機械を備えた市民に開かれた工房として営業されています。国内では現在20カ所程度、世界では今2,000カ所くらいあるのではないかと言われています。

ファブラボ品川は東京都品川区中延(なかのぶ)の駅前に、駅から1分ほどのところにあります。2018年から活動を開始しており、作業療法士のいるファブラボとしてケア分野でのデジタル工作の活用を中心に、学習ワークショップやイベントを提供しています。いまは施設や企業向けの導入支援もしています。

作業療法士などが製作する自助具に着目して、3D モデルの共有やサービス開発を行っています。

3Dプリンタのケア領域での活用ということで、具体的にはどういった3Dプリンタを使うのかと言いますと、いくつか3Dプリンタも種類があるのですが、私たちが活用のために広めようとオススメしているのは、熱く熱せられたノズルの先から樹脂が溶けだしてきて、下から上に積み上げて造形していく方式の「熱溶解積層方式」と呼ばれる3Dプリンタになります。

この様式の3Dプリンタが世界中でたくさん普及していまして、価格が下がりつつも、精度がだいぶ高まってきているという3Dプリンタです。価格はいま3万円前後のものをみなさんにオススメする機会が多いです。

フィラメントと呼ばれる素材も各種開発が進んでいて、価格もそんなに高くありません。(スライド画面)右側にある、PLA、TPU、PETGあたりが、自助具製作にもおすすめしている素材になります。大体1kgあたり3,000円前後で売られていることが多いです。

素材の価格もですが、素材そのものの種類や機能も開発競争が進んでいて、国内のメーカーもいろんな素材を開発しています。こちらはファブラボ品川とユニチカ株式会社さんとで共同で開発したフィラメントです。45度の加温で後加工がしやすくなるフィラメントを開発しました。

このフィラメントを使っていただくと、これは完成品の画像なんですが、完成前の3Dプリントした時点では平らに出力されます。平面状に出力したものを、後からヘアードライヤーなどで温めて、使う人の手の曲面にそった形で、温めて後加工して一番使いやすい形にできます。

国内で開発されているフィラメントには、最近だとコロナウィルス感染拡大もあり、ウィルス感染や抗菌素材に注目がいっていることもあり、抗ウイルス、抗菌フィラメントも国内のみならず世界中で少しずつ普及がはじまっています。

こういったものを手にあたる部分や、交換して使うようなものに使用することで、ウイルス感染を防ぎつつ、安心して使えるということも夢ではなくなってきている状況です。

3 D プリンタは造形するのに時間がかかるとイメージされる方も多いと思いますが、最近の熱溶解積層方式の3Dプリンターは出力スピードがだいぶ速いなってきているものも開発されてきています。

これぐらいの大きさのものでも、そういった(スピードの速い)3Dプリンタを活用して、かつ出力設定を工夫することでだいたい40分ぐらいで出力ができるようになってきています。 速さも結構重要なポイントかなと思いますので、いろんなことが現実的に実現可能な状態になってきています。

私たちは3 D プリンタやデジタルの活用を、ケア分野で自助具をつくるということに特化してやっていますが、どうしてそんなことをしているか。

一番大きな特長は、作った道具の形をデータとして保存することができる。そしてそのデータを共有したり、そしてデータを活用することで道具そのものを一から作る必要がなく、一人ひとりの体や使い勝手に合わせるために一部だけを修正できる。今まで作ってきた一つひとつの手づくり自助具に比べてすごくメリットがあるんじゃないかな思っているためです。

私たちはデジタルを活用することで、道具に人が合わせるのではなく、一人ひとりに道具を合わせていくことが効率よくできるんじゃないか、そんなふうに思っています。

そしてさらには提供者と被提供者という道具の提供の形ではなく、3Dプリンタやデジタルを活用することで、私たちはよりよい環境の共創者として、ケア分野に関わる方々のみならず、みんなが、自分たち(や他の人たち)のよりよいの環境の共創者なりうることを訴えていきたいと思って活動しています。

3 D プリンターは制作データが残るので、手直しをし続けることが簡単になることが、従来の自助具製作に比べて言えると思います。

手直しがしやすい、ということは提供者と被提供者のディスカッションでモノをつくるプロセスというよりは、提供者と被提供者だった人同士がそれぞれ語りあい・対話を通してつくりあげていくプロセスにシフトしていけるのではないかと思っています。

その場で意見を言いやすいということもありますし、出力したものが目の前で形になるので試して使うことができやすく、そして改良と改善というプロセスを回しやすい。このつくる活動や、つくり続ける態度そのものが「ケア」なんじゃないかなと考えています。そうした活動を通してより良いものができれば更に良いのではないかと思っています。

このような活動を私たちがひろめたいと、2018年からファブラボ品川をつくり、活動を続けてきたんですが、おかげさまで沢山の方々とコラボし、たくさんの3Dプリンタで作れる自助具のデータを共有することができ、様々な展示会で展示をする機会もいただいています。私たちは共創者である作れる人をもっともっと増やしたいなと考えています。

ですので、2018年から2019年にかけて作り方の教科書出版をおこないました。そしてもっともっと簡単に作れるようにデータを QR コードで読み取ってダウンロードすれば、そのデータの形がすぐに3Dプリントできる、手に入れることができるカタログ事例も出版しました。

そしてファブラボ品川のホームページをご覧になっていただくと、いま現在160弱くらいの3 D モデルが共有されています。どなたでもIDなど特別に取る必要なくダウンロードして、ご自身あるいは周りの方々が3プリンターをお持ちであれば、すぐに同じものが作ってできるようなプラットフォームを開発しています。

こちらはファブラボ品川のホームページです。「アシスティブデバイス」というところをクリックしていただくと、このような形でクリックしただけで物の形がダウンロードして手にしていただくことができるように仕組みを作っております。ぜひお試しになってみてください。

私たちはこの活動の中で、「1.分散」「2.自律」「3.共創」というところを3Dプリンタで自助具を作る取り組みから作りあげたいなと思っています。これ(スライド画像)は日本地図とクラウド上のプラットフォームがあるような図で、日本だけでなく世界中でも似たような活動はひろまっていますが、日本の各地域でこういった活動ができるといいなと思っています。

具体的には、いろんな場所に3Dプリンタがあって、価格が3万円以下と安いので、身近に作れる、1つからものづくりができる環境を整え、そして、プラットホーム上にいろんな形で活用可能なデータが揃っていて、そこからあらゆる人がそのデータのアイデアを基に3 D モデルを作ってアレンジをする。そして、身近な人に合わせた自助具製作が、医療や福祉施設の中でもいいですし、地域の中でもいいですし、いろんなところでまわっていく

そして、まわってきてより良いものができた結果を、プラットフォームに還元していく循環がつくっていけるといいなと思っています。今回のイベントにもお声がけいただいたんですけども、いろんな人たちとともにこのような作れるコミュニティを広げていきたいと思っています。

世界中には実は似たような取り組みをしているところが結構あります。ファブラボ品川は世界中のプラットフォームの中では最も多いくらいの制作数をそろえてはいますが、コミュニティの数としてはまだまだ世界規模ではありません。

3Dプリンタってちょっと難しいかなーって思ってる方もいらっしゃるかと思いますが、私たちは日本中でもっともっと、あらゆるレベルで3Dプリンタでものづくりをするということに取り組みやすくなるように作れる人、作りたい、作れるというハードルをもっと下げて、作ることに関われる人を増やしたいと思っています。

具体的にはこのような形で、ワンタッチでスクリーンをタップしただけで欲しい自助具のモデルを3Dプリントすることができるようにする仕組みを開発しています。

また、適切な数値を入力するだけでその方に合わせた道具の形をすぐにその場で手に入れることができるような、私たちは「寸法調整サービス」「パラメトリックサービス」呼んでるんですけども、こういったサービスもファブラボ品川のホームページ内のプラットフォームに加えておりますので、ぜひそちらもどなたでも触ってみていただくことができますので体験してみてください。

ほかにも、3Dプリンタで作ったものがその場で使えるようなイベントを各地で開催しています。今はたくさんの方々と集まって大きなイベントを開くということは難しい状況ですが、そういった状況でもオンラインなどを駆使して開催しています。

私たちは「インクルーシブ・メイカソン」と呼んでいるんですけど、その場で障害のある当事者の方と、いろんな方が集まって、その方がいま必要とされている暮らしをより良くしたり楽しくするような道具づくりをみんなで取り組むということをしています。

多様な方と集まって作るんですけども、当事者の方を必ず最初から最後まで巻き込み、そして最後はそのストーリーと作った道具のデータをどなたでも使える形でインターネット上でオープンソースにすることが私たちのインクルーシブ・メイカソンの特長です。

こちらはインクルーシブメイカンソンの場面の一部です。当時者、支援者、エンジニア、いろんな方とものづくりをやっています。

ここ数年はなかなか集まることが難しいのでオンラインでやってしまおうということで、日本全国から参加者を募って、これもまた当事者の方と最初から最後までものづくりをしているんですけども、オンラインでも割とできるなという実感が持てています。

データはオンラインでやり取りをして、物はここではデリバリーをして試していただいて動画を撮影してフィードバックをいただいて作り直すというプロセスをとりました。記録はこのような形で「Fabble(ふぁぶる)」というプラットフォーム使うことが多く、チームメンバー全員でこのような形で記録をつけていきます。

Fabble(ふぁぶる) https://fabble.cc/

その方が何が必要だと思ったのか、その思いはどうだったのか、そして、どういうチームメンバーのアイデアから、そのものが生まれたのかということを、こちらは期間が1ヶ月ほどとれたメイカソンだったので詳細に記録をしているんですけども、必ず作ったもののデータも一緒にあげて、よかったかどうだったかというフィードバックもいれて、全てのプロセスをオープンソースにしていることが特長です。

こちらのメイカソンで特長的なのは、障害のある当事者を私たちはイベントの中では「Need Knower(ニードノウア)」呼んで、ニードを知る人ということでご参加いただいてるんですけども、最初はニードノウアだった方が、徐々にその方が実現できる力をいろいろ備えてきています。

(スライド画像の)中央で車椅子で座っている方は、脳性麻痺があって、上肢も下肢もの可動域がすごく小さい方なんですけども、うまく動かせる左手を使って、マウスを使って3 Dモデリングができるようになりました。彼が今使っているヘッドバンドの先に棒状に伸びているものがあるんですけども、こちらは彼自身が3Dモデリングしてご自宅でもいま改善を重ねていらっしゃる、パソコンのキーボードをタッチするための自助具になります。

これを使っていま、ご自身のものだけではなく、いろんな方のものを作っていらっしゃるようです。

そして、3 Dモデリングを視線入力・アイトラッキングだけで取り組まれている方もいらっしゃいまして、彼は左手の母指(親指)の先がわずかに動いて、そして視線が動かせるという動きのみでモデリングすることができています。

彼はこのときメイカソンでは、音楽を演奏できる道具を作りたいということでチームで頑張ったときのシーンなんですけども、彼も彼自身モデリングをしてご自宅に3Dプリンタを備えて、自助具をご自分で作るということもやっていました。

ここでメイカソンの最近の事例をいくつか紹介します。

こちらは ALS(筋萎縮性側索硬化症)という疾患を持っている江村さんのチームの事例で、最近のフードメイカソンという食べるものとか飲みものにフォーカスしたメイカソンを昨年の秋に行いました。そのときのニードを叶えるためのチームの作品になります。

江村さんはこのときALSが少し進行していて、飲み物を飲むのが一人でできないので、介助者にコップを使って飲ませてもらうのですが、食べるときや飲むときにむせるようになってきてしまっていたので、胃ろうをつくって、胃ろうから水分や食事を接種できるようにもしています。

薬も胃ろうからいれることがほとんどの状況です。飲み物はギリギリ調子が良ければ介助者に介助してもらって飲むことができる。

コップは一つがいいけれど、胃ろうから入れる粉薬をコップで溶かすときに、シリンジで吸い取って胃ろうから注入するために、粉薬を最後まで溶かしてコップを傾けながら全部吸いあげるということが難しかったらしく、飲ませやすくて、お薬もとかしやすくて、シリンジで最後まで気持ちよく吸い取れるコップがないかということで、開発を協力してチームメンバーでおこなったコップになります。

最後は下にくぼみがある状況のコップを3Dプリンタで造形して、いま使っていただいてます。この間、展示するためにお借りできないかという話をしたのですが「貸せない」ということで、今でも毎日使っていらっしゃるということで、生活にそくしたものが出来あがったのかなとチームメンバーも喜びつつ、引き続き、改善や商品化をめざす話も出てきているような作品です。

こちらがもう一つのメイカソンの事例で、ポーション型の容器を自分で開けられるようになりたいという畔上(あぜがみ)さんという男性です。

脳性麻痺がもともとありまして、手足を動かすとき、とくに、手の動きが協調的な動きができない。力の入れ具合がうまくコントロールしにくいという障害があります。

でも畔上さんは、コーヒーとかコーヒーのミルクとかポーションタイプの物で飲み物を飲んだり、あるいはドレッシングをかけたりして食事したいという想いがありました。

ポーションタイプの容器を畔上さんが力を入れすぎてしまっても、あるいはコントロールが難しくても、こぼさずに飛び散らずにしっかりとご自身で開けて飲み物を作ったりできる道具を作りたいというニーズを叶える機会をみなさんで設けました。

ここ(スライド)の画像に載せているのが最終的な作品で、最後はかなり使えるものができたということで、こちらのチームは先ほど紹介したFabbleの記録を見ていただいたらわかるように、畔上さんのチームの記録はかなり作り込んで、だいぶ相談しあって、今でも相談しているというような形になっています。

コミュニティが続く可能性が高いというか、コミュニティを継続させる枠組みを最初からしつらえやすいのが、メイカソンをオンラインで行う特長かな私は思っています。

なぜなら、最初からオンラインでコミュニケーションができるようにプラットフォームを作って準備をしてしまうので、オンラインでのコミュニケーションが終了後も途絶えにくいので、引き続きイベントが終了したとしても、ちょっとしたことでコミュニケーションをとれたり、後のちリアルで会えるタイミングが合えば会いに行ったり、あるいは改善したもの届けたりというアクションにつながりやすいのがオンラインの良さの1つかなと思っています。

最後に、ボウルからお菓子作りの材料をムダなく片手で容器に移したいという女性の方、こちらは脳血管障害で右手に麻痺があり左手で趣味である料理やお菓子づくりに取り組みたいという方のニーズを叶えるための道具づくりをしました。

こちらは最後に動画をちょっとご覧になっていただければなと思います。

シフォンケーキを、ボールの中身をしっかりと最後までいれたいというニーズがあったんですね。しかも片手で。

この(ボウルの下にある)土台の部分がチームで作った自助具です。傾き度合いと固定感が絶妙な自助具を作りました。

シフォンケーキという特徴上、素早く型に流し込んでしまわないと膨らみにくいということもあって、最後までボウルの中のタネをしっかりと形に、しかも素早く入れ込みたいことが彼女のニーズでした。見事このチームはこの方のニーズを叶える道具を作れたということになります。

ご覧になっていただいたように、私たち特に作業療法士という職業を持っているものですから、私たちの意識としては道具を作るのではなく、作業をともに作るんだという意識のもとにやっております。作業療法でいう「作業」というものの言葉の理解はちょっと難しいんですけども、私たちの言っている作業は「その当事者の方一人ひとりにとってすごく意味のある作業」を作業と言います。

それはいろんなものがあるんですけども、例えば食事をすることだったり、料理をすることだったり、旅行に行ったり、そういったことかもしれません。その方にとって意味のあることは、単に食事をするあるいは料理を作るということではなくて、誰とどういった環境でどんな形で食べたいか作りたいかということも含まれます。

そういった一人ひとりに多様性のある作業をともに創るということは、やはりなかなか大量生産品では追いつかないところがあります。その手の届かない所に対して一つからモノづくりができる、そして作り変えて手直しをし続けることができる、そういった可能性を持った3Dプリンタの活用というものが、私はこういったケア分野での道具づくりにおいて非常に有効なのではないかなと考えています。

ぜひ皆さんも3 D プリンターで身近な方あるいは自分自身の環境をより良くするための 共創者になってみませんか?ぜひ一緒に活動していただけるとありがたいと思っています。今日は私の話は以上で終わりになります。ありがとうございました。

ディスカッション

小林/
吉岡さん林さんありがとうございました。これらのプレゼンテーションを基に、ディスカッションで話を深めていければなと思っておりますのでよろしくお願いします。

まず私の方から少しコメントも含めて質問させていただきます。

吉岡さんのNoticeのほうで、介護記録と言ったときに、数値化できることを記録するのはもちろんなんですけど、数値化できないことのなかにも2種類わけられているのが個人的には良いな思っていてて、なんとなく言葉にできることが「一言イベント」に書けるし、数値化できないかつ言葉にもうまくできないみたいな、何か気になるんやけど言葉にするにはモヤモヤするみたいなところが「ドッグイヤー」で何かしらアクションできるというところがあって、そういう数値化できることと、数値化できないけど言葉にできること、数値化できないけど言葉にもできないというところも全体を網羅されている個人的にいいなと思っていました。

それと、青アザとかがあったときに、3 Dの人のモデルでやるというところも「カメラを向けたくないな」っていう、あの感覚ってすごく大事だと思っていてて、そう思えるか思えない感じで大きな差だと思います。

それくらいスタッフのこととか利用者の方とかの事を考えていく中で、1個気になったのが、利用者さんとかご家族へのこういった記録を取りますよと言った事前説明とかってどうしてるんだろうなと、すごく丁寧なイメージではあるんですけど、何かされているのかなと気になったところです。

吉岡/
そこは全くしていません。もともと介護記録ってつける義務があるので、それをただ電子化しただけというところもありますので、とくにご家族に説明を細かく、細やかにということはしていませんでした。

ただ、今まで紙でやっていたのがいきなり携帯端末でできるようになると「スマホをいじってるんじゃないかな?」と思われないかなというのがちょっと心配としてあったので、ご家族にはこれを使っていろんなことがきっとできるようになるので、暖かく見守ってくださいというご説明だけは差しあげました。

そんなにネガティブな反響っていうのは全くなくて、それを使っていろんな事ができるようになるというポジティブなところを見ていただいているのかなと思っています。

小林/
ありがとうございます。次に、記録される方は全員記録できるようになられたんだと思うんですけども、ケア会議で、ケア会議というイメージがしにくい方もいらっしゃるかもしれないんですけども、ケア会議という会議の中で、数人というかどれぐらいの規模感でデータを共有されてらっしゃるんですか?

吉岡/
福智会の場合は、ケア会議を月に6回ぐらい開いているんですけども、それぞれ10名前後が参加しています。

福智会の場合は、従来型特養というところで、ユニット型じゃないのでユニットで分かれていないんですけども、なんとなくチームが三つに分かれていて、このチームはここのエリアの利用者様を見るのがメインというのがざっくりと決まっています。

そのチームごとにケア会議というの行うんですけども、その会議の際には基本的にはデータをなるべく確認する事っていうのをベースにしています。

先ほど小林さんがおっしゃられたように、記録するということはほぼ全員がやるんですけども、なかなか細かな分析をするというのは少数の人しかできない、ある程度スキルはやっぱり必要になってきます。

というのも、システムが何かを教えてくれるわけじゃなく、知りたいと思ったときに教えてくれるという状態です。仮説を検証するためのものなので、何か指示を与えてくれるものじゃないです。

なので、何かを知りたいと思わないと教えてくれないから、知りたいと思う能力がまず求められるのがあります。

だから「ケアをこういう風にしたいんだけども、もしかしてこの人こうかな?」って例えばケアマネージャーさんが話し合いの中で生まれてきたときに初めてそれを見てみようというのが生まれてくるので、そういったスキルが必要になっています。

小林/
実際に、気になったこととか、普段の申し送りだったり、特記事項だけではない情報が今までよりはだいぶ大量に入ってくるなかで、感情的なことであったりとかそういったところにも会議の議論が今までよりも増えてきたというのは実感としてありますか?

吉岡/
そうですね、自然と会議が活発化したら「あのときあんなん言われてびっくりしたショックやったわ」みたいなことが自然と話題をとる形ですが巻き起こるというのはあったかと思います。

また、思い起こしながらそのときのことの正確なデータが入ってきたり、ちょっとでもヒントになるものがあったらどんどん感情記憶から思い起こしながら話し始めるということは結構ありまして、この方はどうですかと漠然と聞かれても「いやまあ大丈夫だと思います」「いつもはこうです」というなんとなくのイメージだけで喋ってしまうと、自分の感情まで思い起こすってところまで辿り着けないのかなと思っています。

なので、記録の量と質が上がると、自然と勝手に理屈じゃなく、湧き上がってくるものなのかなっていうふうに思っています。

小林/
ありがとうございます。林さんに質問する前の橋かけというかブリッジ的に吉岡さんに質問なんですけども、

介護記録に対していろいろアプローチをされていてて、福智会はホームページで見る限りでも老舗でもありすごく技術も取り入れてというなかで、林さんがやってるような3 D プリンターを導入して、暮らしに対して何かもう少しよりよくアプローチするということを、今はされてないと思うんですけども、平たく言うと3 D プリンターを導入しようと思わないハードルというか、その辺りの本音は聞いてみたいなというところはあって、

いま自分たちの福智会だと、3 D プリンターというところが入れにくいんだとか、そういったところで何か引っかかる部分ってありますか?

吉岡/
ちょっと長くなってもいいですか?あれだったら後でカットしてもらってもいいんですけども。

林さんの話を聞くたびに「入れたいな~」って思うんですよね。林さんの本も買ったりしてて、本当に入れたいなって思うんですね。

実際に本当に入れたいですが、やっぱりこれもスキルが必要だなと思うところがあります。

それはやはり、インクルーシブ・メイカソンをやっているというのはすごいなと思うんですね。どういうスキルが伸びるかっていうことをちょっと考えたときに、ハードルとして二つあるなと思っています。ハードルと言うか、利用する側としてのフェーズが二つあるかなと思っています。

一つは単純にダウンロードしてプリントアウトするフェーズと、自分で問題を発見して改善していくっていう二つのフェーズがあると思います。

一つ目のフェーズに関してはある意味で、導入さえしてしまえばクリアできる。プリンターを購入して、置いて、ダウンロードする。このステップはかなりファブラボさんがされているのでかなりハードルが低くなっているんだろうなと感じます。

ただ、問題を見つける能力とか、そこに関しては非常に不安があると言うかそれが果たしてできるんだろうかっていうのがハードルとしてかなりあるのかなと正直なところ思っています。

Noticeも同じ問題を抱えていると思っていてて、先ほどの能力ですよね、何かを問題だと捉えてそれを改善しないとって思う能力というのはなかなか難しいんですよね。だから当事者をちゃんと入れて、ちゃんと聞き取りをかなり行わないと難しいところがあるんじゃないかと思っています。

特に、高齢者で認知症の方でコミュニケーションが難しい方でとなったときに、そこが介護の面白みでも本来あるはずだし、腕の見せ所でもあるとは思うし、なんですけども、そこのスキルがまだまだ足りないんじゃないかなと思って二の足を踏んでしまっています。でもめっちゃやりたいです。

それから二つのフェーズに大きな差があると思うんですけども、先ほど林さんがおっしゃってたパラメトリックサービスというのはそれの架け橋になるなと思っていてすごくいいなって思いました。

小林/
そうですよね。僕も「作るのハードルを下げる」と林さんがおっしゃったときに、ただダウンロードするところから、もう一つ自分たちなりの工夫っていうのをしたいときに3 D データの設計から学び始めないといけないじゃなくって、パラメータ・数値を変えるだけでそれができるというのはすごくいいなと思いました。

林さん、いま吉岡さんのご意見とかを聞いて、おそらくそういった施設さんとか多いと思うんですけども、林さん的なアプローチと言うかこんな感じで一緒にできたらいいなとかという考えがあったりしますか?

林/
ありがとうございます。すごくご意見参考になるなーと思って聴かせていただきました。

おっしゃる通りで、いろんな方々に先ほどの動画をご覧になっていただいたような開発したものを使ってみていただいたり、実際に病院さんですとかクリニックさんに置かせていただいて一定期間使っていただいてフィードバックいただいたりということもやらせていただいてるんですけども、

なかにはフィードバックの中で、使う人に道具をフィッティングするためのスキルとか、ものの見方とか、そういったところがまだまだちょっと足りていないっていうところで、このシステムだけでもなかなか宝の持ち腐れと言いますか、もうちょっと物の見方や、どういったフィッティングの仕方が良さそうかみたいなところの、事例集みたいなものがあると良さそうかなとお話をいただいていました。

そのあたりは私も課題感を持ってましたので、今まさにちょっと深掘りをしようとまとめようと作業をしているところです。

そして、全国で取り組みを進めてくださっている作業療法士の方を含めて、コアになる方々とディスカッションをしているんですけども、どういった形で広めるのが良さそうかというの話を進めているなかで、やっぱりガイドライン的なものは必要だよねという話で、一定の安心して作ることを勧められるガイドラインのようなものも用意しようと思っています。

一方で、より多くの人がそれによって気づきを得たりアレンジしたくなるような仕掛けもすごく必要だよねということで話し合いを進めています。

もっと取り組もうと思ったキッカケとか、そのものをアレンジしたくなったようなキッカケってどんなものだったのか、みたいなところもみんなで集めてそのアイデアを共有して広げていきたいなという風に思っているところです。

具体的には、例えば一つの例としては、私たちが昨年出版させていただいたカタログ集のようなもので、実際にめくってたくさんの事例が見れたりするので、その中から「今の暮らしの困りごとは、実はこれは当てはまっているかもしれない」みたいな気づきがあったり、その冊子によってセラピストと患者さん、あるいはその施設内で入居者と支援者が話し合うキッカケになったりですとか、そういったことが広がるんじゃないかなという話もあります。

もっと言えば、リアルに触れた方がいいので、ある一定のサンプルを、触れるような展示物を用意しておくことも必要なんじゃないかという話があったりして、サンプル集の枠組み使って、触っていろいろディスカッションできるような、ニーズがそこから湧き出てくるような道具集みたいなところを仲立ちにして展開できないかということも話し合いを進めているところです。

なるべくそのあたりも上手く進めつつ、全体としていろんな方々に実感をもって使っていける仕組みができるといいかなと思っています。ありがとうございます。

小林/
ありがとうございます。吉岡さんのように興味をあるけど、という施設さんはたくさんあると思います。林さんがおっしゃってる中でなるほどなと思ったのが、1回のメイカソンだけじゃなくって、その後のコミュニティとして継続するために、オンラインっていう手法はすごく有効なんじゃないかという話をされていてて、なるほどなと思っていました。

例えば、吉岡さんところとオンラインでつなぐということになったときに、オンラインでニーズを探るって結構難しいイメージがあるんですけども、オンラインのなかで実際に利用者の方の声を聞くとか、スタッフの声を聞くというときに、注意するポイントと言うか気にしてるポイントとか何かあったりしますか?

林/
可能な限りイベント前に当事者の方とあるいは支援者の方と1回は、ニーズについてもそうですけど、その方の大事にしているものは何なのかということはこちらも掘り下げたいと思っていて、ディスカッションする場を設けるようにしています。

あとは、なるべく当事者の方がご自身で表現する・表現しきるようにお願いしていますが、その難しさがありそうでしたら、必ず一番身近に暮らしてらっしゃるご家族や支援者の方と一緒に参加していただくみたいな所もできればお願いしますということで勧めてたりしています。

あとニーズを探っていくのは、複数人とその人が大事にしてることについて話し合い、そしてアイデアを出し合って、道具を作って、オンラインであれば送って感想を伺うことになるんですけども、ディスカッションを通してできたモノが送られてきたときに、表情が結構みなさん違ってくると言うか、一緒に作り手になってくださっているんだなというのは、参加していてフィードバックを聴きながら実感するところがあります。

それでさらに盛り上がるみたいなことがあるので、リアルなモノを送ってそして試して、触ってというプロセスは大事だなと思っています。モノが仲立ちになっていないとそこのニーズは拾いきれないかなっていうのはありますかね。

小林/
なるほど。実際に3 D プリントを入れよう、入れてる、入れ始めてるところは肌感としては増えてる感じですか。

林/
そうですね、問い合わせもだいぶいただいてますし、個人ではなくて、施設とか病院あるいは系列単位で購入したいんだという話はだいぶ増えてきています。ですので、ミスなく流れを作っていきたいなと思うところです。

小林/
ファブラボ品川さんが窓口になることはもちろん多いと思うんですけども、各地でキーマンになる方が対応してくださるということも今は増えてきているんですか?

林/
ICTリハビリテーション研究会の中で、各地域で支部を作っているので、その支部の3 D プリンター使える者とお近くであれば、その方の施設に行って、ワークショップとか研修会を開くのであれば、一緒に同行して最初の導入ところから関わってもらうことでフォローアップが近いところでしやすいようにという流れはつくろうとしています。

なるべくそのような形で、私たちが直接ずっとやるというよりも、お近くの方と輪を広げて、コミュニティを広げて、私たちは「ハブ・アンド・スポークモデル」と言ってるんですけども、その方がまたさらに輪を広げていってくださるキーパーソンになってくださるといいなと思っています。

小林/
ありがとうございます。そろそろ時間で、最後に吉岡さんへの質問になると思うんですけども、後で林さんには3月に開催するものづくりの成果発表会の情報を画面共有で見せていただけたらなって思いますのでご準備ください。

それでは吉岡さんに質問なんですけども、今回、3 Dプリンターもデータですし、介護記録もデータというなかで、吉岡さんの方は感情、情動、共感とかそういった部分のところでデータに意味があるなと思ったところと、林さんの方は身体的もあるし、暮らしの道具という作業というところのデータもあるんですけども、今までの世の中で言われているデータの意味とは全然違うフェーズなんだろうなっていうところは個人的に思っています。

よくデータで「科学的介護」というのが言われると思うんですけども、世の中の流れなのか分かんないですけども、それに対しては吉岡さんとかはどういう風に思われているのかなと正直聞いてみたいです。

吉岡/
そうですね、正直なところはあまりポジティブにはそんなに捉えていないところが多いです。科学的と言いながら、統計学的介護だったりするところが大きいのでちょっと違うのかなと感じることが多いです。

ただ、科学って、もうちょっと深くて面白いものだと思っています。科学的介護というのでよく用いられるのが、近い言葉で「エビデンス・ベースド・ケア」がよく言われるんですけど、それはちょっと危険だなと思っていて、逆に言うと、エビデンスで捉えられるものしか重要視しないという考え方になってしまいます。

先ほどの感情とかそういったものですとか、それこそ林さんが見ておられるような生活の細やかな違いとか、そういうことは観測しにくいものなんですね。聞き取りを充分におこなっていかないと見えなかったりとか、ちょっとした仕組みをつくらないと難しかったりする。でも、そこにいろんな真実があったりすると思います。

本来、科学って、進歩をするときにただ統計学を使うんじゃなくって、ひとつの何か科学が大きく変わるときというのは、新しい観測手法を実は見つけたりしているんですね。

なので、本来はケアに関して新しい一歩を踏み出そうと思ったら、新しい観測手法なり新しい視点というものを持てるにはどうしたらいいかというのを考えるのかが、科学の大事な要素の1つです。

なので、今まである視点だけでそれを統計学的にやるというのだけは、科学としては物足りないなと思っています。本当の意味での科学的な介護というのがいつか実現できれば、きっとそれはいいことなんだろうなと思っています。

小林/
ありがとうございます。ケアの現場ならではというところを感じました。ありがとうございました。

では、林さん。成果発表会を伝えてほしかったのは、視聴者の方が何か次の一歩を踏み出す時に、こういう場があるといいなと思いますのでぜひご紹介いただければなと思います。

林/
ファブラボ品川でもICTリハビリテーション研究会でも、3Dプリンタで自助具を作る関係のワークショップやイベントをオンラインでも定期開催をしています。

その一環で、全国の皆さんで作った取り組みを共有するというイベント「リハビリ・介護ものづくり成果発表会」というイベントを開催しております。これは3ヶ月に1回程度 開催しています。次回は3月19日土曜日の1時半から3時半ということで開催予定です。

こちらはどなたでも、見学だけの参加でも大丈夫ですし、発表もどなたでもしていただくことができる回になっております。参加費無料でお申しいただくことで、接続先をお知らせしますので、ご興味ある方はぜひご参加いただけたらなと思います。

もう一つだけ。(ケア分野での3Dプリンタ)活用事例報告会ということで、今回こちらは初めて開催させて頂くイベントです。3Dプリンタを活用している全国の取り組みのなかで、この方は皆さんに紹介したいという私がよりすぐりの厳選をしてお願いした方々に発表をしていただいて、事例と活動の報告をしていただく会。こちらも無料になっておりますので、ぜひお時間ありましたら、こちらは平日の夜になります。3月24日木曜日7時から8時半になります。みなさまのお申込とご覧になっていたことをお待ちしております。ありがとうございました。

小林/
最後に私の方から。これも告知なんですけども、今回視聴だけということもありまして、吉岡さんや林さんに質問をしたいこと・したかったことがきっとお有りなと思います。 ケアとテクノロジー関しましては「アフタートーク&交流会」というものを開催させていただきます。

吉岡さん林さんにあれこれ聞きたいとか、参加者同士の交流というところも大事にしたいなと思っていまして、それを今後の活動につなげたいということであったりとか、今まさに困っていたり悩んでいたりすることを相談したい、などなど、途中入退室も OK ですのでお気軽にご参加ください。こちらは3月18日金曜日5時から6時で開催いたしますのでどうぞ気軽にご参加ください。


それでは、これで、ケアする人のケアセミナー in こうちの分科会1ケアとテクノロジーを終了させていただきたいと思います。吉岡さん、林さんありがとうございました。

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