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勝率、期待値、総利益、トレード数、資産曲線の話

よく「勝率を上げるためには・・・」とか、「勝率80%をたたき出すシステム!」などといわれます。
後ほど例示しますが、リスクリワード比を調整すれば、勝率80%の手法はつくれます。

しかし、勝率が高ければよい、というものではありません。
期待値、総利益、トレード数、資産曲線のバランスを考える必要があります。

また、トレード数も適度にないといけません。少ないと、大数の法則を生かせないのと、トレードが少ないと、ザラ場での監視がルーズになります。

私の手法開発方針は、勝率は気にせずに、期待値、総利益、資産曲線、ドローダウンのバランスをとって作っています。
下記画像は私の手法開発環境です。

左がチャート画像、右が、Excelシートです。

シートの上には作業するためのコマンドボタン群を配置しています。

現在1分足四本値は360万行、チャート画像は4万枚保存しています。VBAの配列に1分足を格納するのに約1分、ひとつの手法を解析するのに10秒ほどかかっています。

そして、パラメータを変えながら何度も検証を繰り返します。

これから例示するのは押し目を狙った買い手法です。
解析を実行するとExcelシートの左側に以下のような解析結果が表示されます。

全てのケースでエントリー根拠は同じです。なのでトレード数は14ヶ月で3025で変わりません。イグジットのみ変化させています。
仕掛けロットは30万とします。


【ケース①】

よくトレードの王道は損小利大と言われます。それを鵜呑みにして
利益率10% 損切り▲3%
どちらにも達しなかった場合は引け成りという、ルールにしたとします。

例えば1000円でエントリーしたら、1100円で利確、970円で損切りとなります。

以下がその結果です。

この検証結果からいろいろなことが読み取れます。
まず、資産曲線がデコボコで、これでは実トレード時にかなりメンタルやられるな、という点
また月次でマイナスが出る点も欠点です。
勝率43%、期待値0.39%で一応プラスの期待ですが、
最大ドローダウン▲26万でこれではつかえません。

【ケース②】

今度は利益をぐっと落として、損切り幅を広げてみます。
利益率2.5% 損切り▲5%
結果は以下の通りです。

勝率65% 期待値0.56% ドローダウン10万とかなり改善しています。
このように、この手法では、利益は小さく、損切り幅は広くしたほうがパフォーマンスが向上していることがわかります。

また、デイトレードの場合、トレード毎の指標より、1日単位での指標を見たいものです。
なので、私は別シートにボタン一発で日次データと日ごとの資産曲線が見れるようにしています。それが以下の画像です。
1日の仕掛平均は11本、日次ドローダウンは8万です。

余談ですが、今年は2月の利益が突出しています。確かに、良く動いた月でしたね
。それに、買いの場合、月曜日の利益が一番大きいです。これは、土日休みで月曜日にみんな張り切って買いを仕掛けるからだろうと思います。

【ケース③】

それでは最後に勝率80%の手法を作ってみます。
利益率1% 損切り▲10%
結果は以下の通りです。

勝率は82%になっていますが、期待値が落ちて、総利益が減っています。
つまり、この手法はコツコツドカン型です。

【まとめ】

私は、手法を作る際に重視しているのは、きれいな資産曲線、つまりドローダウンが少ないシステムです。

これは人それぞれの性格によるでしょうが、私はそこそこの利益で安定して勝てるシステムを好みます。
なぜなら、トレードというものは継続して行っていくものだからです。
いかにしたら、継続性のあるシステムができるかを日々考えています。

日によって気分も体調も違います。人間が本能のままにトレードすれば必ず負けます。
自分の性格にも向き合って、自分に最適な手法、売買ルール、システムを構築しなければなりません。
トレード記録があればそれを分析するだけでもかなりの気づきがあると思います。
私はトレード歴12年になりますが、こうして今も生き残っているのは、
早い時期にトレードの構造(勝率、期待値、総利益、資産曲線、ドローダウン、トレード数etc)のを知って、自分の性格に合った手法を開発し実践してきたからだろうと思います。
今回はここまでとします。


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