見出し画像

母84歳 認知症 ボーイフレンド3人!

過去に書いた人気の記事です。参考の冊子の情報を付け加えました。

この話を40~50代の女性にすると「すごい!希望が出る!」と言われることが多いので、実家の母の話を書きます。今日も会ってきました。

父が亡くなって10年。一人暮らしになった母親の生活は、だんだんと心配なことが増えてきた。何度も何度も同じ話をする。冷蔵庫には賞味期限切れの食品がいつもある。ごみ捨てはチョイチョイ忘れるようになってきた。

家の整理整頓が苦手になってきたようなので、書類整理を手伝った。すると高い布団を買っていたり、浄水器を買わされていたりしていた。

昔持っていた宝石類が少ないなーと思って聞くと、不用品回収業者に買取を頼んだ際、持って行かれたと言っていた。

コロナで株価が下がり始めたころ、証券会社の書類を見せてもらうと、高い手数料の投資信託が何度も転売されていた。

「僕のおばあちゃんみたいな気がします!今この商品がおすすめですよ。」孫のように若い男性営業マンに言われると、素直な母は言われるがままに契約をしていた。

これは、まずい! 大きな被害がでないうちに、なんとかしないと。

健康診断だといって物忘れ外来に一緒に行くと、診断結果はアルツハイマー型認知症だった。

介護認定も受けたが、母は他人を入れたくないと言った。子どもたちは仕事をやりくりして、週に1回は誰かしら実家に行くことにした。

ある日、玄関に大きな花束が飾ってあった。どう見ても、1万円はする。子どもが親にあげるには立派すぎる、赤いバラの花束。

「おかあさん、あの花束すごいね。誕生日だったけど、誰がくれたの?」

「Aさんよ。パパが死んで、私が一人で暮らしてるでしょ。Aさんも奥さんが亡くなったの。それで、昔は年賀状のやりとりしかしてなかったけど、今年はお花を送ってくれたのよ。去年はユリの花束だった。」

Aさんは母の小学校の幼なじみ。ずっと仲が良かった男性だ。東大卒で大企業に入ったエリートコースの人。周囲は二人は結婚すると思っていたらしい。Aさんも、時が来たらプロポーズするつもりだったようだ。

ところが、母は勤め先に途中入社してきた高卒の父と恋に落ち、駆け落ちしてしまったのだった。

その後、傷心のAさんは別の女性と結婚。しかし、年賀状だけはやり取りしていたそうだ。

でも、父が亡くなり数年。互いの伴侶が亡くなり、デートを重ねていたとは!知らぬは娘ばかりなり。

「じゃあ、あのカレンダーに書いてある音楽会の予定もAさんなの?」

「ううん、あれはBさん。音楽好きの人。」

この人は山梨に疎開していた時の同級生の男性。毎年、さくらんぼも送ってくれるらしい。雑誌か新聞の記者をしていた人だ。

いやー、これって、二股なのか?父が亡くなって1年くらいは、あんなにションボリしてたのに。

「ところでお母さん、こんなところに縁台あったっけ?便利だね。」

「あ、それはCさんが作ってくれたの。」

Cさんは父と一緒に行っていた短歌会の仲間だ。建築家だったので大工仕事は得意らしい。近所に住んでいるこの人も、なにかと助けてくれるそうだ。

男性たちは3人とも80代だろう。地位も肩書もなくなった人たち。何となく頼りない母を助けてヒーローになっているのかもしれない。

確かに、こうして母親を助け、楽しませてくれるのだから、娘にとっても彼らはヒーローなのだった。助かります。どうもありがとうという気持ちだ。

母は物忘れが激しい。でも性格は穏やか。いつもニコニコして何でもおいしそうに食べる。しょちゅう歌を歌っている。人の話を否定しない。

都会のデートは行き方がわからなくても、駅員さんにどんどん聞いて待ち合わせ場所に行く。

カーブス(女性用のジム)に通って筋肉がある。毎日お友達と海まで歩いておしゃべりをする。一緒に歩く彼女も未亡人だ。

これからのことは、わからない。でも、軽度から中度認知症という判定を受けたが、楽しそうに暮らしている。まだまだ一人で暮らしたいのだそうだ。

「だって、お友達も家に呼びやすいし、お出かけも好きにできるでしょ!」

母84歳。要介護2。ボーイフレンド3人! ますます元気いっぱいだ!


以下に、おすすめの認知症関連の冊子のリンクを入れておきます。
どちらも自由にダウンロードできます。

1 「もしも」 ご本人、ご家族向けやさしいイラストでほっとします。

https://www.mhlw.go.jp/content/000521120.pdf

2 「本人にとってのよりよい暮らしガイド」

https://www.mhlw.go.jp/content/000521131.pdf


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?