誕生日

先日、誕生日を迎えた。

小学生の頃、友達から誕生日プレゼントを
もらうのがとても楽しみで、嬉しかった。

だから誕生日が大好きだった。

プレゼントは文房具やキャラクターグッズなど、
そんな大したものではないし、
案外、友達からもらったものは
ちょっとだけ好みから離れていたり
そんなにいらないな〜なんて思うものもあった。
正直。

でもみんなが私におめでとうと
話しかけてくれるだけで嬉しかった。

私はクラスの中で目立つような
タイプの女の子ではなかった。
でも、誕生日の時にだけ、
クラスの主役になれるのだ。


20代も中盤に差し掛かり、
急に誕生日が好きではなくなった。

やりたいこともまだまだたくさんあるのに、
できていない自分がもどかしかった。


まだ20代
でももう20代。



今までの20数年間、特に何もやりたいことや
理想の人生を歩めていない。

仕事を始めてからは、日々がとても速く、
1日がすぐ過ぎる。

大人になったらすぐ一年が過ぎるよ〜
子供の時は聞き飽きた、一年って長い
そう思っていた。

1日がすぐ過ぎるということは
すぐに歳をとるんだろうなと最近よく思う。



そんな私にも
今年の誕生日はとっても嬉しいことがあった。


私の憧れの上司が、プレゼントをくれた。

誕生日当日、年休を取っていた彼が、
デスクの椅子に
私の好きなスイーツを置いてくれていた。

誕生日を覚えていてくれてたということだけでも
とても嬉しいのに、
プレゼント、しかも私の好みのスイーツ。


嬉しい。


カバンに入れながらチラリと袋の中を覗くと、
付箋に書いたメッセージが添えられていた。


大変なこともあると思うけど、
いい一年にしてね。
いつも頑張り過ぎているから、
おじさんは心配です。(笑)
頑張り屋さんな君に、ほっと一息できる
スイーツを与えよう。
お茶しながらゆっくりとね!
今日もがんばってね。




キュン。


胸が高鳴る音が聞こえた。

私はその付箋を
周りの目を気にしながら手帳に挟んだ。

嫌な会議中、
ちらっと眺めては、にやっとした。
苦手な上司から怒られた後、
ちらっと眺めては、元気付けられた。
とんでもない睡魔が襲ってきた話し合い中、
ちらっと眺めては、シャキッとした。


あなたの手書きの言葉。
私にとっては特別そのもの。


あなたの存在自体が
私にとっては元気の源。
会社に行くモチベーション。



でもあなたには家族がいる。
私の誕生日に年休を取っていたのは、



彼の奥さんが誕生日だから。


切ない。

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