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ライオンズのチケット制度が変更したので球場について考える

参考


 どうやら来シーズンからわが埼玉西武ライオンズも悪名高いチケット販売制度を採用するらしい。個人的にはよその球団と違ってまだダイナミックプライシングにまで行っていないところに球団のことを深く考えている人がいると感じるし、そういう姿勢を応援したい思う。ただこれまで通ってた人間からするとどうしてもチケットが高くなるということで、おおむてネットの反応は悪いし、なかにはそのことだけに目が眩んでメチャクチャなことを言う人もいるもんだから、今一度球団についてしっかり考えてみたいと思うのだ。

私にとって球場とはなにか

 まずもって一番大事なのは球場がなにかということを考えることであって、そこで去年自分が書いて非公開にしてあるものをそのまま載せたい。文章が下手ではあるけど、おおむね今考えていることと大差ないから。
 この前の文脈に軽く触れると、某球場のお見合い企画とか、どこの球団も中継で若い女ファンばっか抜いてるとか、いっぱいお金を落としてくれるある方向への売り出し方が逆にこれまでのファンを捨てることにもつながっているんじゃないかという話をした。

それで、私は女の子を球場から締め出そうという主張をするのではなくて、女で釣るようなことはやめてMLBみたいに純粋に野球をもっと楽しめるようにしようとか提言するのでもなくて、自分の好きな球場が生きていて欲しいと思っているだけ。そこには若い女の子もいるだろうしおじさんおばさんやらそれまでのファンもいて、その子どもがいて、それでおじいさんおばあさんがいる。
試合が始まってからもちょこちょこ遅れて参戦する人がいるのだけど、中盤くらいになって駆けつける仕事終わリーマンの前、序盤くらいに杖ついて腰が曲がってる高齢者が来る。球場に来る目的はそれぞれだし球団が工夫していろんなニーズに応えてるのは素晴らしいけど、心からその球団が好きで、勝ってくれる姿が見たくて、声、手拍子やらで選手たちを応援する。客席はぼつぼつしかいないけどそれでも球場のなか一体になってる感覚がたまらなく好き。自分が虐げられている現実とか弱すぎるチーム状況とか何もかも忘れて、今日この時こそはと思ってみんなが一体になる。時間と空間を超えたいろんな思いがドームにいっぱいになって、吹き抜けから抜けていく。

去年の夏くらいに書いたやつ

 今年一年もストレスの溜まるような試合が多かったけど(福岡の球団との試合とか特に)、それでもなんでも私はこの球団が好きで、この球場が好きだ。いくら負けようとも、おんぼろでロウリュだの冷凍庫だの言われようとそんなものはこれっぽっちも響かない。
 私みたいなレオキチからファミリー、若いカップル、少年少女、オールドファンの全てを包み込むのが諸悪の根源ともいわれるあの屋根であって、プロ野球の作り出す非日常で私たちを包み込む。そういう空間はもちろん経済的なつながりを否定できないとはいえ、棒切れと白球でムキムキの大の大人が意味不明な行動をしているという現象を超えて、もっと深く精神的な部分に人々の感動を巻き起こすような価値を持っている。そしてまたその感動は貴賤だとか、あらゆる価値観を超えて、だれもが同じく共有することができて、またそうされるべきものである。
 球場とは、そういう類のものが成就するべき場所なのだ。
 我らがライオンズは他の十一球団と比べてみても比較的ファンの数が少なくて、またホーム球場の座席数も少ないのだけど、これがもしダイナミックプライシングとかで完全な需要と供給のバランスに任せるならば、つまりお金だけで全て解決できて、貧しいものを簡単に排除できるようなシステムに任せてしまうならば、プロ野球の本来的なあり方は成り立ち得ない。

ファンが球団に望むこと

 一方でまた、我々ファンは球団に対していろいろなことを望んでいる。それは野球チームが強くなること、球団がお金持ちになること、ファンをいっぱい喜ばせること等々、相互に関係するさまざまな要素から成り立っている。
 我が埼玉西武ライオンズは西武グループとして存在していて、例えばみんなが西武鉄道やプリンスホテルをいっぱい利用してほしいと思うから、そのための方策を打ち出してほしいと思うし、野球の試合がない日などはコンサートなどでベルーナドームを使って使用料を落としてもらいたいと思っている。それが施設を良くしたり、補強のための資金につながったりするので。特にライオンズは獲得競争には負けっぱなしであるから、なおのことファンとしてはお財布事情が気になるのだ。
 それで、そういった願いを実現させていくには、我々ファンが落とす金も大きな部分を占めるだろう。つまり、チームが勝ってほしいと願うことと、自分が球団にいっぱいお金を落とすことは程度の違いはあれど基本的には同じ話なのである。しかし個人レベルでの議論になると、なかなかはいそうですかと頷くこともまた難しくなるのだ。それは先にあるように、経済的な差にかかわらずプロ野球を肌で感じて、その感動を味わいたいからである。

今回の変更については

 今回の販売形式の変更に戻ってみる。これまでの論点から言うと、このフレックスプライス制度には二つの視点が拮抗した形だと見てとれるだろう。
 一つには球団が収益を上げるために需要に合わせて価格を上げようとする動き。もう一つはより多くの人にプロ野球の感動を届けるために価格の暴騰を抑えようとする動き。
 ライオンズファン各位はご存知の通り、我が球団は金満とは程遠い。ファンも年々増えているとはいえ十二球団では下の方だし、今なんか特に弱いから難しい状況にある。
 それでもまた一方でライオンズという球団は地元に根付いた形でいろんな活動をやっていたり、

独自の道で球団を強くしようとしていたりする。

 こういう努力はすごく効果感が持てるし、自分も応援したい。私はライオンズファンのまま一生を終えるほかないだろうが、やはりライオンズが違うんじゃないかという行動に出たならそのことを声を大にして言いたいし、同じくらいの熱量で頑張っていることも応援したいと思う。
 今回の変更はいろんな人がライオンズファンであり続けられるようにという両親が未だ残っている点で、最後の一線を踏み越えていない点で必要な痛みだと思う。
 それにライオンズが強くなってくれるなら今期の現地通算二勝なんて軽く超えてくれるはず。幸福量が増えているならOKなのだ。
 まあただやはり
こういう状況で野球観戦が贅沢な趣味にならなければいいなとは思う。他の球団とかは既にそうなのかもしれないし、ライオンズに関しても獅子まんまとかもうずっと値上げの嵐だけど、子供から大人まで、みんなが楽しめる球場が埼玉の奥深くにいつまでもあり続けてほしいと願うばかりである。


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