復讐
目が覚めると、僕は水の中で呼吸をしていた。身に着けるものはない。そう、僕は魚になったのだ。
サンゴや色とりどりの同胞たちは、美しかった。
澄んだ水から見上げれば、こちらに似た色の、また美しい別の世界があった。そう、世界は逆さまだった。こちらからは、空が海だった。
僕たちの中には、海に引きずり出される者もいたから、僕たちも復讐を企てていた。人間たちが、真夏の空を泳いでいる。
人間よりも大きな魚に頼んで、空に引きずり込んでやった。そして、みんなで食べた。
そのとき、空と海はひとつになった。