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広告媒体の未来|デジタルサイネージ:大手が取り組むDOOH(屋外広告)サービス

インターネット広告費がTV広告を初めて超える」と言う電通さんのレポート見てた時、とあるクライアント様から、漠然と「今後、どんな広告施策をやって行けば良いんですかね〜」と言う質問を受けて、ユルい感じでブレストをさせて頂きました。

筆者は本業でも副業でも「インターネット広告」や「WEBトラフィック分析」に関わる事が多いのですが、確かに今後のインターネット戦略に対する「自分自身の考え」的な事をあまり深く考えていませんでした。

言い訳すると、基礎的な事からスタートするクライアント様が多かったので、後回しにしてましたが、これはいち専門家としてよろしくないなと思い反省した次第です。

Googleアナリティクスで計測できるようなWEB集客施策はもちろんですが、今後、いくつか新しい切り口の広告やメディアになるであろう媒体の動きを注視して行こうと考えています。

個人的なアイディアも含めて、注目している新しい広告媒体は以下です。

・DOOH(Digital Out of Home)の略でデジタル屋外広告
・音声広告
・iBeacon(アイビーコン)と言うBluetoothを活用した広告

その中で、今回は小売店やサービス業など店舗型ビジネスの相性が良さそうなDOOHl広告に関しての将来性を考えて見ようと思います。

DOOH(Digital Out of Home)はどんな広告?

DOOHとは「Digital Out of Home」の略称です。

要は自宅以外の場所で、見かけたり接触する広告媒体であるOOH(Out of Home)のうち、デジタルサイネージ自体、もしくはデジタルサイネージを活用した広告の事をいいます。

渋谷スクランブル交差点から見える、大型デジタルスクリーンなどが代名詞で、駅や電車内に設置された中型デジタルモニターなど、道路や交通手段に近い場所にある事が多いです。

また、店舗の入り口に設置されている、イーゼル型やA型のデジタル看板、店舗のテーブルやレジ付近に設置されるipadなどを活用した広告もDOOHに該当します。

市場規模

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出典:デジタルインファクト「デジタルサイネージ広告市場規模推計・予測2018年-2023 年」より

デジタルインファクト社の調べによると、DOOHは今後2-3年で140%成長していくような、有力な広告媒体だと推測されています。

また、同社の調べによると特に交通媒体の成長率が大きく見込まれており、全体の65%もの構成を占めていくのだとか。

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出典:デジタルインファクト「デジタルサイネージ広告市場規模推計・予測2018年-2023年」より

また、タクシー内への広告出稿費を運用して「無料タクシー」と言う新しいサービスの試みもスタートしているそうです。

https://nommoc.jp/
※注)現在、新型コロナウィルスの感染症対策でサービスを休止している様子です

どのような企業が取り組んでいるのか?


①Docomoと電通の合弁会社「株式会社LIVE BOARD」

②NTTドコモ、埼玉高速鉄道、ビズライト・テクノロジー、LIVE BOARDが世界初、鉄道車両内でのダイナミックDOOH事業を共同で推進

③GENIEE×Geo Nexus:フードコート呼び出しベルに広告配信提供

④ベクトル、DOOH(デジタル屋外広告)事業に参入 屋外大型ビジョンで最も人気の高い渋谷の2ビジョンでサービス提供開始

⑤株式会社東急エージェンシー:駅広告(純広告タイプ)

などなど、、、

次世代型の広告媒体と期待してか、どこの会社も大企業ばかりです

引用には入れていませんが、広告大手の博報堂の「博報堂DYグループ」もDOOHも視野に入れた次世代型広告への取り組みを開始してます。

特にリアル媒体を既に保有している電通や博報堂、鉄道系などが今後キーマンになってきそうです。

ここで疑問点

詳しい記事の内容は割愛しますが、大手のDOOHの目指す姿は、大型看板や交通広告など「マス向けのチャネル」で、コンテンツの「個別やセグメント配信」を目指しています。

鉄道DOOHなども、カメラやモニターでの「視線検知」でインプレッション型広告を目指しているが、十分なボリュームが取れるのでしょうか?

・そもそも街頭看板は「広告出稿募集中」が増えて過疎化している
・動かない静止ビジュアルよりは動いた方が良いと思うが、ユーザーが上を見上げるのか?

などなど、まだ疑問点が多いビジネスモデルです。

要は個別配信やパーソナライズに長けた「従来型のインターネット広告」に効果として勝てるのか?と言う疑問になります

屋外広告衰退のそもそも論

街頭看板や雑誌などの媒体価値が落ちた要因としては、スマートフォンやデジタルメディアの普及が背景にあり、「ショバ代」型の純広告に、恒常的な経費をかけ続ける企業が減ってきた事が要因だと考えています。

もちろん、街頭のデジタル広告は音も出せると思いますので、イベントの告知や音声を伴う動画広告などはインパクトがあると思いますが、どちらにせよ効果測定の難しい「純広告型ビジネス」からの脱却は、並大抵の事ではできないと感じています。

広告代理店や制作会社の盲点

広告主の経営上の目標には「広告費の削減」があると思います。

なぜかBtoBの会社って、このあたりの感覚麻痺してる人が多いような気がしていて、何故か恒久的なお取引が継続する前提のビジネスモデルや、人員配置・組織づくりをしてるんですよね。

特に初期の集客を目標とした広告運用のお仕事って、期間が経つと「契約介助された」と嘆く担当者の方も見かけますが、広告運用は成果をだせば出すほど「良い意味で提供価値を失っていく事」が前提にないと言うか。。

一番のポイントは広告主が、認知やブランディングのために「広告費用を投下し続ける」時代が続くのか?と言う事だと思います。

化粧品会社のオルビスやDHCとかも、会社の初期フェーズには、莫大な広告費をかけて事業を成長させてきましたが、近年では収益化を見込んで広告費自体は構成比が下がってきていると思います。

既に認知があるので、メンバーシップアプリなどでCRMにコストをかける動きになっています。

余談ですが、交通系広告も然りで、結構、空港系のバスや電車は「純広告」や「企業広告」に近いコンテンツが多く、なかなか広告主の獲得が苦戦しているのでは?と推察しています。

あとがき

DOOHは、これからの成長サービスなので、筆者も動向をチェックしつつ、本業に生かそうと考えています。

海外では、建物に投影するプロジェクションマッピングや、DOOHで斬新なインタラクティブ広告を企画したり、やはりわかりやすく「ド派手な広告」手段が好まれる印象があります。

中国では、一般ユーザーはいわゆるインフィード広告やリスティング広告は「信用できない」と言うイメージが強いらしく、そこかしこにDOOH広告が見られて「純広告型」の広告ビジネスが好まれるのかな?とも思いました。

個人的には、屋外のデジタル媒体としての「ビーコン」や「音声広告」は、従来のインターネット広告同様、個別配信やパーソナライズしたコンテンツの出し分けが可能と言う意味では、同じDOOH広告として注目をしてます。

さらに追い風としてBluetoothヘッドホンの普及により、以前よりも「Bluetoothオン」にしているユーザーも増えてきたと思います。

広告業界に限らず、今後、全ての業態で注視しなければならないのが、アフターコロナにおけるユーザーの「意識や行動の変化」です。

今は個人でもネットで稼げたり、企業も副業承認をしている時代になっているので、個人的にはスモールシティ型/郊外型のライフスタイルが波及していくのでは?と考えています。

その時に、どのような革新的ゲームチェンジャーが出てくるのか?を楽しみにしています。

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