愛するということ_フロム

【実践】アクティブ・ブック・ダイアローグ®(ABD)『愛するということ』エーリッヒ・フロム(要約あり)

 『名著』ってこういうのを指すんですね。というくらい、考えさせられる本。これを読んで対話をすすめれば、みんな愛のエバンジェリストになれる!…かどうかは分かりませんが、今年読んできた本の流れがいいのか、ABDとその後の振り返りで、「愛」とは、「愛する」とは何か、感じるものがあったように思います。
 恥ずかしながらリクエストがあるまで知らなかったのですが、今回参加頂いた方々は、すでに過去に読んだことがあったり、いつか読みたいと思っていた人たちが多かったです。おかげさまで、得るものが一歩踏み込んだものになったのかもしれません。

●今回のスタイル

参加人数:6人
合計時間:180分(時間内に完了)
ページ割:一人合計20ページ程度
オープニング:25分
コサマライズ:60分
プレゼン:一人3分くらい×6人
ギャラリーウォーク:5分
コサマライズ2回目:30分
プレゼン:一人2分くらい×6人
ギャラリー&ダイアログ:20分
クロージング:5分

●設計書

 対話がメインだろうなと思っていたので、どう促進するかは迷いました。本を読む前、「愛」について下世話な我々が対話などできようものか…
 当日までに少し人数が減ったため、コサマライズを2回するのがよさそうという判断もあり、凝った対話ではなく、「質問会議」という会議をところどころ入れようかなと思いました。

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●事前準備

 普遍的なテーマであるということもあり、特に濃い説明も不要かと思い、事前準備は著者と訳者の紹介、通常のページの割り振りにとどめました。

●オープニング

 本、著者、訳者を一通り紹介しました。
 このあとコサマライズの本番に入る前に、「愛とは?」をお題に『質問会議』を行いました。
 『質問会議』とは、回答者を一人置き、他の会議参加者は全員質問者となって質問を投げ、回答者がそれに答えるというもの。質問者は意見を言ってはいけないというのがルール。これをやっていくと、回答者が心の中に持っている答えに参加者全員が近づいていきます。

 「回答者になりたい人!」と聞いて、なかなかこのテーマでは手を上げにくいという結果、私が回答者になりました…

●コ・サマライズ・リレープレゼン

 今回は、このセットを2回行いました。
 本の内容をあえて区切るなら、1章~3章までが理論で、4章は実践(とその習練)ということで、前半を重めにして一度ダイアログまで行い、後半は「じゃあどうすればいいの?」という部分をみんなで話せるかなと考えました。

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●ギャラリーウォーク

 最近、ギャラリーウォークのやり方は悩んでいます。
 今回は、最近多くやっている1人で見てもらって、「共感」「?」だったところに色分けシールを貼ってもらうという、弱めの参加を採用。
 過去に実施したペアを組ませてやるのは、アウトプットを求められるので、思考を巡らせることと、記憶の定着に効くと思うものの、やや強制感が出てしまい、2人だけなので逃げ道がなく、ちょっと辛いかも。3人とかならいのかも。

 ↓シールの色に意味づけするのはやはり、あとの振り返りに便利。
 (緑が「共感」、ピンクが「?」)

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●ダイアローグ

 ギャラリーウォークでシールを多く貼られた部分が、みんなの注目度が高いということではあるので、そこを話していくようファシリテート。そうしていくと、紙には書けなかった部分についても「こうだった」など出てきて疑問が解決することもあったりします。もやっとしたポイントはリフレクションの期間にメッセージグループで振り返るようにしました。

●クロージング

 「愛するとは何か」を一人一人に紙に書いてもらい、発表してからチェックアウトとしました。
 『愛するということ』では、愛とはずばりこれだ、というのがいくつか書かれているように思います。人それぞれピックアップするところが違うので、この方法もまた思考することが増えていいですね。

●リフレクション

 数日置いて、メッセージグループでシールが貼られて注目度の高かったところのおさらいをしました。『直感と論理~…』でやったように後追いで調べるというよりは要約的になってしまったのは反省。あまりそのグループ内で対話が生まれないですね。
 ですが、今回は参加者の方が質問会議の流れを汲んで頂いて、どんどん投げかけてくれたので、私自身の答えには近づいたのかも…(^^;

●ABDサマリ

【第1章】愛は技術か
 愛が技術だとしたら、知力と努力が必要だ。
 だが、人々は愛について学ばない。それには、以下の3つ原因がある。
 ①「愛する」ではなく「愛される」が関心事になっている
 ②「能力」ではなく「対象」で考えている
 ③「恋に落ちる」と「愛している」を混同している

 技術を習得するには、以下の3つの要素が必要だ。
 ①愛の理論に精通する
 ②実際の体験を積む
 ③愛を自分の最大の関心事とする

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【第2章】愛の理論
 独立した人間は孤独で、自然や社会の力の前では無力である。孤立は耐え難い牢獄であり、ここから抜け出したいという強い欲求が働く。
 人間の歴史は、個人的な生活を超越して、他者との一体化を得たいという問題に対する答えの記録である。

 愛とは、共棲的結合(母と胎児はそれぞれがまだ独立していない)でも支配と服従の関係でもない。
 愛とは、自分の全体性と個性を保ったままでの結合である。二人が一人になり、しかも二人であり続ける。
 愛とは、与えることである。与えるということは、見返りは求めることではないし、犠牲を伴うものでもない。与えるという行為が自分の生命力の表現となること。

 愛の基本要素は以下の4つ。
 ①配慮(気に掛ける)
 ②責任(求められたときの対応)
 ③尊重(ありのままで発展するよう気遣う)
 ④知(相手の立場に立つ)

 愛とは、特定の人間に対する関係ではない。世界全体へのかかわり方の方向性のことである。「あなたを通して、すべての人を、世界を、私自身を愛している」と言えるもの。

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【第3章】愛と現代西洋社会におけるその崩壊
 現代西洋社会において、兄弟愛・母性愛・異性愛を問わず、偽りの愛にとって代わられている。これが愛の崩壊の現れである。
 現代資本主義は、大人数が円滑に協力し合うため、標準化された予測しやすい人間を必要としている。その結果、現代人はできるだけ他の人と密着していようと努めるが、誰もが孤独。
 性的満足としての愛、チームワークとしての愛、孤独からの避難所としての愛は現代西洋社会における「病んだ愛」の正常な姿。

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【第4章】愛の習練
 愛の技術の習得には4つの必要なことがある。
 ①規律(自分自身の意志の表現)
 ②集中(一人きりでいられること)
 ③忍耐(やみくもに急ごうとしない)
 ④習得に最高の関心を抱くこと

 愛を達成するための基本条件は、ナルシシズムの克服である。ナルシシズムは自分のうちに存在することを現実だと思うことであり、客観性に欠ける。
 愛に関して重要なことは、自分の愛は信頼に値するものであり、他人のなかに愛を生むことができると「信じる」ことである。

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名著シリーズのABDはいいかもしれませんね。
参加者の方から『夜と霧』もという話が出たので、来年実施してみたいと思います!

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オリコングループの(株)oricon ME 顧客満足度調査事業本部長。 アクティブ・ブック・ダイアローグ協会認定ファシリテーター。MBA修士。 ABDの情報はこちらにも掲載→https://abd-life.com/ 読書ブログはこちら→https://sakudoku.com/