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【QUINTET】POLARISが強さ見せつけ優勝。桜庭率いるHALEOが準優勝「QUINTET」を振り返る(3)

◆決勝戦 HALEO Dream Team vs POLARIS Dream Team

▼決勝戦 第1試合 4分一本勝負※体重差が20kg以上の試合時間
△ジョシュ・バーネット(HALEO先鋒/米国/112kg)
[時間切れ引き分け]
△グレゴー・グレイシー(POLARIS先鋒/ブラジル/86.3kg)

チーム5人の総体重は430kg以内。体重差が20kg以上ある場合は8分→4分1本勝負となる今大会のルール。さらに決勝では、1回戦を勝ち上がったチームは、決勝戦では1回戦で戦わなかった選手から優先的にオーダーを組まなくてはならないため、HALEO先鋒は1回戦で大将として出番の無かったジョシュ・バーネットが先鋒に。POLARIS先鋒はホーウス・グレイシーの息子、ヘンゾの黒帯のグレゴーが登場。

組手争いからグレゴーの頭を下げさせて首を狙うジョシュ。しかしそこは警戒するグレゴーは、すぐに頭を抜き、デフェンスに徹する。ツーオンワンの腕取りからバックをうかがうがグレゴーも正対。今度はグレゴーのツーオンにジョシュが空いた右手で首を抱えに。すぐにグレゴーは頭を抜きにかかる。ジョシュの四つからの崩しを凌ぐグレゴーはシングルレッグも深追いせず。

下がりながら相手の組手を切る展開で、審判から消極的として指導を受けパーテールポジションに。再開と同時に前転し、ガードに戻すグレゴー。

ジョシュは足をさばきながらグレゴーの左足にストレートレッグロック、アキレス腱固めへ。右足は外がけで左足は脛を股間に当てて絞るが極めきれず。左ヒザを曲げて右ヒザ立ちになったグレゴーは、ジョシュのヒザ十字への移行も外し、スタンドに。

ジョシュはヒザ着きでダブルレッグも左足を大きく飛ばしたグレゴーに対しシングルレッグに。踵をたぐるとグレゴーは胴を抱え引き込みに。頭に足をかけて横三角で引き込んだところで試合終了。グレゴーがHALEO最重量のジョシュを相手に4分間、分け役として責務を果たした。

▼決勝戦 第2試合 8分一本勝負
○ダン・ストラウス(POLARIS次鋒/英国/93kg)
[2分35秒 リアネイキドチョーク]
×中村大介(HALEO次鋒/日本/74.7kg)

POLARIS次鋒のダン・ストラウスは英国ホジャー・グレイシーの黒帯で、決勝でのPOLARIS次鋒として初登場。93kgの重量級ながら俊敏で下からの仕掛けも得意とする。対する中村とは18.3kg差で8分勝負に。

首・ヒジをつかんでのジャンピングガードで攻撃的に引き込んだストラウス。強いオーバーフックから腕を抜く中村は、左で脇差しパスガード狙い。そこにストラウスは右でオーバーフックを巻き直し、中村の左腕を内側に入れると、足を跳ね上げ右側にスイープ狙い。ここは頭を着いて耐えた中村。しかし対格差があるため、再び下から煽られると中村は前方に落ち、サイド、バックを奪われる。

すかさず両足を4の字フックに組むストラウス。シートベルトの体勢から右手を顎にかけたストラウスは、左手と手のひらを合わせたパーム・トゥ・パームで組んで顎上からチョーク。さらに腕を組み直し、左腕を中村の頭の後ろに差し入れ、リアネイキドチョークでタップを奪った。

▼決勝戦 第3試合 4分一本勝負※体重差が20kg以上の試合時間
○ダン・ストラウス(POLARIS次鋒/英国/93kg)
[3分21秒 ギロチンチョーク]
×所 英男(HALEO中堅/日本/69.2kg)

1回戦でキム・ヒョンジュを腕十字で極めながら、続くユン・ドンシク戦ではエゼキエルチョークに沈んだ所が中堅で登場。

所のダブルレッグをがぶり、バックから4の字フックを仕掛けるストラウスに対し、足を組ませない所は、腰をずらして正対。その起き上がり際に三角絞めを狙うストラウス。所も右腕を伸ばさせず内側に入れて防御。互いにスタンドへ。中村戦同様にヒジと首の後ろを掴んだストラウスが引き込みに。ハーフから上体を伸ばして所に仕掛けを作らせない。膠着からスタンド再開。再びの引き込みから立ち際に所の頭を抱えたストラウスは、何とか頭を上げる所に対し、ジャンプして頭を抱え直すと所はダブルレッグに。そこにアームインギロチンを合わせたストラウスは引き込みながら所の右足をハーフにからみ絞め上げながら、体格差も活かしてネッククランク気味にマウントへ。最後はノーアームギロチンチョークで絞めて、所を落とした。

所はこの日、2度目の失神。ダメージが気にかかる。

▼決勝戦 第4試合 8分一本勝負
△桜庭和志(HALEO副将/日本/83.6kg)
[時間切れ引き分け]
△ダン・ストラウス(POLARIS次鋒/英国/93kg)

「桜庭がアイドル」というストラウスは、試合前に握手を求め笑顔でハグしてからスタート。両手を掴み下になる。足をさばきにきた桜庭の右足首をとらえ、両足のXガードで後転して上に。すぐに桜庭の左足をおさえ、右足を肩口にかつぎパスガード。上四方からサイドに回る。

ブリッジを狙う桜庭。ストラウスは腕を取りに行くが、そこを前方へ送り出し、鉄砲と右足を入れて返した桜庭は、ヒザ十字狙い。しかし、すぐさま伸ばされないように4の字に足を組んだストラウスに、桜庭が手を放すとすぐにストラウスはヒップアタックでガードに戻す。足首を取りに行きながらパスガードも狙う桜庭。足を越えさせないストラウス。再びXガードから片足を担いでストラウスは立つ。さらにフックガードから両足を跳ね上げると桜庭はスイープされるが、すぐに立つ。幾度となく下から仕掛けるストラウスは、最後にヒザ十字を狙ったところでタイムアップ。桜庭への敬意が表れたようなダン・ストラウスの試合だった。

▼決勝戦 第5試合 8分一本勝負
○マルコス・ソウザ(HALEO大将/ブラジル/87.5kg)
[0分40秒 腕ひしぎ十字固め]
×宇野 薫(POLARIS中堅/日本/68kg)

1回戦では出番が無かった宇野。近年は「アジアマスター柔術選手権2018」紫帯ライト級で優勝するなどグラップリングでも新境地を見せている。しかし、対するは世界で活躍する柔術家のマルキーニョスことマルコス・ソウザ。体重差は19.5kg(20kg差まで500g)で8分の試合となった。

組み手争いから宇野の偶発的なアイポークにより試合が中断。再開後、早々にシングルレッグに入ったマルキーニョス。引き出してテイクダウンするとヒジをついて立とうとする宇野にシングルレッグの左手はつかんだまま放さず、右手で宇野の頭を抱えて、自身の頭を宇野の横腹につけてレスリングでテイクダウン。そのままサイドを奪う。

マルキーニョスは腕十字へ。左手が伸びた宇野はブリッジ、あるいは右側を向いて親指が上に向かないよう脱出を試みるが、その都度、マルキーニョスも支点を変えて、最後はヒジ裏を上に向けさせてタップを奪った。

▼決勝戦第6試合 8分一本勝負
○クレイグ・ジョーンズ(POLARIS副将/豪州/90.3kg)
[1分02秒 ヒザ十字固め]
×マルコス・ソウザ(HALEO大将/ブラジル/87.5kg)

右目を赤くしたマルキーニョスはこの日4試合目。1人トーナメント状態でPOLARIS副将のクレイグ・ジョーンズと対戦となる。両者はかつて練習経験もあり、手の内を知った者同士か。

すぐに引き込んでシッティングガードとなるジョーンズは左足を差し込んでくるが、右足を上げてまたごうとするマルキーニョスに対し、ジョーンズはニーシールドからマルキーニョスの左足にハーフガードに。さらに右ヒザをマルキーニョスの鼠径部に当てて上体を前方に送り出していく。ジョーンズはマルキーニョスの右足に向かって潜り、腕ですくうと、マルキーニョスの左足を挟んでいた自身の左足を解除し、マルキーニョスの腹の前に差し込み、今度は右足をロック。ヒザを抱えていったん腹ばいになりながら1回転して一気にヒザ十字を極めた。

※POLARIS Dream Teamが優勝。マーチン・ヘルド(POLARIS大将/ポーランド/82.1kg)残し。

◆クレイグ・ジョーンズ
「(ヒールフック無しの影響は?)できればヒールはあった方がいいけど……それだけじゃないところも見せられたと思う。自分はジョシュと当たらなくてよかった。グレゴーがよく止めてくれた。決勝では、マルキーニョスを警戒していた。彼が一番、柔術を知っていたから」

◆ダン・ストラウス
「グレゴーがジョシュ・バーネットを脱落(引き分け両者敗退)させてくれたことが大きかった。個人的には、サクラバという長年のアイドルと戦えて光栄だった。凄くシュールな感じで現実味のない試合だった。一本勝ち出来なかったのは悔しいけど、もし極めて勝ったとしても悔しかったと思う。50歳近い選手があんなにパワーがあることにはほんとうに驚いたよ」

◆グレゴー・グレイシー
「決勝はジョシュから来ると分かっていたから、戦略を考えることが出来たし、作戦通りに戦うことが出来た。チームとしては宇野選手がマルコス・ソウザを試合で削ってくれたことが最後にいい結果につながったと思う」

◆マーチン・ヘルド
「このチームは最強だ。自分の役目も果たすことが出来たと思う。今までの中で一番楽しい最高の大会だった。(決勝は大将として残り)2回でなくてよかったよ(笑)。(ヒールフックは無かったが)ニーバーなど別の技を見せることが出来た」

◆宇野薫
「優勝はすごく嬉しいです。個人的には全く活躍できずに悔しい思いもあります。みんなで勝ち取った勝利なので、個人でやるのとはちょっと違う、初めて味わう感覚があります。相手がどうなるかなどドキドキして、全てが初めての新しい経験でした」

【QUINTET】POLARISが強さ見せつけ優勝。桜庭率いるHALEOが準優勝。「QUINTET」を振り返る(1)

【QUINTET】POLARISが強さ見せつけ優勝。桜庭率いるHALEOが準優勝「QUINTET」を振り返る(2)

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