それぞれが映画の主人公

ウディ・アレンの作る映画が好きだ。名前はなんとなく知っていた。初めて観た彼の映画は「それでも恋するバルセロナ」。
タイプの違う2人のアメリカ人女性がバルセロナで悲喜こもごも。

彼の映画に出てくる人たちは、皆とても人間臭い。滑稽で皮肉っぽくてでも純粋な人たちがたくさん出てくる。そこに美しいバルセロナの街並みやらパリの風景やらが合わさるんだけど、出てくる人たちがとても人間らしいので親近感が湧いてくる。

そして自分の日常も映画のワンシーンを切り取ったような気分になる。この時期は特にそうで、大きな公園を囲む鉄策と黄色く色づいた銀杏の葉、石畳風のコンクリートのある場所をクロスバイクで走るだけで、自分が映画のワンシーンになったようにその風景を俯瞰する。

バルコニーから眺める青空も、俯き加減で歩く眠そうなスーツ姿のサラリーマンも、おしゃべりしながら歩く制服姿の女子高生も、隣に座るブルーグレイの瞳の彼も。全ては映画のワンシーン。

そしてそれぞれがそれぞれの人生という映画の主人公であることに気づく。
だったら私は喜劇がいい。


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