神殺し


無駄だ、無駄だよ。
他人(ひと)から見た自分なんて、定まりがないんだから。

顔色を伺っても、言いたいことを呑み込んでも
誰かには嫌われるんだから。


サテンの生地の針山に
縫い広げられた海の絵に
僕らは地図を広げた
何処へでも行ける気がした


夜に呑まれた僕の腹の中の蟲が蠢き出す
夜を知った君の綺麗な涙が頬を伝う
光る涙が夜空に伝って
流れたらきっと星になる

君の顔を塗りくったその孤独を知りたかった
君を突き動かすその衝動を舐めたかった

どこまでも正直な君の
顔をもっと眺めたかった

孤独は人を殺し、また時には救うのです


言葉にしちゃいけないことも
言葉にしなきゃいけないことも
僕らはきっと知らなきゃいけない
この長い夜を超えるには

眺めた月を綺麗だと思うのも
誰かの歌が優しいと思うのも
きっと同じだと思うのです

君の柔らかい顔が頬をなぞる度に
私は思うのです
君の優しさに出会えたと

いつか夜空を隣で見ては
流れた星に名前をあげるのです

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