夜職に向いてない人

昨夜、スナックでのバイト2日目を終えた。高いピンヒールにギラギラしたドレス、それが私にはキツかった。おじさんと話しているだけで時給が発生するのは決して苦ではないし、想像と違ってキャストの皆さんもすごく優しかった。唯一私に合わないとこは、服装だった。肌色のストッキングを履いて、パールやらスパンコールやら付いている黒のドレスを着る。座ると太ももは露わになるし、自分の体型の惨めさも実感できてしまう。履いたこともない高さのヒールは足の太さを紛らわしてくれるわけでもなく、私の歩き方をさらに不恰好にした。ボーイッシュな格好が好きな私は、それでも自分は女性だと思っていた。それは違った。「○○さんお肌綺麗ですもんね!」「ほんとだ、スベスベ〜!」と、おじさんの肌を飾られた指先でなぞる彼女らに、若干引いてしまった。私にはできない。強くそう思った。「下のとこにゴミ出してきて」と言われ、ゴミ袋と壊れた数本のビニール傘を持ち、エレベーターに乗る。下に着くと誰もいないことを確認して、歩くこともままならない靴(それはもはや靴なのか?)を脱ぎ、ストッキングの足で地べたを踏み締め、歌舞伎町の街に出る。誰も知らない街だからこそ、見た目だけで判断し合う。自分だけがこの街の違和感。「うん。辞めよう。」

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眠れない夜に

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