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人を好きになるということ

いつか終わりがくるんだということを
ぼくはたしかに知っている


カーテンの隙間からこぼれる光の粒が
きみの白い肌に落ちる
キラキラ
黄色、白、ところどころ青色になって
きみの肌の上で踊っている

きみはどうしようもなく美しくて
そして憎らしかった

きみが笑うとき
世界の空気が楽しそうに跳ねること
きみはきっとしらないだろう

白いスカートから伸びるきみの足が
ぼくの体に絡みつくとき
きみの肌とぼくの肌が
まるでこうすることが当たり前だったかのように
溶け合っていくことを
きみはいつか
忘れていくだろう

泣いて、笑って、叫んで、あがいて
きみがちゃんと生きていたことが
どうしようもなく愛おしくて
ぼくはぼくの心臓を
きみにあげてもいいと思ったよ


いつかぼくが
きみとは関係ないだれかになって
人生の片隅で
ふと思い出すだけの
記憶のカケラになるということが
泣きたいくらいに
ぼくを安心させるんだ

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