実体験)人の心を掴むのはツールではなく、相手を受け止めること。
私がとある中規模のウェブサイト制作案件に参加したときの話です。
まずキックオフとして、営業と私の2人でオフラインMTGに参加し、ウェブサイトの構成や制作方針をクライアントに説明しに行きました。
私がウェブサイトに対する考え方、なぜこの構成なのかの理由など、資料を用い説明を30分程度した後、質問タイムを設けました。ウェブ知識が少ない先方のAさんが「素人なんですが…」と前置きしながら、サイトに使用するイラストのテイストについて質問してくれました。
Aさんの質問は若干ふわっとした内容で本人もそれを自覚されているようで「すみません、まとまってなくて…」と、その方は少し恐縮したご様子でした。しかし私は「まとまっていなくても全然大丈夫です。今はうまく言葉にできないかもしれませんが、大切なポイントを掴んでいるかもしれないので、気付いたことがあれば遠慮なくおっしゃってください。」と回答。
すると、その方は感動した様子で「暖かく受け止めてくださった。」と感激してくださいました。この出来事がきっかけで、案件が一区切りした後の懇親会に特別に『○○さんをぜひ呼んでください。』とAさんから指名を受けました。懇親会でもAさんと親しくお話しし、親睦を深めることができました。
相手の心に寄り添う姿勢
この経験を通して学んだのは、論理的な説明も大事ですが、相手の心を掴むのは、やはり真摯な受け答えだということです。プロジェクトを進める上で、ついつい「面倒なことを言われないように、この話題ははなるべく避けよう」「この話題が出たら、当たり障りない話をして、話が広がらないようにしよう。」など、話題の主導権を握ろうとを考えるかもしれません。もちろん、それが必要な場面もありますが、相手の意見や質問を優しく受け入れることが、信頼関係を築く鍵だと感じました。
「このデザイナーにお願いしたら、優しく暖かく対応してくれる」と思ってもらえること。それが、顧客との信頼を深め、依頼をもらえるきっかけになるのではないでしょうか。ツールや技術だけに頼るのではなく、人として相手を受け止める姿勢が、最も大事な要素なのだと、学びました。
さいごに
ツールやスキルが進化する中で、技術だけでなく、相手の意見や気持ちをしっかりと受け止める姿勢こそが、人の心を掴む最大の要素です。これが、仕事を前進させるだけでなく、信頼され、選ばれるデザイナーになるための重要なポイントだと実感しました。