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第5話 :「北風と太陽」

私には、仕事の上で 「部下」 の経験も 「上司」 の経験もあります。 どちらの立場での苦労も実感してきました。 その中で学んだことの一つに、「人は自ら『気づく』ことによって積極的に動く」ということがあります。実際、このことに「気づく」ことで私のコーチとしての意識も高まりました。そしてまた、子どもとの関係においても大いに活かされています。

ある日の夕方、 私は夕食の支度に追われていました。
キッチンの中をバタバタと動き回りながら、カウンターの向こうで寝ころんでテレビを見ている娘が、ちょっとでもいいから手伝ってくれるといいなぁと思いました。でも、「手伝って」と言えばいいというものではありません。テレビを前にした小学三年生が、「母親の手伝い」と「テレビ」のどちらを取るかは火を見るより明らかだからです。

そこで考えました。

今の私の状況を実感してもらおうと。
テレビがコマーシャルになったのをみはからって、娘をキッチンに呼びま した。
「ちょっとこっちに来て、ここに立ってみて」 と言って、娘にキッチンの中に立ってもらいました。 そして私は娘がして いたようにテレビの前に寝ころがりました。

娘が私の立場になり、私が娘の立場になれるよう、互いの位置を変えてみたのです。

「キッチンに立ってこっちを見たらどう思う?」 と聞きました。
そうしたら、さすがに娘もこちらの意図が分かったらしく、
「別に」
と答えました。

「そっかぁ、『別に』かぁ…」
ちょっとがっかりしましたが、どう感じるかは娘に任せたので仕方ありません。無理強いはしたくなかったので、そのまま私が立ち上がろうとすると、 「この番組が終わったら手伝うよ。でも、ここだけは見たいんだもん。ずっと楽しみにしてたから」
という声がしました。

「〜しなさい」という指示や命令では、 子どもだって動きません。 ましてや働く大人だったら尚更です。「〜しなさい」に反発を感じるのは、「〜したくない」という気持からではなく、「〜しなさいと強制されるのがいや」 という思いから起こることに他ならないのです。

娘は、キッチンに立って寝ころぶ私を見たときに、「別に」と言って一度は反抗しました。でもその後で「この番組は見たい」という自分の希望と同時に「手伝う」という意思もきちんと伝えてくれました。それは、母親が今どんな状況で何を思っているかに「気づいた」からだと思います。 それと同時に私は、娘はただ怠けていたのではなく、ずっと楽しみにしていたテレビ番組を見ていたのだということに気づかせてもらいました。

童話『北風と太陽』 で、 旅人のマントを脱がせたのは強く吹き付ける北風ではありません。旅人は 「暑いと感じたから」 脱いだのです。
それが太陽によって作られた状況であっても、 を脱いだことには変わりないのです。 旅人が自分の意思でマントを脱いだことには変わりないのです。

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2002年から国際コーチ連盟(ICF)認定プロコーチ&講師として活動中。最近では歌を作ってみたり、ファミリーバンドで音楽ライブをしてみたり。またちょいとユニークな自分の昭和物語を書いたりおしゃべりしたりもしている。https://www.gokigen.cc/

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