ターミネーター:ニュー・フェイト 【ネタバレ感想】 物語として続編とは何かを考えさせられた

ターミネーター:ニュー・フェイトについて。これまで作られた3本の「続編」と違い、今回は、ジェームズ・キャメロンとリンダ・ハミルトンがカムバックした「正当な続編」ということで、映画館に行く前日にDVDで「2」をおさらい!

これで余すところなく楽しめるぞ、と期待して見に行ってきました。

見終わった感想…「俺は何に期待していたんだろう」。

アクション映画単体としてはそれなりに面白い…。でもこれが「2の正当な続編!」と言われると「信じたくない!」

以下ネタバレです。







【なんで殺した?】

不満の9割はこれに尽きてしまうんですが、

2であれだけ死闘を繰り広げて守ったジョンが、映画開始5分でターミネーターに殺されてしまう。目が点になりました。

2でジョンとサラとT−800に感情移入し、共に人類の未来を変えるべく手に汗握って映画を見ていた時の自分の気持ちが、冒頭、いきなり放り出されてしまいました。最初、「あれ?サラの見ている悪夢なのかな?」と思いましたが、本当に殺されてました。

ティム・ミラー監督は

「これは新たなターミネーターの映画なんだぞ、と観客の目を覚まさせる必要があった」とその経緯を語っていたと記憶しています。

そう言われると、確かにそうだな、と思う部分もあります。いつまでもジョンとサラの2軸で話を進めていくのも無理はあるし、新鮮さを取り戻すためには必要な決断だったのでしょう。

それでも「2の正当な続編」というからにはあんな風にジョンをなんの抵抗もなくさらっと殺して欲しくはなかった。

せめて戦ってその結果悔しさの中で死ぬ…という形にしてくれれば後のストーリーにも入りやすかったと思います。


【ターミネーターが所帯?】

映画の中盤、サラがジョンを22年前に殺したターミネーターに再会するんですけど、そのターミネーター、田舎で結婚して子供(相手の連れ子)までいたのには度肝を抜かれました。

所帯持ったらいかんやろ! 

確かに「2」では短い間にジョンとの交流によってAIが学習して人間らしさを体得していたので、長い年月をかければより人間らしくなっていくということもわかります。「ターミネーターはこの上ない保護者です」というサラのセリフもあるし…。

でも冒頭、ジョンを殺しといて、任務がなくなった後に所帯もつって…よく22年もやってこれたね奥さん!「うちの旦那、トイレ行かないわねえ」とか思わなかったのかな…。

そして「ジョンを失ったサラに生きる目的を与えるために」未来から新たにやってくるターミネーターの情報をメールでサラのスマホに送っていた、と言うわけですが…

これ、死刑囚が自分の殺した子供の母親に「希望を持って生きてください」と言っているような理不尽さを感じました。よくサラが許してこの後共闘したなと思います。


物語上の不満は大きくこの2点なんですが、

そもそも「続編」ってなんだろう?と。何を期待して映画館に自分は行ったんだろうと考えざるをえませんでした。

「2」の公開から30年近く経って、俳優も歳をとりますし、若いまま撮影できるわけでもありません。映画を取り巻く世界情勢も変わっているんですから描くテーマも変わって当然です。そんななかで、「ターミネーター1&2らしさをもう一度」と言っても無理のある話…勝手に期待した自分が悪かったのかもしれません。

実際、「面白かった!」という意見もあちこちにあるわけですし、これがターミネーター初体験、という方ももちろんいる。


何よりも28年という歳月が、この映画の期待値をあげまくってしまい、楽しく「ターミネーター」を楽しめない頭になってしまったのかも、とも思います。

でも、「ターミネーター2」のファンは見ない方がいいです。

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