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村上春樹の「猫を棄てる」を読んで、私と双極性障害だった父の関係性を振り返る①

村上春樹の新作「猫を棄てる 父親について語るとき」。
この著書は、村上春樹が今まで語ることのなかった「父親」について初めて言及したものとなる。私も村上春樹と同様に父を亡くしていること、それを誰かに語ったりしたことがないこと、そして父の死に引け目を感じていることから、読んでいて自然と自分事のように捉えていた。

父親について語る、というのは、仲が良ければ比較的容易かもしれない。
お互いに語るべき共通体験や関係性があるからだ。
しかし、その逆はなかなか難しい。お互い理解ができなければ、生きている間になかなか歩み寄ろうとはしない。むしろ、意図的に離れていくこともある。そして、亡くなったことでふと俯瞰的に関係を見つめれるようになると、歩み寄らなかったことによる関係性の空白に気づき、強烈な虚無感に襲われる。

あくまで読んでいての感想だが、村上春樹にもそのような葛藤はあったのではないかと私は考えている。
しかし、今回の著書の村上春樹と父の数少ないであろうエピソードを読むと、彼と父親の関係性は確実に物語に反映されており、つまり彼の内面として父親は重要なファクターとなっているのが数々の描写から感じ取ることができた。
そこから、父親との関係性が悪くとも、長く空白の期間があろうとも、少なくともともにいた時間がある限り私にも何かしら影響を及ぼしたことがあるのではないかと考えた。

父親について。そしてそれに対する私の内面について。
少しずつではあるが、まとめていこうと考えている。

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