全員が忠誠心ある組織はさぶい。
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全員が忠誠心ある組織はさぶい。

しゅんしゅしゅんです。

100%の忠誠心なんて求めない。
100人100通りの距離感を受け入れる。

サイボウズ社が捨てたマネジメントに関する6つの理想の内の一つが100%の忠誠心。価値観が多様化する現代で、100%の忠誠心を求めるのは不可能とし、100%の信頼を築くのをあきらめた。

忠誠も信頼もあるかないかの2択ではなく、あくまでグラデーションとして存在するものだ、としたらしい。とはいえ会社が掲げる理想への共感が0%ではチームにならないので、少なくとも理想には共感していれば、忠誠心は100%でなくても問題ないのではないかと決断した、らしい。

全員が同じ距離感で、一列に並び、目標に向かって突進していくのは、もはや時代遅れだと。会社から信頼、信頼と言われてもなんだか…さぶい。メンバーそれぞれが心地いいと思える距離感を保つことが、他者への尊重であり、あるべき信頼関係だと。

なるほどだ。

「信頼!信頼!」って言葉にして叫ぶのは確かにさぶい。それと同様に会社のカルチャーやバリュー(共通の価値観や行動規範)を言葉にして声高に叫ぶのも結構さぶいと僕は思うのだ。

会社のカルチャーやバリューをちゃんと言葉にすることは否定しないし、むしろ大切だと思う。だがそれを折りに触れて口にしあうのはさぶいと思うし、むしろ危険だと思う。

うちの会社でも「〇〇(社名)アクション」として5つだったかの言葉を大切にしたい行動規範として掲げている。半期に1回の全社イベントの時なんかに折に触れてムービーに登場してくるし、偉い役職の人のお話の中でもここぞとばかりに登場する。

その言葉がありありとムービーの中で出てきたり、偉い人が口にするとやはりさぶい感じ否めない。

これってなんでなんだろうか。

おそらく、日常の言動や打ち出される施策や会社の制度から肌で感じとれないからだろう。なのに。全社イベントのようなわりとエモい感じに仕立てられる場でとってつけたように登場する、その日常とのGAPの中で生まれる置いてきぼり感がさぶいの正体だろうか。

ビジョナリーで「あるべき」場で、ビジョナリーなことを言った方が「よいだろう」シーンで、わかりやすく企まれたお約束感がさぶいの正体だろうか。

まあどちらもだろう。

カルチャーやバリュー(共通の価値観や行動規範)ってのは日常の中に当たり前にあるべきだ。会議や打ち合わせの進め方に現れていたり、メンバーの思考のくせや判断基準に現れていたり、社内で自然と出来上がってくる口癖に現れていたり。その日常の当たり前を言葉にしたものがバリューであって、バリューの言葉自体は一度作ったら、言葉としては直接的に現れないのが自然。

僕は最近転職活動をしている。

いろんなスタートアップとお合いさせていただいた。スタートアップは基本的には新しい価値を世の中に生み出しているため、その存在意義はわりと明確。この存在意義に加えて、その会社ならではのバリューをはっきりさせることで、他社と差別化をして採用力をあげていくことが大切なんだろう。

それでもどこのスタートアップも似たようなバリューを言葉として掲げている。HP上にあるその言葉をA社とB社で入れ替えたってわかんないくらいに。

そんな中、そのバリューをはっきりと口に出す会社はさぶい。「うちの会社は〇〇と〇〇と〇〇をバリューとして掲げており、このバリューに共感するメンバーばかりです」とかって自信まんまんに語られると「うげー」ってなる。「〇〇な感じで仕事を進めているんですよ。あ、そういえばこういうところがバリューで言っている〇〇ってことなのかもしれませんねー」くらいがちょうどいい。

カルチャーを押し出しすぎる会社は嫌われる。

「俺らのカルチャー最強っしょ」は押しつけがましい。メンバー同士で何でも言い合って建設的に議論しているようにみえて、狭い村の中で大して違わない価値観の中での微細な違いの議論をしている。そんな会社で「うちはカルチャーを大切にしているから創業間もないころから新卒採用をしていて、7期目で20人新卒いますがまだ1人しかやめていないんです」とか言われたら逆に恐ろしい。排他的な宗教化していないかと。

サイボウズは離職率が25%から4%になったらしい。忠誠や信頼の距離感がさまざまな中での4%ならいい。忠誠と信頼の距離感が同一で4%なら怖い。離職率が低い事実だけでは良し悪しの判断はできない。新陳代謝がない組織は排他的で狂信的な脱皮できない組織かもしれない。

カルチャーは漏れ伝わってくるのがいい。はっきりとアピールされるとうざい。

サイボウズ社は100人100通りの働き方=多様性を尊重する価値観が人事制度、マネジャーの判断基準、メンバー同士の会話の中で、お互いに漏れ伝え合っているのだろう。

これって一筋縄ではいかない。ある程度の歴史ある会社が突貫でやろうとしてもなかなかどうにもならない。逆にスタートアップのような若い会社はチャンスだ。創業したその瞬間からカルチャーにはるべきだ。「あの会社の人って〇〇な人が多いよね」と、じっぱひとからげに言われることは決して悪いことではない。それは創業時からカルチャーにはりつづけた長年の結果なんだと思う。

サイボウズ社はあるタイミングで大きく舵を切り、多様性をカルチャーにするために、一心不乱に走ってきたんだと思う。大変だっただろう。100通りの距離感はサイボウズ社が目指したものであって、純粋に真似しただけでは組織がよりバラバラになるだけ。自分の会社・組織・チームで中心に据えるカルチャーはなんなのか、なんにしたいのか、一度納得いくまで考えて言葉にしたら、あとは非日常のイベントで発信するのではなく、日常に潜むような施策をするべきなんだろう。

最軽量って言っているけど、ここまでくると最軽量になるよって話であって、ここまでくるために最重量で挑んでいかなければならない。

では。


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白いごはんとビジネス書が好きな内省型ライター。本業はFinTechベンチャーのアライアンスマネジャーをやってます(前職は大手人材系企業の企画マネジャー)。特定ジャンルを読み漁っては内省にふけるのが趣味。自分にぶっ刺さった本だけを紹介。企画する人の思考のヒントを詰め込んでます。