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オールラウンドを目指すことは、個人にとって意味ないが、チームに関しては絶対条件。

しゅんしゅしゅんです。

「強み」と「得意なこと」は同じだろうか?

いや、違う。

「得意なこと」は能力にすぎない。

練習によって上手にはできるが、喜びが感じられない「得意なこと」は誰だってあるだろう。

「強み」とは「強さを与えてくれる活動」のことをいうのだ。

活動の前は楽しみでしかたがない(=事前の期待感)、活動の最中は時間の進みが速くなり、時間の境界が溶けていくような感覚がある(=最中の没入感)、活動のあとは疲れ切っているが満足感がある(=事後の充実感)

この3つの感覚の相乗効果により、何度でもやりたい渇望が生まれる。

強みは能力というより、欲求にずっと近く、その活動を練習し続けたいという切望を煽り、最終的に卓越したパフォーマンスに必要なスキル向上をもたらす欲求である。

強みの定義をこう置いたところで、データにより立証されたことがある。

1、「仕事で強みを発揮する機会が『毎日』ある」という感覚の強い、個人またはチームはハイパフォームを生む

※ちなみにこの『毎日』という言葉を取り除くと、個人またはチームと業績の相関関係は消えてしまう。自分の強みが仕事に役立っているという「日常的な感覚」こそが、高業績の必須条件なのだ。

2、卓越性には特異性がある。オールラウンダーなハイパフォーマーは理論上の産物であり、現実世界のハイパフォーマーは個性的で際立っていて、自身のユニークなところを理解し、それを賢く伸ばしてきたからこそ秀でている。

なのに、会社システムはその正反対をいく。標準的なモデル(理想の社員像)に照らして社員を評価し、モデルにできるだけ近づくことを求める。「最高の人材はオールラウンダーである」というウソの上に会社は成り立っている。

標準モデルに欠けているところがあると判断されると、昇進や昇給の対象にはならず、重要な職務に抜擢されず、指定された研修を受講し、不足を補ったことを証明できるよう努めなければならない。

成長とは欠けている能力を獲得できるかどうかではなく、すでにもっている能力のインパクトをどれだけ高められるかにかかっているにもかかわらずだ。

なぜこのようなことが生まれるのか。

それは会社にとって、コントロール以上に重要なことはないからだ。多様性はカオスであり、コントロールできない。多忙なチームリーダーにとって細かい多様性にいちいち対処している暇はないのだ。

チームリーダーは多様性は優れたチームをつくる妨げになるどころか、優れたチームの必須条件であることを認識し、各メンバーの強みのサインに目を光らせ、強みを発揮し、さらに伸ばすことができる仕事にアサインする必要がある。

なんてことがこの本に書かれています。

仕事に関して盲目的に信じられている9つの嘘について書かれている本なのですが、4つ目の嘘として、最高の人材は「オールラウンダー」ではなく「尖っている」といっています。

これも、すごいわかりますね。

メンバーの考課会議や、育成会議的なものを実施すると、強みの話もするけど、大部分は弱みや克服すべき点の話になりがちだ。

「いい点数をつけるためのは〇〇が足りない」「昇進させるには〇〇が足りない」「〇〇の点が克服できれば、次のフェーズだな」などと。みなさんも、心当たりありませんか?

上司の立場でも、部下の立場でも1on1や面談をしている時に、「この先やりたいことは何だ」という不朽のテーマがある。

このやりたいことを考える時に、「やったことがないことや上手くできないことは何だろう」「足りないところを補うためには〇〇な仕事を経験したほうがいいだろう」といった発想をしてしまいませんか?

ただ、この発想はすでにオールラウンダーの罠にはまっている

「強みがなんなのか?」「その強みが発揮される仕事はなんなのか?」「その強みをさらに伸ばしていくためには何にチャレンジするのか?」会話すべきはこの3点なのだ。

ただ、なぜか「違う領域にもチャレンジしていかなくてはならない」が念頭にある。「同じ強みをただ伸ばしていくなどといったことはコンフォートゾーンに安住しているだけではないのか?」と心配になる。

特に若手であれば、いろんな仕事をしてみて、自分の強みと弱みをクリアにすることはいいことだと思う。

問題はここからで、チャレンジの結果、上手くいかなった時に「こいつはだめだ」の烙印を押されることだ。もしくは弱みだとわかったのに挑戦し続ける生産性の低さだ。

このような動き方からハイパフォームを生まれない。自他ともに能力がないの烙印をおし、自信を喪失する。毎日強みを発揮している感覚がないため、エンゲージメントが弱くなっていく。

でもマネジャーはオールラウンダーへの育成こそが職務だと思っている節がある。強みのみに目を向けていると職務放棄をしている気になる。メンバーを甘やかしているのではないかと心配になる。強みにこだわるのは、慢心と自己満足に陥っているのではないかと。

でも、強みとは最も完成された部分ではなく、最も建設的な方法で成長することが求められる部分なのだ。強みばっかり見ていてもいいのだ。強みだからといって100点ではない。100点を目指して伸ばし続けることができることが強みなのだ。

強みを正確に把握することがマネジメントのはじまりだと思う。強みを発揮し、その卓越性を伸ばす仕事にアサインする。弱みを仕事から取り除き、代わりにその弱みが強みである人をアサインする。社内にいなければ採用により外からもってくるか、外注をする。

何が足りないかを特定し、調達することこそがマネジャーの仕事だ。

厳選採用とは、決して優秀な人を選び抜くことではない、チームに組織に抜けているピースとしてピタッとはまるかどうかなのだ。

すごいかどうかではなく、はまるかどうか。

オールラウンドを目指すことは、こと個人にとって意味ないが、チームに関しては絶対条件。

厳選採用やタレントマネジメントの結果として、生み出すべきはチームとしてのオールラウンドなんだ。

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