彫刻家が「EU離脱」映画を観たら-ギリシャ彫刻編-
こんにちは。MKL_マユコです。
昨日、ずっと気になっていた『ブレクジット EU離脱』をみました。
イギリスのEU離脱の賛否を問う国民投票のキャンペーンの戦略家の映画ドラマです。(今更感は否めないですが。。。)
星評価を見るとあまり高くないのですが、恐らくの映画、ギリシャ神話を知っているか知らないかで、大分見る世界が変わってくると思います。
(イギリスが離脱することはもう決まってますし、facebookを用いた広告手法は2020年の今からすると珍しくないので、それを焦点にみると…微妙かもです。)
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映画の冒頭で主人公カミングスが発する「オデッセイ教育」「アポロンの理性」「ディオニューソスの直感」があるのですが、これらはギリシャ神話からの作っています。
ギリシャ神話は日本人にとってはあまり馴染みがないですよね。
ギリシャ神話を知るとカミングスの哲学、監督のカミングスの捉え方が見えてきました。(彫刻の歴史を研究するなかでギリシャ彫刻は避けたくても避けられない部分なのです。彫刻をやっていて良かった。)
神様を知ることはとても宗教的な活動のように感じるかもしれませんが、わたしにとってはその意図はありません。宗教活動よりも人間や人間の生き方、欲、アートに向き合う科学手法です。
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● 神様は古代科学
- マス(大衆)、サイエンスが科学の前提となるのはモダン(近代)から
現代の科学技術(マス(大衆)、サイエンス)を前提とする社会は産業革命が始まったモダンからです。
古代ではそれらの科学技術はありませんが、現象の原理を理解し、コントロールするために、古代ギリシャ人は神様をメディアとして捉え、神話に落とし標準化する科学技術を活用しています。
(もちろん今でも科学技術で解明できないことはたくさんありますから、それを神様や道徳、占いなどで補う文化は残っているように思います)
それでは、彫刻家で日本人のわたしが西洋映画をみる時にオススメギリシャ神のポイントをあげたいと思います!
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● 意外と盲点ギリシャ神
- ギリシャ神は人間の皮を被っている
現代人、または日本人の私たちにとっては馴染みがないかと思いますが、神様は人間の形をしています。
(大仏のように螺髪髪だったり、イエスのようにみだれ髪のようだったりはしません。)
- ギリシャ神は見えたり見えなかったりする
日本の精霊や守護神は特殊能力がある方が見えるだけですが、ギリシャ神はギリシャ神の意思で見えたり、見えなかったりします。(人間が神様の仕業だと神様の存在に気づくこともあります。)
- ギリシャ神は人間をいろんな姿に変えることができる
ハリーポッターの世界を知ってしまったわたしたちにとっては魔法使いのように感じるかもしれませんが、ギリシャ神は人間を別人に変化させることができます。命を狙われている人間を老人の姿にしてその場をやり過ごしたりしています。また、ギリシャ神自身も姿を変えることができます。(神様自身が変化するのはグリム童話や日本のもののけ話とかでもあるので分かりやすいですね)
- ギリシャ神は好きな人間を決めることができる
キリスト教やイスラム教、仏教等は基本的には人に等しく接するのですが(罪を犯した人は別)、ギリシャ神は人のよって態度を変えたりします。お気に入りの人間(推しメン)を決めて、アドバイスをしたり、力を与えたり、戦争や恋愛に加勢したりします。その反対で、気に食わないやつは神様であるのにその人間を妨害しようとします。
- ギリシャ神は人間と恋愛、結婚ができる
キリスト教やイスラム教や仏教からすると神様は1人だったり、人間ではない特別な存在なので、恋愛ができるとか結婚できるとか考えられないと思うのですが、ギリシャ神は恋愛します。人間に容赦なく神能力を発揮して恋愛に勝とうとします。すでに結婚していうる妻を奪い取ったりもします。もちろん振られることもあります。
- ギリシャ神は子どもを産むことができる
ギリシャ神は子どもを産みます。子どもは神様になることもあります。子どもが作れるということは性的活動もあります。これ意外と見落とされがちだと思います。ギリシャ神は欲に溺れているんです。(日本人が西洋映画を見るときここは気にすると面白いです。キリスト教は性的活動せずにマリアはイエス(神)を産みます)
- ギリシャ神は話し合いをする、神様同士で喧嘩をする
ギリシャ神はお互い干渉し合います。時には力を合わせたり、時には人間を介して喧嘩をしたりします。自身の正しいと思ったことは必ず成し遂げたいのがギリシャ神です。そのために人間は犠牲になるのですが。(人間からすると迷惑ですよね。)
- ギリシャ神は戦争を仕掛ける
これも最初受け入れられなかった特徴なのですが、ギリシャ神は戦争を人間を巻き込んで行ったり、あえて人間同士で争わせたりします。意地悪いですよね。神様は人間のために存在しているのではありません。(ヒューマニズム、人間を中心とした社会発想になったのは近代からです。)
以上の8つの特徴をみていくと、テクノロジーが発達(ギリシャ神の特殊能力)し、自由主義、個人主義(ギリシャ神の信念)が加速した力を持った現代人はギリシャ神と被る存在のように写ります。(力とは政治、経済、カルチャー、ソーシャルの影響力のことを指しています)
最初の話の映画に戻るのですが、監督からすると主人公のドミニク・カミングスはギリシャ神なのでしょうね。(もちろん彼の言葉は記録した実存した言葉なのですが。)
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● このギリシャ神、オススメリスト
ストーリー上でキャラクターが魅力的な神様や人間は彫刻に表現されています。また、西洋絵画のなかや西洋映画のキャラクター設定でも用いられたりするので、何となく知っておくと楽しいかと思います。(真面目に覚える必要はありません。作品を観ているうちにいつの間にか覚えちゃうと思うので)
- 人間3
・アキレス…戦争の神アテナに気に入られた人間。強い。最後、アキレス腱を射抜かれて死ぬ(彫刻かっこいいです)
・オデッセイア…トロイの木馬の発案者。神様に邪魔されてなかなか家に戻れない(彫刻かっこいいです)
・ラオコーン…トロイの木馬に気づいた神官。アテナの蛇に殺される。(彫刻かっこいいです)
- 神5
・ゼウス…全能の神。神様を取りまとめている。(彫刻かっこいいです)
・アポロン…太陽神。何でもありな特別な神様(ゼウスの息子だから?)。ヘクトルが好き(ヘクトルはアキレスと対峙する武将、王子)。(彫刻かっこいいです)
・アテナ…戦争の神様。アキレスが好き。(彫刻かっこいいです)
・アフロディーテ…愛の神様。美女ヘレネをパリスと結びつけた、長い戦争の発端者。(彫刻綺麗です)
・ポセイドン…海の神様。海を渡るシーンでは大活躍。(彫刻かっこいいです)
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● ゆる〜くいきましょう
わたしにとって、ギリシャ神はギリシャ彫刻です。今作っている『ペタっとペタロボ』というAIロボットマンガのイマジネーション源です。一応、私にとって見た目は違いますが、『ペタっとペタロボ』はギリシャ彫刻のジャンルです笑
とはいえ、まだまだギリシャ神や神話の世界は深いのでこれからも映画をみたり、彫刻をみたり、自身で作ったりなどしていきたいと思います。
最後に、今回の映画では、ディオニューソスについても触れていました。ディオニューソスについて知らなかったのですが、調べれば調べるほど、アポロンとの対比でこれは深い。。。(ローマ彫刻の分野ともかかってきますね。)
監督、そしてカミングスに感服です。またいつかディオニューソスとアートの接点についても作品にしたいと思っています。(媒体は決まっていません。文章か。彫刻か。イラストか。マンガか。VRか。ARか。)その際はまた、訪れてもらえると嬉しいです!
ここまで読んで頂いてありがとうございました!
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