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ドイツ留学における「苦悩や葛藤」

「留学」や「海外生活」と言うと、明るいイメージを抱くようなテーマを軸に、その体験談がよく語られます。例えば、

・語学の向上

・様々な人との出会い

・新たな世界観や価値観の獲得

などといったものが王道でしょうか。そして留学においてこれらは大抵の人が経験することでしょう。

そこで似たようなことを書いてもあまり面白くないので、今回は僕がこの1年間の中で体験した「苦しかったことや大変だったこと」がテーマです。

①ビザが取れるまで不安過ぎる

他の国の事情は分かりませんが、ドイツ留学においてはビザはドイツに来てから自分で取得するのが一般的です。観光ビザの有効期限が90日間のため、その間に住民登録を済ませ、書類やお金を揃え、ビザを申請します。

大学の寮の選考に落ちていた僕の場合、初めの1か月は語学学校が提携するホームステイ先にお世話になり、その間に来月からの家を決めるはずでした。しかしコスト面や交通面などを踏まえたうえでの家探しは中々難しく、結局ホームステイ先に追加でもう1か月住まわせてもらうことになりました。

その後は出会いにも恵まれ、なんとか住める家が決まりましたが、残り1か月の間に住民登録→ビザ申請ということで、多少忙しかったです。

忙しかったというか、とりわけ家が決まるまでの約2か月は心が落ち着きませんでした。住んでいるところも他人の家だし、新しい家も決まらないし、その先に待ってるビザ申請も順調にいくか不安だし。

終わってみればなんてことなかったと思えますが、当時はもうずっとヒヤヒヤしている状態だったので、何か他のやりたいことに対して100%で取り組むのは中々難しい話でした。

②家が決まらないと心が休まない

①でも触れましたが、結果的に最初の2か月はホームステイをしていました。1年間ずっととなれば話は別ですが、僕の場合「期限が決まっている」ホームステイだったので、1か月後にはこの部屋から出ていくわけです。そうなるとキャリーバックから全ての荷物を出すのも気が引けるし、買う食材もすぐ消費できそうなものしか選べません。新しい服を買っても引っ越すときに荷物が重くなるし、家具や雑貨も何が必要なのかまだ分かりません。

そんな状態でいくら自分の部屋と言われて住んでいても、本当の意味で全然心が休まないんですね。今まで経験したことのないタイプのストレスを感じました。

③暇な時間が圧倒的に増えた

日本で学生として生活していたころは、授業、バイト、プライベート、家族や友達との時間など、何かしらの予定があることがほとんどでした。しかし特にドイツへ来て初めのころは、まず友達もほとんどいないし、バイトをしているわけでもないから、何もやることがない時間がとにかく増えました。

留学に来ているんだし何かしなきゃいけないと焦る気持ちばかりが募ります。でも何から取り組めばいいか全く分からない。そんな中で僕が取り組んだことは、「初めて」を意識し、日常に変化を与えることです。

・前回とは違うスーパーに行ってみる。

・外をランニングするときも初めての道を走る。

・自分からサッカーチームにメールしてみる。

・なんだかよく分からない施設にも入ってみる。

どんな些細なことでも新しいことをすると、なんとなく「成長したかも」って気になれて、自己肯定感が増します。特に環境に慣れていない最初は、そのような「できた」体験がその1日を充実させてくれました。

④熱が出たら不安が襲ってきた

留学生活も半年を過ぎたころ、38度の熱を出してしまいました。日本から持って来た薬もあったので治ることは治るのですが、実際に一人のときに熱を出すと、精神的にものすごく不安になりました。

そのときは友人が看病に来てくれて、心から頼れる存在の大切さを身をもって感じました。看病してくれたことよりも、そばにいてくれたことによる安心が大きかったなと後で気づきました。

⑤メンタルの浮き沈みが激しくなった

言い方を変えると感情が豊かになったのかもしれませんが、特にメンタル的に落ち込む回数が増えました。僕の場合、日本にいた頃はそんなことほとんどなかったので、これも環境を変えたからこそなのかなって思います。自分の留学生活を見直したり、この留学の経験を将来と結び付けて考えたりすると、やはり思い悩んでしまうものです。

そこから見えてくるもの

これらの経験を通じて、留学に来る前の自分が何の上に成り立っていたのかがよく分かりました。心休まる家があって、やらなきゃいけないことでそれなりに埋めつくされている日常があって、風邪をひいても看病してくれる人がいて、落ち込んでも支えてくれる人が周りに沢山いて。。。

僕にとってのそんな「当たり前」があったから、当時は他のことにも夢中で取り組めていたんだと気づきました。

もし例えば今後、あなたも留学や就職などを機に自分を取り巻く環境ががらりと変わるかもしれません。つまりそれまで当然のようにあった前提が、もうそこにはないわけです。

精神的に落ち込んだり、物事が上手くいかなかったりしたときに、それまでの自分を構成していた「当たり前」と今の自分のそれを比較してみると、1つではない悩みの原因が見えてくるかもしれません。

⑥自分の意見のなさに気づく

「自分の意見を持ち、それをはっきりと言う」

よく言われることですが、日本人にはとりわけこの能力が欠けています。その原因は、

・他人に気を遣う文化

→自分の思いや考えを直接的に言わない

・教育システムの違い

→子どもの成長過程の中で、自分の意見を述べる機会が少ない

これらが影響し、そもそも自分の意見がない人は多いでしょう。また意見や考えがあったとしても、それをはっきりと言えない人もいます。

「自分の意見のなさ」を僕はドイツに来てから身をもって感じましたし、意識しないと、意見を持つように変わっていけません。

「日本の相手を気遣う文化は素晴らしい」

これには僕も賛成はしますが、それ以上に自分の意見を持つことはこれから生きていくうえで重要です。

⑦中々向上しない語学力

⑥とも関連しますが、語学とはコミュニケーションの際の「手段」であり「目的」ではありません。

そもそも日本語で考えても言いたいことがない人が、ドイツ語や英語で伝えられるわけがありません。

日本人(日本の教育を受けてきた人)が語学を学ぶ際につまずく原因は、まず第一にここにあるでしょう。僕は気づかないうちに、ここでつまずきまくっていました(笑)

終わりに

僕にとって今回の留学は、

「初めての親元を離れた生活」と「初めての海外生活」

この「2つの初めて」に基づくので、必ずしも海外にいたから苦労したことではありません。

また、当然僕よりも苦労している人もいるし、そうでない人もいます。

そこにはバックグラウンドを含めた個人差が出るので、他人と比べる必要はありません。大事なのはそれまでの自分と向き合って、一度振り返ってみることかなと思います。

留学に限らずどんな貴重な経験をしても、そのときの温度感で感情や考えを保ち続けることはできません。

またここで挙げた体験を、「苦しかった・大変だった」と思えるのも今回が最初で最後かもしれません。だから今回このテーマで書いてみました。

とても個人的な経験に基づくテーマだったので、誰かの参考になるかは分かりません。

他にも、

・変な日本人が入居して来て、「ドイツにいるのにわざわざ日本人のことで悩みたくない」と思った話

・財布を盗まれて、日本のカード会社とやり取りしなければならず、時差があるうえに電話代がものすごくかかった話

など他にも大変だったことはあるのですが、また別の機会にします。もし興味があれば、反応を頂けると嬉しいです。

そして今回のイラストはbosyuというサービスでMeg Takanoさんと繋がり、僕がお願いしたテーマで描いていただきました。

素敵な絵と出会いに感謝します!

今回も読んでいただきありがとうございました!

感想などなんでもお待ちしています!

Tschüs 👋




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