Bodenkundeが好きです

朝から土壌学を受ける。今日はGefuegeを中心にやる。進度が早い。覚えることが多すぎる。一度キーワードくらいはまとめておいたほうがよさそうだ。
 さて、授業終了後に教授のところに行く。
 「おお、君かぁ。来週の件だけど、七時半から教授たちが来るから、一緒に会場に向かおう。七時ぐらいからスモールディスカッションをやって、その後、日本人の教授たちと歓迎会をやるから、是非一緒に来てくれよ。ソーセージや、ビールが飲み放題だ」
 と非常に機嫌よく私を誘ってくれた。そこで私の余計な一言。
「何か手伝えますでしょうか」
 という。
「じゃあ、スモールミーティングのときに、通訳でもやってもらおうかな」
 と教授が言う。いよいよ来週、やってくる。楽しみだ。

<大体の予定>
 来週に教授が来る。その世話をして、いろいろ話を聞いてみることにする。六月になると、中旬に大規模農場(家畜中心)の経営の調査に行く。その後に、学科主催の南ドイツ調査(オイル製業と野菜作)。南ドイツの野菜、ワイン畑などは未知の世界。
 七月一日にはヤン農場の祭りに行く予定。農場の祭りが、どういう位置づけで、どのような効果をもたらすのだろうか。
 七月中に有機農業経営も見に行きたい。そこで、彼らの意見も聞きたい。ああ、知りたいことが多すぎる。テーマを決めてそれを中心に進めていかないと、卒論になら無いのに。
 そして、テストを書いて、ゆっくりしているうちにいよいよ帰国。この旅も終わりを迎える。
 
● ドイツの農業経営
私が住むニーダーザクセン州の農業経営は以下のものしかやっていない。夏小麦、冬小麦、西洋菜種、サトウダイコン、だけだ。予想していたジャガイモ畑を見たことが無い。畜産は牛、豚、鶏、羊が少々。野菜はどこにあるのか、と思えるくらい。まあ、小麦でパンができ、菜種から油、サトウダイコンから砂糖が取れる。パンと肉と、油、それだけで基本的には生きていける。その分、南ドイツの野菜作を見に行くのは楽しみだ。

● 私はスペイン語が話せます。
 私がふと飲み会のときにスペイン語を話していることに気が付いた。ドイツ語と英語の全く通じない人たち二人としゃべっていた。ちなみに私の知っているスペイン語は「スィー」〈多分Yesの意味〉だけである。相手が笑うタイミングにあわせて大声で笑う。そして、相手が私に振ってくると、笑顔でスィースィー!!と答える。すると、もう一人の人が早口のスペイン語〈多分〉で話す。そして、スィースぃーと返す。相手が酔っているからか、驚くくらい持つものである。初期のドイツ語を思い出す……。
 
● Gefuege
 土壌構造の授業。バスでゲッティンゲンを一回り。先ずはHofmeisterという場所に行く。一面のサトウダイコン畑。前よりも大きくなったサトウダイコン。教授が説明する。なるほど、ここの土壌は割れている。そして、隣の畑に移ると、別の質の土壌になる。ここは久しぶりに見たとうもろこしの畑だ。
 移動しSeeangerという場所。黒い層、窒素たっぷりモーレの層。砂質の層も見える。風が吹く曇り空の冬小麦畑。女子学生曰く
「こっちが有機農業ね!!」
 と荒れた畑を指す。ちなみに、何も植わっていない緑地である。森の中を歩く。ここエバーゴッツェンの土壌は全く違う。森を抜けると小川が見える。ふとみあげると風に煽られる木(実際に眼で見ると綺麗)。学生は教授の話より、いかに上手く相手の背中に雑草をつけるかで忙しい。
 移動し、黄土質の畑に行く。ああ、待っていました農薬化学肥料無投入の有機農場!きれいだ。しかし、除草剤も散布しないから雑草がはびこる。これをどのように対処しているのだろうか。
 毎週こういう研修がある。理論を週に一〇時間弱。実習を四時間程度行う。必修科目。

● 彼らの将来
 ヤンやバスティアンなど農場を持つ人たちはここを卒業し、植物、動物、経営の知識をつけ、立派な経営者になっていくと思う。ベルリン出身のモリーツは土壌や植物系の研究者となる。ロベルトは動物系。頭の切れるクリストフは将来政策に係わって行きたいと考えている。環境団体にも出入りし、週末はいろいろなところで指導し、運送のバイトもしている。環境政策を主専攻とし、将来はドイツの農業環境政策の中心的な人物になったりして。傍から見ていてもその器がある!この学部、凄いプロの人材を輩出していくのだろう。

● カリフォルニア
 空腹に耐えかね台所に行く。すると、ラルフが来て屋上でBBQをやっているから来てよ!と誘ってくれる。シュニュッキー、ダニエル、イエトン、モハメット、クラウス、リンダ、ダニエルの彼女などが飲んでいた。ソーセージを食べさせてくれる。よく見ると新しい人。シュティーフとケビンだったかな。カリフォルニアから来ている社会学を学ぶ学生だ。若い。アメリカ人。ドイツ語は着たばかりなのでまだまだ。アメリカ人の米語を久々に聞く。Rの発音が凄い特徴的。二人で話すと必ずファックの強めの表現がはいる。彼ら二人はウィスキーを持ち出し、持参のコンポでアメリカの音楽を流す。
 日本語とドイツ語の発音は非常に似ていると思う。しかし、米語は全く発音が違う。舌を丸めてしゃべっている。不意に背筋がぞっとする。日本人には米語はしゃべれないような気がする。というよりも、発音に時間がかかりそうだ。ドイツ人が言っていたのだが、日本人は非常に早くドイツ語を習得する。米語は厳しい。
 私はアメリカを嫌いにならないように努めている。本を読むにも英語は必要であるし、大学生であれば、どこの国の人でも通じる重要な言語。日本にとって、国としても米国は最も重要である。アメリカがいたから今日の日本があるし、これからの強い日本がある。でも……。
 彼らとの交流で世界にはびこる、私の頭の中にもある偏見を少しでも変えられたらいいと思うのだが。


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