見出し画像

ドイツへ 九月九日


今日から私の一番好きな国ドイツの留学生活が始まる。
昨日緊張して眠れなかったために、朝起きたのが五時十四分。急いで準備にかかり、予定通り五時五十分神奈川県の藤沢市辻堂駅発の電車に乗り込む。二八.九キロの荷物を片手に移動に苦戦する。予想していたより電車は空いている。七時に東京駅乗換え。東京発の快速成田エアポートに乗る。
そこで事件はおきた!
JR得意の信号機故障!一つ前の六時三十分東京発エアポート成田行きが七時に着いてしまった。本来ならば六時三十分発が六両編成、七時発が九両編成の計十五両が東京に現れるはずだった。しかし、それがひとつに!一五両分の人数が六両編成に乗れるわけ無い。もちろん、人は余る。当然、乗客は乗ろうと必死である。反対側のホームに快速成田行きがあるのだが、それで成田空港に着くのは八時四六分だという。それでは九時チェックイン締め切りの私には間に合わない。
私の前に人の壁。絶対に入れない。しかも、大きな荷物持ち。諦めると、航空券も諦めなければならない。発車の時間が来た!ここで私の留学は終わるのかと!思った。
しかし、
「すみません!少しつめられませんか!?」
と大声で言ったら、中が動き始めた。チャンス!荷物を突っ込み、体を入れる。すかさず荷物を誰かの荷物の上に乗せて強引に入る。成功!助かった!ドイツに行ける!安心した。
結局空港に予定通り八時ジャストに着くことができた。チェックインをして、搭乗券をもらい、パスポートチェック、そして、搭乗へ。結構時間がかかった。もちろん、普通の快速で来ていたのなら、絶対に間に合わなかった。
さて、飛行機は窓側の席。離陸の時には窓に顔をつけて見入ってしまった。
「さらば、日本」
しばらく、この地を踏むことは無いだろう。
飛行機はさすがルフトハンザ。お金をケチらずに買った甲斐があった。快適な旅。窓側なので、景色がいい。
特にドイツに近づいていたとき、ドイツの農業地図と見比べならが、上空から畑を見ていた。これからじっくり調べるとするか。最初にしゃべったドイツ語は「Rot Wein」である。赤ワインの意味。ドイツ語は久々にしゃべるとうまくいかない。頭が固くなってきているのかもしれないが、噛みそうになる。
一五時一三分、ついにドイツへ到着。
フランクフルトの航空に着き、人の流れについていき、Pass Kontrolleに。入国チェックである。すべてがドイツ語の世界。昔日本でドイツ語を見ると異様に興奮していた。それが、今はすべてがドイツ語である。ドイツ語が通じるし、ドイツ語のアナウンス、表札、すべてがドイツ語である。ドイツ語好きな自分としてはたまらない。
荷物をとり、地下鉄に乗り、フランクフルト中央駅に到着。四時である。日本時間ではすでに夜の十一時。体が少しだるい。おそらく時差ぼけのせいであろう。
フランクフルトに一泊し、明日ゲッティンゲンに向う予定である。初日の泊まるホテルは『ホテルクリスタル』。駅から見えるくらい近いことと、日本人の受付がいるということで、ここにした。しかし、今日は日本人の受付は居らず、ドイツ人の受付と話すことに。
「先日予約した野口というものです。本日一泊したいのですが」
といい、クレジットカードで先払いを済ませ、説明を聞き、鍵をもらい部屋へ。ドイツ語での基本的な会話はもう問題が無い。相手の言うことが予想できれば、ネイティブのスピードでも聞き取れる。
部屋で熱いシャワーを浴び、いざフランクフルトの町へ。水とソーセージ、ビールを買い込む。そして、明日のゲッティンゲンの乗車券を買う。三十八ユーロは超高いけど、午前中にあっちの寮管理課のところに行かないといけないということなので、やむなくカードで買う。
初日はうまく言った。スリに会うことも無く、忘れ物も無いだろう。日本での乗り換えのほうが危険だった。早く生活基盤を確立し、ドイツの大学生として勉強できるようにしたいものだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?