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巨人の主砲岡本和真は2020年のシーズンでタイトルを獲得できるか?

苦手な春先がない今シーズンは期待値が高い

2018年のシーズンから巨人の4番に座り、昨シーズンは松井秀喜以来の2年連続30本を達成した岡本和真。しかし、春先は調子がなかなか上がらず、苦労をしていたのではないだろうか。

その原因としては、身体を大きくしたので、身体が絞れたりキレが出やすくなったりする時期までは速い球への対応に苦戦していた。守備面でも、新外国人のビヤヌエバがいたこともあり、三塁手としての調整不足のせいかバント処理のチャージが遅れることもあり、ベストコンディションでなかったことは確かだ。 さらに昨シーズンの場合は、梅雨明けするまで本格的に暑くなる季節がなかなか来ず、得意とする夏場の到来が遅れたのも痛かった。

それでも本格的に暑くなってきた8月はシーズン通して唯一の月間打率3割越えを含めた9本塁打 26打点の活躍を見せた。 

また、9月も月間成績こそ8月に比べて落としたが、同月10日のDeNAとの直接対決では今永昇太からの本塁打を含む2ホーマーを放ち、大一番で4番の重責を果たす貢献をした。この試合は9月ながらも横浜市の最高気温は33.9度を記録。試合開始時間の18時でも29度という、9月にしては暑い日の試合だったため、暑い環境に強いという岡本の特徴が見られた。

岡本は、昨シーズンも記録的な猛暑の中、8月は打率.340 8本塁打 28打点の活躍を見せていた。身体にキレが増して調子が増すのはもちろんだが、気温が上昇すればするほど空気が膨張していき空気密度は軽くなり、空気抵抗が減り、打球は比較的飛びやすくなることもあってパフォーマンスが向上していた。夏場の時期に本塁打を量産している岡本は今後も間違いなく、シーズンの勝負所となる夏場における頼もしい存在となっていくだろう。それは巨人のさらなる躍進のためにも欠かせないことだ。

そして、今シーズンは開幕が遅れていることから遅くて岡本自身が得意な夏場からの開幕もあり得る状況のため、開幕からスタートダッシュできた状態でパフォーマンスを残せる可能性がある。

今後求められるレベルは? 

今後の岡本は、坂本や丸ですら成し遂げられなかった2年連続30本塁打を記録したこともあり、長距離砲や主砲として期待値が高区なっていくのは間違いない。2018年シーズンの安定さとCSの勝負強さを兼ね備えられたら非常に頼もしい4番に育っていくのではないだろうか。相対的に見れば現在は23歳と若手の部類に入るが、かつて広島の4番を担い巨人にも在籍していた江藤智のレベルにはすでに達しつつあり、ゆくゆくは小久保裕紀のように3割40本塁打を記録する選手に成長していくことを期待している。

三塁守備ではバント処理する際のチャージには難があるが、高校時代に投手をやっていたこともあり、スローイングは上出来なものがある。その中で、今シーズンは三塁手固定案も出ているので、ほとんど一塁手として出場した昨シーズンと比較した上で、攻守において真価が問われるだろう。


また、昨年のシーズンやポストシーズンの結果を見ると、岡本が今後さらに上のレベルの選手になっていくには、どのような気温や環境においても安定したパフォーマンスを残していくことが最も求められる。2018年は、初のフルシーズンということもあり、終盤やCSでは疲れもあった上での不調だった。昨年は、身体を大きくしたが、岡本自身のベストな体型や体重ではなかったことから、身体が絞れる気温になるまでは、なかなか調子が上がらなかった。昨年のCSでは残暑や台風の影響もあったおかげかスピードボールにも対応できるぐらいの身体のキレがあり、活躍を見せられた。そして、今年はキャンプからいい感じに身体が絞れている状態のため、実戦形式から非常にいいパフォーマンスを残している。このパフォーマンスを持続できるかが、今後打者としてワンランク上の選手になれることやタイトルを獲得できるかどうかの鍵になっていくだろう。

岡本の場合は、理想的なパフォーマンスを持続していければ、打率2割6分〜3割 30本塁打の選手から打率3割を残しつつ35〜40本塁打を残すような選手になれる素材はある。また、往年の巨人のスター選手である長嶋茂雄や現監督の原辰徳のように「4番サード」でスター選手へ登り詰めていく可能性は高い。

三塁固定ではなくても、2018年は守備位置別の打撃成績として一塁手としては打率.291、左翼手としては打率.295を記録し、三塁手としても打率.480を記録している。上記で記載した通り、長嶋茂雄や原辰徳と言った巨人の往年のスター選手の路線で考えても、三塁手として今後育てていくのも一つの手段である。

その他の手段としては近年の野球のトレンドを見ても、高い水準で成績を維持していることからシカゴ・カブスのクリス・ブライアントのように三塁手を本職として守りながらも、チームの状況に応じて一塁手や外野手もこなす選手として育てていくのもいいだろう。

(参照:『セイバーメトリクスの落とし穴』第6章 監督・采配論・ポスト分業時代のユーティリティ)

さらに上手く育成することができれば、クリス・ブライアントのように3つの守備位置を守りつつ打撃でもさらなる飛躍をとげれば、巨人としては坂本勇人以来の「新しいカタチの生え抜きスター選手」を輩出できるかもしれない。


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