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FestA of PandemoniuMを振り返る

#我々は山本真央樹ではない

SEGAさんから山本真央樹さんと合作でKOPの決勝課題曲作りませんか!という打診を頂いてテンションが爆上がりしたのですが、すぐに「真央樹さんの音楽と違和感無く同居する音楽を自分に書けるのか? そもそも真央樹さんの作る音楽を自分は弾けないんだが??」という大きな壁が立ちはだかっていることに気づき冷静になりました。

助けてDylanえもん

しかし天は我に味方しました。僕がずっと続けているG.O.D.というプロジェクトにはDylan Reaveyという世界一のギタリストがいます。彼は2019年にイギリスで開催されたGuitarist Of The Year 2019で優勝した紛れもない"本物"のギタリストで、なおかつ山本真央樹さんの大ファンなのです。

「Dylan、君は真央樹さんのファンでいつもカバー動画を上げているよね。折角だからご本人とコラボレーションしてみない?」とまるで親切心から出たかのような提案をしたところ快諾してもらえました。ありがとうDylan。喜んでくれて良かった。(彼に真央樹さんと正式にコラボして欲しいとずっと思っていたのは本当です。)

SEGAさんもDylanの参戦を快諾して下さってありがとうございました。もし駄目と言われてたら曲が完成しないところでした。

どこを誰が作ったのか

大まかに言うと冒頭~1:09が真央樹さんで、そこから1:57あたりまでを僕が作って、そこから先を真央樹さんが展開させて、最後の加速部分は僕がアイデアを出したと記憶しています。

真央樹さんパートは基本的にDylanがリードギターを担当してくれて、たまに僕がハモりで参加する感じです。中盤以降は僕がメインで、ところどころハモリやかけあいでDylanが入ってきてくれています。

KOP The 3rdから受けた影響

この曲を作っていた時期にちょうどKOP The 3rdがあったので、たけるん選手VSふみの選手の決勝を間近で見ていたわけですが、Op.I《fear-TITΛN-》のコンポーザーを見て終盤にTITANIAの配置が来るという自身の読みに賭けてレバーを中央に置いたというたけるん選手の言葉が非常に印象的だったので、自分がファイナルの曲を作るのであれば絶対にDiamond Dustの配置が置ける曲にしようというのは決めていました。

また当時はApolloとLAMIAという絶対的なボス曲がプレイヤー達に立ちはだかる中、ふみの選手とけにちの選手の二人が準決勝でこの2曲のどちらを投げたかで決勝の結果に大きな影響が出たと感じています。なのでなんとなくこの2曲は僕にとっても特別感がありました。特にApolloの最後の加速は見ている側が呼吸を忘れるほどの緊張感で、大会で使用されると尚更強烈なインパクトがありました。なので自分達の曲も最後加速させようと思いました。ただ、譜面も設定されたハイスピから上がっていくとは思いませんでした。

「決勝課題初見曲」の特別性

どの機種でもそうですが、大会決勝のサプライズ課題曲には特別な意味があります。ファイナリストの勝負と共にプレイヤー達の記憶に刻まれ、そのドラマと共に思い出される存在になっていきます。つまり、披露されることによって楽曲自体に大きな意味が加わります。

そして、そんな楽曲で名勝負を生み出すために譜面制作者の方々が悩みに悩み抜いて、難しさと遊びやすさのバランスをギリギリのところで取ってらっしゃいます。となると、決勝曲は難しさと遊びやすさに繋がる要素がある楽曲に仕上げたいという想いがコンポーザーにもあります。

僕にとっては多少なりとも自分が遊んだことのある機種のための決勝曲を作るのは今回が始めてだったので、なるべく「初見だとびっくりして対処出来ないけど数回聴いて譜面を見たら理解できて、身体に入ってしまえば気持ちよく遊べる」曲を意識しながら作れたんじゃないかと思います。あ、でも最後の加速は100%純粋な意地悪で入れました。

なので「困惑と動揺を届ける」「終わった瞬間にもう一回直ぐに遊びたくなる」曲という言い方になったのでした。それを言うとオンゲキというゲームの初見はどんな曲でもそうなるんですけどね。

制作中は昨年オンゲキが立たされた苦境のことをまだ何も知らなかったのですが、いざこうして数ヶ月ぶりのオリジナル書き下ろし曲としてFestA of PandemoniuMが披露された場面に立ち会うと、楽しげで希望に満ちた曲調がこれからのオンゲキの明るい未来を示唆し、そしてRevoさんの「オンゲキは終わらせません」という力強い言葉を代弁しているようでどうにも目頭が熱くなってしまうのでした。

禍々しくて悲壮感に満ち溢れた死ぬほど速い曲にしなくて本当に良かった。

ところで最後の加速ってどうなってるの

BPMはラストに入るまで160で、最後の加速が始まるところから1小節(4拍)ごとに

160 → 170 → 180 → 190 → 200

と上がっていきます。といってもフレーズ自体が難解過ぎるので4分の4でとれと言われても無理やろ感はあります。

 BPM200になる小節のところは、曲の方は1拍ごとに

24分 > 20分 > 16分 > 12分

とフレーズ自体を減速させた(例えばチュウニズムのStrange Love終盤の減速をもっと目まぐるしくしたイメージ)ため、譜面もその通りになっています。

余談ですがDiamond Dustでも最後の地獄の混フレ地帯を抜けた直後の1小節の下降フレーズで

20分 > 16分 > 12分 > 8分

と減速させているのですが、こちらは1小節ホールドという譜面になっています。そう考えるとオンゲキの開発者の皆さんはとうとう慈悲の心を失ってしまったのかもしれません。


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