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【心理的安全性編11:構造を理解して仕組み化する】

本マガジンは心理的安全性について対話形式で解説していきます。これまでの投稿は上記に入れてあります。
 今回は、先輩で新規事業部長の健と若くして製造課長となった正輝が登場します。ある日、リモート会議で、健と正輝が久々にあいます。正輝はどうやら課長としてのマネジメントに悩みを持っているようで、健に相談を始めリモートで定期的に対話していくことになりました。健の指導で心理的安全性について学びながら自分のチーム作りを見直していきます。これまでGoogleのプロジェクト・アリストテレスについて解説し心理的安全性の意味を学びました。そこから心理的安全性向上の具体的な方法を学び、その上でチームの力を引き出すためのマネジャーとしての考え方・心構えを学んでいきます。

今回はチームメンバーの能力を引き出す上でのポイントについて、「世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法」の第6章(最終章)を参考に記載していきます。


・・・・・

◆「お仕着せの仕組み」には意味がない

👨;おはようございます。

👱🏼‍;おはよう。いよいよ今回紹介した本の終盤に入ってきたよ。今回で解説自体は最後になる。

👨;そうなのですか。ありがとうございます。今回解説していただいて、心理的安全性についてぼんやりとわかってきた気がします。心理的安全性は、もちろん仕事を楽しく・明るくしていくという意味で重要なのですが、さらに実行力を高めるということに関連しているのだとわかってきました気兼ねなく「トライアルできる」、「否定できる」、「賛成できる」環境を作れるとチームで実行できる体制が整うのですね。

👱🏼‍;そうなんだよ。“実行したいけどできない”ときって、否定派がいたり、思い切りがなかったり、そもそもそれが正しいのかって迷ってしまうんだよね。そして、失敗したときに攻められたらどうしようとかね。それを、心理的安全性を向上することによってそのハードルを下げていくというわけだ。そして、実際のアクションを実行していく。つまり、リーダーが心理的安全性を築こうするアクションを取る、見せることによってサイクルを回し始める。そのサイクルを回すこと自体でチームメンバーが心理的安全性が高まっていくという好循環を目指すべきなんだ。

👨;なるほどです。そして、実行できるような環境になってきたら、仕組み作りをしていくということですね。

👱🏼‍;そう。そこをもう少し本の最終章の内容に沿って解説していこう。

👨;なるほど、お願いします。

👱🏼‍;著者のピョートルさんは、よく「グーグルのような人事制度を導入したい」と相談されるっことがあるそうだ。そして、彼はそれは馬鹿げたことだと言っている。

👨;馬鹿げているというのは、なかなかすごい言葉を使いますね。

👱🏼‍;それだけ的外れというだろう。いくら成功モデルだとは言え、そのまま他社の仕組みを自分の会社で使ったってうまくいくわけがないよな。各会社・現場における前提条件や変数がことなるのに、同じ答えをぶつけたって回答がでるわけじゃない。それは、問題をチーム内できちんと話し合ってすり合わせた上で、どんな仕組みが必要か自分たち自身で生み出さないといけないんだ。つまり、自分たちの状況を構造化した上でどんな仕組みが適切かを考える。自分たちの状況の理解から始めるということだ。

👨;なるほど。万事共通で、トヨタ生産方式の導入や制約理論の導入でも全く同じことがいえますね。ただ、真似したって駄目に決まっている。仕組みから入ってしまっては何の解決にならないですもんね。問題から始めないといけない。

◆自動化・パターン化でチームの心理的安全性を高める

👱🏼‍;ああ。でも、これは、「仕組み作りが必要ない」っているわけではないのはわかるな。よく考えている組織ほど「仕組化=自働化・パターン化」ができているんだ。

👨;他を参考にしながら、自分たちにとって最適な仕組みを考えていけということですね。しかし、自働化・パターン化ってどういうものをイメージすればいいでしょうか?

👱🏼‍;グーグルって自働化・パターン化が大好きだそうだ。テクノロジーによるタスクの自働化はもちろんだし、社員の行動にかかわる事柄が

👨;めっちゃイメージありますね。

👱🏼‍;それだけでなく、ワンオンワンであったりOKR(後に説明)のような仕組みも誰にでおわかる簡単な仕組みになっていて、いわば「自働化・パターン化」されているという。そして、うまくいかない仕組みを改善するのも早いという。新しいサービス(例えば会計ソフト)が使いづらいとなれば、どんな理由があるか検証して、人の行動やシステムを見直すという。

👨;仕組化・修正できる能力がすごいですね。

👱🏼‍;だね。チームのプロセスやタスクをどんな風に仕組化していくかということが肝になってくるけど、その前にもう一度マネジャーの役割について整理しておこう。これが仕組みづくりを考える上で重要になる。

① 安全な「場づくり」(心理的安全性を守る)
② チームのゴール設定(会社のミッションの落とし込み)
③ パフォーマンスの評価(各人の設定した目標に対して、アウトプットを引き出す目的)
④ 人材の育成(コーチングでの人材育成)
⑤ チームの代表として動くこと(チームの評価が自分の評価)

👨:わかりました。この5つの役割を踏まえてどんな仕組みがチームに必要かを考えるということですね。

👱🏼‍:ああ、そして仕組み化へのポイントは下記のようなものがある。

 -まずは、ちゃんとしたものでなくていい。とにかくやってみる。
 -はっきりした「チームのゴール」があるから仕組みが生まれる
 -OKRで各メンバーの自発的なゴールを設定する
 -誰が達成したかみんなでシェアする
 -「報・連・相」はやりすぎるぐらいでちょうどいい
 -他のチームと接点を増やせば、「思いがけない発見」も増える
 -いまの仕事を無くしていくのがマネジャーの仕事と考える

👨:なるほど。これまでの中で話をしてもらったものが多いですが、再確認できます。

◆OKRで各メンバーの自発的なゴールを設定する

👱🏼‍:そうだ。だが、今回は上記の中でも説明していなかった一つ「OKRで各メンバーの自発的なゴールを設定する」について解説するよ。これまでの投稿とこの解説で今回紹介した本の内容はほぼ網羅したと言っていい。

👨:そうですか。最後というわけですね。

👱🏼‍:OKRというのは、Objective Key Result の略なんだけど、これは各メンバーによる自発的なゴール設定を指すんだ。良いOKRの条件を紹介しよう。

① 大局的視点に立った戦略目標を、測定可能な具体的目標と組み合わせる

② 野望を掲げる:達成度10%程度がうまく練られたOKRで、達成度100%は質の低いOKRと判断される

③ 全員実践する:社内の全員がOKRを実践し、面談で定期的に振り返る

④ OKR評価:OKRのスコアを「直接の評価」にはしないことにより、社員が正直に自分のパフォーマンスを振り返るようになる

⑤ OKRは最大インパクトをもたらす目標に絞る:業務全体を網羅しようとせず、特別力を入れるべき分野に絞ってもよい


また、OKRは「SMART」でなくてはならない。SMARTとは、目標設定時のポイントとして知られているフレームワークで、次のような意味だ・

・ S (Specific、具体的):何に取り組むのかが、だれにでもわかる
・M(Measurable 展出):数値化でき、計測できる
・A(Attainable 達成可能):頑張れば達成可能な目標を設定する(簡単すぎても、難しすぎてもいけない)
・R (Relevant 関連性);組織やチームの目標に関連している.
・T(Time-bound' ) 期限を設けて、期限までに達成する

👨:SMARTですね。

👱🏼‍:さらに加えて、OKRを運用する際には次の点に気を付ける必要がある。

① 四半期の初めに経営陣が会社のOKRを設定し、社員が自分のOKRと一致させる
② OKRはいつでもだれのものでも見られるよう開示する
③ 定期的なワン・オン・ワンで振り返ることで、習慣づける
④ 目的に応じて、評価制度との組み合わせを工夫する(たとえば、成果重視なら達成スコアを評価に反映する、姿勢重視なら取り組む姿勢を数値化し評価にプラスするなど)
⑤ 組織全体で支援し、他メンバーのOKRにもコミットする文化を醸成する

👨:いろいろありますね・・。これはKPIとは異なるのでしょうか?

👱🏼‍:基本的にOKRは、トップダウンで決められるKPIを考慮しながら四半期ごとにボトムアップで設定していくものだ。なおかつOKRは見直しや調整が前提なんだ。当然トップが設定るしているKPIと連動してくるものになってくる。「うちはこういう会社だよ。それにあなたはどういう貢献をしていく」という経営トップの問いに対する、従業員の答えがOKRというようになっていくんだ。もちろん個人レベルでなく、チームレベル、部署レベルでも決めていけるものだ。

👨:なるほど、マネジャーはそのメンバーのOKRが会社のミッションやビジョンにつながるように調整していかなければならないのですね。つまり、会社の利益のために何を達成するかというゴールから逆算して自分たちで考えるものなのですね。

👱🏼‍:その通り、つまりトップとボトムアップがぶつかる点がOKRというわけだ。これをマネジャーがきちんとする合わせる必要がある。より具体的な説明は下記のリンクにあるから見てみてくれ。(カオナビHP)

https://www.kaonavi.jp/dictionary/okr/

さてさて、今回はここで終わりだ。解説もこれで最終だけど、だいぶ心理的安全性とチームパフォーマンスを上げる方法については理解できたんじゃないか。そして、君自身の考え方も変わったのではないかい?まぁ私ももちろん勉強中の身だけどね。

👨;はい。完全に考え方が変わりました。前は傲慢な課長でしたが、心理的安全性を向上させメンバーのパフォーマンスを上げていく課長になっていきたいと思います。ありがとうございました。

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 今回は、ただ他社の真似をしても仕組みを取り入れるのは難しいこと、そして、OKRについて主に解説しました。各章の解説はこれで終わりです。お疲れさまでした。次回は、総集編ということで本書のまとめの投稿としたいと思います。そして、その後は予定通りものづくり現場でのシステム導入をテーマにした、細川義洋著「システムを「外注」した時に読む本」について新マガジンで解説していきます。ぜひ、スキ・フォローお願いいたします。

また、下記の固定記事に、このnoteのコンセプト、これまでのマガジンについて解説しています。もし興味があれば是非フォローお願いします。

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