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【心理的安全性編1:それってGoogleだからできるんでしょ?】

 今回は、心理的安全性編のマガジンの1回目になります。過去のマガジンの「ビジョナリーカンパニー」および「両利きの組織のつくり方」で経営層が考えるべき思考、組織の考え方を主に解説してきました。今回のマガジンでは、経営理念であったり組織の方向性が決まった際にそれを「実行できるチーム」をどう作っていくかということに関して、解説していきたいと思います。前回のアドラー心理学はこの心理的安全性に入るための事前準備という位置づけです。アドラー心理学の勇気づける行動で、心理的安全性は確保されていくと考えています。その上でそれをどのようにチーム力にしていくべきか、今回はそのあたりに注目して読んでいただければと思います。

 さて今回も対話形式で進めていきますが、紫耀の師匠の健先輩とアドラー編で、悪役であった正輝が登場します。健は「ビジョナリーカンパニー」と「両利きの組織のつくり方」を学び、さらにアドラー編に登場の“アドラー心理学マスターの土良(ドラ)さん”の部下であったこともある人物です。現在は工場勤務から本社に移動し、新規事業部長となっています。正輝は、若くして課長になったばかりの人物で彼は戦国武将のようなマネジメントで、「常に仏頂面。仕事は完璧で成果主義者、ロジカルだが情熱的。相手の勇気をくじく傾向がある。」という特徴を持っています。(正輝の性格については、ぜひアドラー編マガジンをご覧ください。)そんな時、リモート会議で、健と正輝が久々にあいます。正輝はどうやら課長としてのマネジメントに悩みを持っているようで、健に相談を始めます。全話入ったマガジンです。

なお、本マガジンは「世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法」を参考に記載していきます。

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◆これまでのやり方が通じない

👱🏼‍:皆さま、リモート会議お疲れさまでした。じゃ、退出しますね。では、またお願いします。

👨:ちょっとすみません。健先輩!あ、みなさんすみません。退出してもらって大丈夫です。ちょっと先輩に話したいことあるだけなんで。

👱🏼‍:お、正輝。どうした?まだ退出していなかったのか。

👨;はい。ちょっとこの後話せますか?

👱🏼‍:了解。おっけ、みんな退出したよ。どうした?さっきの会議では一言も話してなかったな。いつも自信満々のお前が珍しい。

👨:はい。今うちの課、なかなかうまくっていなくて。

👱🏼‍;おいおい、いきなり弱気だな。なにがうまくいっていないんだ?外から見ていると順風満帆だぞ?その年で課長になってるんだろ、確か36歳だよな?俺よりだいぶ早いぞ。

👨:はい。実は、周りがついてきていないというか、各工程主任と距離を感じるんです。そんな調子なので彼らの行動もよくわからないし、情報も上がってこない。成績も悪いくせに報告をしてこない。結果として、私苛立ってしまうのです。年上も年下もいるのですが・・。課長になる前に自分が主任だったころは部下の人数もそこまで多くないし、入社の時から在籍していた工程なので自分がその工程に関して一番知識がありました。だから、自分が正しいと思ったことを、自分勝手に意思決定していました。そして、部下に厳しく当たっても自分に知識があるのでゆうことも聞いてくれていました。正直プレーヤーとして活躍していればそれで皆がついてきました。しかし、今同じやり方をしていても、どんどん距離が離れていく感じがするのです。そして、今うちの課の成績は過去最低レベルになってきているんです。

👱🏼‍;なるほど。それで?

👨;どうしていいかわからないのもあるのですが、私のやり方の何が悪いかわからないのです。彼らも私の言っていることは正しいといっているし、強く言えば報告はしてきます。でも何かおかしいというか・・。とにかく報告してこないんです。成績が悪いとき相談してこないんです。なぜなのでしょうか?私は正しいことを彼らに伝えられる、アドバイスできるのに。

◆心理的安全性はグーグルだから高められる?

👱🏼‍;ロジカルに正しいことか。きっとそれは本当に正しいんだと思うな。なるほど、よくわかるよ。

👨;じゃあ、なぜなのですか!!??悪くないじゃないですか?

👱🏼‍:まぁまぁ。ところでさ、「心理的安全性」って言葉知っているかい?

👨:聞いたことはあります。グーグルが言い出したのでしたっけ?チーム作りに必要だって言っているんですよね。よくわかっていないですが、あれはIT企業のグーグルの話であって工場の私たちには関係ないというか、使えない話ですよね?

👱🏼‍;なるほど。正輝はそう思うんだな。でも、俺は違うと思う。チーム作りの原理原則は、世界共通だと思っている。そして最も重要なのは社員の「心理的安全性」だと言われているんだグーグルで実施されたプロジェクト・アリストテレスが「心理的安全性」の重要性を明らかにしたことで世界的に注目されている。そして、それはグーグルだけじゃなくて、どの組織にも適応可能なんだ。実際に日本企業もやってきたことだ。

👨;そうなのですか?というか、「心理的安全性」っていったい何なのですか?

👱🏼‍:心理的安全性とは、「自分らしさを発揮しながらチームに参画できる」という実感の事なんだ。

👨:??わかるようでわからないです。

👱🏼‍;そうだよな。誰しも「チームの一員として認められたい」という気持ちを持っているよな。簡単に言ってしまえば、その気持ちを大切にしましょうっていうことなんだ

👨;それだけですか?

👱🏼‍;そう。それだけ。そして、結果を出している世界中のチームがやっていることなんだ。君に「世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法」という本を紹介するよ。この本の著者は、グーグルのアジアパシフィックの人材育成のトップだった人だ。そこにはサイバーエージェントの例が載っていてこの本の著者は下記のことを記載している。


「日本を代表する起業家の一人であるサイバーエージェントの藤田晋さんは、自著『起業家』(幻冬舎)の中で、創業 5年目の 2003年ごろの話として、次のように語っています。「時代に逆行するように、『終身雇用を目指す』という方針を打ち出したところ、消えるかわからなかった会社がそんな言葉を使い始めたことによって、社内にさまざまな意識の変化が起きていきました。  (中略)  その頃のサイバーエージェントの社内は、黒字化し始めたことによって明るさが芽生え、もともと持っていた前向きで元気な姿を取り戻しつつありました。  そこへ『終身雇用を目指す』『長く働く人を奨励する』というメッセージは、深く届いたようでした」  本当に「終身雇用」がいまの時代にあった施策であるかどうかはともかくとして、少なくとも、「終身雇用を目指す」という方針が社員の心理的安全性を高めたことは簡単に想像ができます。「社内飲み会」を奨励した――毎月目標を達成した部署には飲み代を支給し、翌日の半休もセットにした――ことも、効果的だったそうです。  その結果、サイバーエージェントの根幹を支える理念が社内でより深く共有されるようになり、チームとしての一体感が増していったことが、ベンチャーだった同社のその後の躍進につながったのだと思います。」

👨:ここで突然サイバーエージェントがでてくるのも違和感はありますが、でも確かに終身雇用は古い考え方でも、ベンチャーだったからこそ、終身雇用で安心して入れることができる。つまり、チームの一員として認められているということを社員が感じたのでしょうね。・・・そうか、うちの課の場合、私の言動が悪いせいで主任たちがチームの一員と認められていないと感じ取ってしまっていたのかもしれない。でも、実際にメンバーが心理的安全性を高め、チームの成果に結びつけていくにはどうすればいいのでしょうか?

◆メンバーの力を引き出す

👱🏼‍;まあ、ゆっくり説明するから待ってくれ。その前に、世界的な経営思想家であるゲイリーハメル氏の下記の言葉を伝えよう。まず、彼は下記のような能力ピラミッドというフレームワークを提唱している。

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そしてこんなことを言っているんだ。

「企業が繁栄するかどうかは、あらゆる階層の社員の主体性、想像力、情熱を引き出せるかどうかにかかっている。そして、そのためには全員が自分の仕事、勤務先やその使命と精神面で強くつながっていることが欠かせない」

とね。

👨:つまり、チームメンバーの能力レベルを4、5、6と高めていくことがチームを強くしていく、実行力がありパフォーマンスが出すチームになるために大事だということでしょうか?

👱🏼‍;そうだ。つまり、チームの心理的安全性を高めることで、チームメンバーの「主体性、創造性、情熱」引き出そうということなんだ。それはイコール実行力だ。心理的安全性が低いチームはメンバーのレベルを1か2、よくて3までしか引き出せず組織としてのパフォーマンスも下がってしまうんだ。

👨:従順・・。うちの課のメンバーは、私が文句を言う従順に報告してきてアドバイスに対して勤勉に対応する。従順と勤勉はレベル1、2でパフォーマンスの低い組織の特徴なのですか。。完全に当てはまっている・・。考え方が根本から間違っているのですね・・私。。

👱🏼‍:そんなネガティブにとらえる必要はない。そうやって変わろうとしているだけで充分素晴らしいさ。いいかい、価値観が多様化している現在においては、昔のような従順に従わせているだけでは心理的安全性は高まらないし、結果成果なんて上がらないと考えられているんだ。上司はメンバーの主体性、想像力、情熱を引き出していかなければならない。

👨;どきっ。。引き出すなんてほとんど考えていませんでした。私自身が仕事が出来ていればいいと・・。

👱🏼‍;そうではないんだよ。これはすごく大事だから、さっき紹介した本に沿ってこれから定期的に勉強会しようか?そして、少しづつでいいからメンバーとの接し方を変えてチームの心理的安全性を高めてくれ。それを報告してくれ。

👨:本当ですか?ぜひお願いします。

ああ、ちなみにこの書籍は、下記の章立てになっている。

第1章 :世界共通のチームづくりのルールとは
第2章 :「愚痴」も「もめごと」もチームにとってよいこと
第3章 :チームのパフォーマンスを向上させる「良質な会話」
第4章 :一瞬、で差をつける「チーム時間」の使い方
第5章 :「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法
第6章 :劇的に生産性を上げる仕組みのつくり方

👨:ありがとうございます!

👱🏼‍;じゃ、日にち決めて朝実施しよう!

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 今回から、心理的安全性についての解説を行いました。私もプロジェクトアリストテレスの話を最初に聞いたときは目からうろこでした。しかしながら、自分の過去を振り返ってみると工場の現場マネジメントも同じことが言えたと思いましたし、工場云々は関係なく現代においてはすべての組織において通じる考え方だと感じています。アドラーの勇気づけに非常に近いところがありますが、それをどうチームパフォーマンスにしていくかという手法含めて本マガジンでは紹介していきたいと思います。今回は正輝が課長として成長していく“ものがたり”に載せて解説していきたいと思います。(誰かの過去の反省ものがたり??)今回も全12回か13回のマガジンにしたいと思っています。
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また、下記の固定記事に、このnoteのコンセプト、これまでのマガジンについて解説しています。

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