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【システム導入編14:パッケージソフトと自社の強みを融合させる】

本マガジンの過去投稿は上記に入れています。

本マガジンは、ものづくりの現場でシステム導入する場合のポイントについて解説するシステム導入編です。工場のIoT推進部に配属された清史朗は、あるプロジェクトの担当になりますがなかなかうまくいっていません。そこに新米課長の紫耀もサポートに入って指導しながら、奮闘していきます。細川義洋氏著「システムを「外注」にするときに読む本」の内容を学びながら自分の立場にでどうすべきかを考えていきます。これまで要件定義と業務フロー図の作成について、そして、発注者として責任・姿勢、そして、ベンダの選びについて学び、さらに社内のメンバーの巻き込む重要性を知りました。今回は、第6章「システム成功のための発注側とベンダの関係」の後半を解説します。主にパッケージそふとを導入する際のポイントについて解説します。

・・・・・

◆パッケージとカスタマイズの間

👶;おはようございます。

🧒;おはよう。この間も少し話したけど、パッケージソフトいれるんだっけ?

👶;はい。そうなんですよ。でも、パッケージっていってもうちの現場にはどう当てはめていいかというか、結局イレギュラーってたくさんあって、それに適応できないと結局使えないシステムになってしまいます。でも、そんなイレギュラーに対応してばっかりいたら、パッケージの意味がなくなってしまうんです。そのバランスというか、、どこで線引きをしたらいいかはちょっと悩んでいます。

🧒;そうか。6章の後半にそのことが言及されているから、そこを解説しよう。

👶;はい!お願いします。

🧒;前回の続きで、白瀬さんたちはラグビー観戦しながら、ホテルソユーズへのパッケージソフト導入について議論していくんだ。ホテルのフロント業務用パッケージはいっぱいあって、今回は一番売れているソフトを使うことにしているようだ。

👶;どんな問題があるのでしょうか?

🧒;ホテルソユーズ側にパッケージの一部の機能をやめてくれという人もいるんだって。

👶;うちの現場と一緒だ。。まあ、わからなくもないんですよね。

🧒;例えば、下記のようなやり取りがホテルソユーズで発生しているようなんだ。

メンバーA;「今度のシステムさ、うちのフロント業務もパッケージソフトでやるんだって?」

担当;「ええ。問題ありますか?」

メンバーA;「問題ってほどでもないんだけど。そのソフトさ、部屋の冷蔵庫の管理ってどうなってる?」

担当;「そこは今回、最新機能を入れます。全室の冷蔵庫をフロントのコンピュータと結んで、中の飲み物が減ったら、自動的に代金を計上できるようになります」

メンバーA;「やっぱり。……あのさあ、それ、やめられないかな?」

担当;「えっ、どうしてですか?そのほうがチェックアウト時の確認がラクですよ。お客様に冷蔵庫の飲み物を飲んだか聞きながら、裏では清掃要員が冷蔵庫の中を確認すると時間もかかるし」

メンバーA;「いや、だからさ、フロントでそんな確認しないんだよ。すべて、お客様の言葉を信じて飲み物代を請求してるんだ」

担当; 「な、なんでそんなことを。それじゃ、お客様がウソをついてたら……」

メンバーA;「多少ならダマされてもいいって考えさ」

担当;「そんなバカな!」

メンバーA;「そうやって『信頼申し上げていますよ」とお客様に伝えることで、気持ち良く帰っていただき、リピーターになっていただく。そういう考えなんだよ」

👶;なるほど、個別最適なシステム運用でなく、全体としてホテルとして何がしたいかが大事ではありますね。でも、、さっき私が言ったように、細かいところまで要望を聞いていたらパッケージを入れる意味がなくなってしまうのですよね。

🧒;そこなんだよね。美咲さんはここで、ラグビーの試合を見ながら、「攻撃パターンは競合のやり方を参考にするか」と白瀬さんに聞く。そうすると白瀬さんは、「オーストラリア、ニュージーランド、イングランド、いろんなところに遠征に言って勉強する」という。そしてこれはパッケージソフトの導入と同じなんだ。よく売れているパッケージソフトはその対象業務のIT化に成功して効果が出ている企業や組織のやり方、つまり業務プロセスを参考にしているんだ。だからさ、パッケージソフトの導入は、単にコスト削減やソフトの品質だけじゃなく、「他社のいいやり方を自分の会社に取り込む」っていう目的もあるんだ。

👶:他社のいいやり方を取り込む。つまり業務のやり方も変えるということですかね。ある意味モデルケースを真似するのに手っ取り早いのですね。

🧒:だけども、問題もある。真似することで自分たちの良いところも消してしまうことがある。現状が上手いっていることを壊したくないという発注者がパッケージ導入に反対するケースがよくある。

👶;でもそういうのはダメなんですよね。業務自体を変えていかないと。これまで考えに固執していては改善はできないですよね

🧒;いや、そうとも限らないんだ。どうしてもシステム化できない部分、しない哲学を持っている場合がある。

👶:何回も言っていますが、それではカスタマイズになってしまいパッケージ化の意味がないですよね。どうしたらいいのですかね・・。

🧒:やるべきことはもう少し前にあるんだ。業務フロー作成の時がポイントだ。

👶:あ、付箋を貼ってメモを貼っていた時ですか?

🧒;そう。業務フロー図に、現状の問題点だけじゃなくて自分たちのいいところとか残したい業務も書いて貼っておくんだ。そして、残しておきたいことが新システム導入の目的に合致するのなら何らかの形で実現することを検討する。悪いところは改善いいところは残した業務フローを書くんだ。

👶:なるほど。ということは、パッケージの選定と業務フローの検討は並行してやらなければならないということですね。

🧒;その通り、採用候補のパッケージ機能を参考に業務フローを書いて、自分たちの残したいところがパッケージで実現可能か、それとも新たに作りこむか考えながら進むんだ

👶;ということは、パッケージを買う前からベンダと相当議論しないといけないのですね。

🧒;買った後もだね。そして、業務フローが完成して、パッケージとそのカスタマイズ方針が決まったら原則そこからは何も追加しないんだ。つまり、そこでコンセンサスを得て、割り切る。じゃないとさっきの話に戻っていつまでたってもカスタマイズ要件が決まらない。

👶:なるほど。よくわかりました。しかし、結局最初の業務フローをどれだけ注力できるか、その時点で巻き込むべき人を巻き込んでAs-isであったりTo-beを作るかというのが本当に大事なのですね。肝に銘じてプロジェクトを引き続き進めていきます。手戻りする可能性大ですが、私の今のプロジェクトも業務フローについて関係者と確認したほうがいいかもしれません。

🧒:さて、6章もここで終わりにしよう。7章は情報漏洩の記載があるが今回は割愛する。というわけで、今回君に伝えたかったことはすべて伝えた。あとは、この間言った通り、この話は教科書ではなく、参考書だ。自分なりに解釈して適応していってくれ。それが君らしい進め方になっていくはずだよ。引き続き、私もサポートしていくが頑張っていこう。

👶:はい。ありがとうございます!!

・・・・・・・・・・
今回は、パッケージソフトを導入する際のポイントについて6章の後半に沿って解説しました。業務フロー時に残すもの、変えるものを明確にしておくことが肝ということですね。この本を一通り読むといかに業務フローの作成、要件定義が重要か、そしてベンダとの関係性をどう築いていくべきか参わかってきますね。さて、これで本マガジンは終了します。次回は、このマガジンのこれまで解説してきた内容のまとめをします。そして、番外編を挟んだ後に、経営編、三枝さんの「ザ・会社改造」マガジンに入っていきます。お楽しみに!

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なお、下記の固定記事に、このnoteのコンセプト、これまでのマガジンについて解説しています。

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