
アドテク業界No.1を目指す〜「ReeMo」誕生秘話と今後の戦略
みなさんこんにちは!GMOアドマーケティング公式note編集部です。
私たちGMOアドマーケティングは、インターネットを通じて生活者、メディア、広告主、関わるすべての人が豊かになる世界を目指し、さまざまな事業を展開しています。
今回のnoteでは、私たちが提供する自社サービス「ReeMo(リーモ)」についてご紹介します。事業責任者をお呼びして、これまで語られなかった「ReeMo」誕生秘話からここでしか聞けない開発の裏話までたっぷり語っていただきました!
今回お話を聞いたメンバー
【プロフィール】
田口 雅光(たぐち まさみつ) (写真左)
アドプラットフォーム部 部長
2007年、GMOアドマーケティング新卒入社。現在は、広告主向けサービス「AkaNe」「ReeMo」の事業責任者をつとめる。
平木 将司(ひらき まさし) (写真右)
アドプラットフォーム部 リーダー
2017年、GMOアドマーケティング新卒入社。入社後一貫して「AkaNe」「ReeMo」などGMOアドマーケティングが自社開発しているサービスの販売戦略策定や開発ディレクションをおこなう。
「ReeMo(リーモ)」について
ーまずはじめに「ReeMo(リーモ)」がどんなサービスか教えていただけますか?
平木:「ReeMo」は、Webメディアにオークション形式で広告を配信するサービスになります。アドテクノロジー業界ではよく出てくる名称ですが「DSP」と呼ばれる広告配信プラットフォームの1つです。
「DSP」とは「Demand-Side Platform」の略で、広告主の広告効果を最大化するためのプラットフォームを指します。「RTB(Real Time Bidding)」というプロトコルを用いて、リアルタイムにオークション形式で広告を配信する仕組みを用いています。
ーサービス名にはどんな由来や想いがあるのでしょうか?
田口:Resonate(共鳴を起こす) eMotion(感情)を組み合わせて「ReeMo」という名前をつけました。広告主のWebプロモーション施策において、一方的にメッセージを届けるのではなく、「コンテンツを通じてユーザーの共感を呼び起こしたい」という想いを込めています。
ー「ReeMo」のおもな特徴について教えていただけますか?
田口:はい!「ReeMo」のおもな特徴は、こちらの2点です。
①広告(コンテンツ)に興味を持つ可能性が高い人に配信
インフィード広告の特性を活かしつつ、さまざまなユーザーの興味関心を分析し、ユーザーが欲しているであろう広告案件を予測し、配信する仕組みを持っています。
②Cookieが使えない世界にいち早く対応した配信ロジックを持つ
Cookie(3rd Party Cookie)のみに頼らず、ユーザーが読んでいるコンテンツ情報などを用いて配信する広告を機械学習で最適化する広告配信ロジックを持っています。
「ReeMo」の紹介動画もあるのでぜひご覧ください!
平木:最近では、インターネットの世界が普及するに連れ、個人情報の保護が重要視されるようになりました。その流れで、Cookie(※)の規制もかかりはじめています。「ReeMo」は、Cookieが使えなくなる時代にあわせて、ユーザーが"いま"読んでいるコンテンツの内容をターゲティングし、広告を配信しているのも特徴です。
(※)Cookieとは、Webサイトの訪問者情報をブラウザに一時的に保存するための仕組み。主にWEBサービスがユーザを識別するために利用される。
ーCookieが使えなくなるとどのような影響が生じるのでしょうか?
田口:これまではCookieを使うことで、さまざまなデータを取得し、そのデータをもとに広告を配信することができました。たとえば、「ユーザーがどんなサイトを訪れて、何に興味関心があるか?」というデータはもちろん、「年齢」「性別」「居住地域」など、デモグラフィック属性を取得することもできました。
しかし、Cookieが使えなくなるとこれらのデータを取得できず、「ユーザーがどんなことに興味関心を持っているのか」を推測することが難しくなります。
平木:これまでデータをもとにターゲティングの精度をあげていたのでCookieの規制がかかると知ったときは焦りましたね(笑)。ターゲティングの質を下げないために何をしたら良いか海外のドキュメントや議論を追ったり、開発メンバーと相談した結果「コンテンツ内容のターゲティング(コンテンツ解析)」に辿り着きました。
「ReeMo」はユーザーの個人情報を使わなくても「アウトドア好きであれば自動車に興味を持つ可能性が高い」など、ユーザーの属性を解析しながら配信します。「どの広告を、どんなコンテンツを読んでいる人に届けると、より興味を持ってもらえるか」人間の頭と機械学習の両軸で突き詰めています。
新サービス誕生の裏側
ー「ReeMo」がリリースされたのはいつですか?
田口:「ReeMo」がリリースされたのは2018年2月です。今年で4年目になるサービスですね。リリース当初は、オウンドメディアやタイアップ記事などのコンテンツ集客に特化した広告配信プラットフォームとしてリリースしました。
ー「ReeMo」を開発することになったキッカケについて教えてください
田口:2016年9月に開催された「ad:tech tokyo 2016」というマーケティングカンファレンスにブース出展をしていた際、Googleのご担当者様から「パートナーシップを結びませんか?」とお声がけいただいたことがきっかけです。当時、「ReeMo」の姉妹サービスである「AkaNe(アカネ)」(※1)が急成長していた時期で、GMOブースでもメインサービスとして大々的にアピールをしていました。Googleもちょうどインフィード(※2)領域での事業拡大を模索していたタイミングだったため、目に止まったんだと思います。
うちとしても嬉しいお声がけだったのですが、Googleと接続する場合「広告の配信先であるメディアのことを考えると、リアルタイムでの広告配信が有効なため、アドネットワークではなく、RTB方式で接続した方が良い」という話しになったんです。
(※1)AkaNe(アカネ)とは、GMOアドマーケティングが自社開発したインフィード特化のスマートフォン向けアドネットワークサービス
(※2)インフィードとは、フィード(ニュース記事の一覧など)の内部に広告を表示してサイトの収益とユーザー体験を向上させる広告表示フォーマット
ーそうだったんですね、どのように解決されたんですか?
田口:「AkaNe」にRTB機能をもたせるか、新たにRTB機能を用いた新サービスを開発するか、2択でかなり迷いましたね。開発メンバーやチームメンバーとも毎日話し合いました。
いろいろ考えた結果、「AkaNe」に新たな機能を増やす方が難易度が高く、新サービスをイチから作った方が進めやすいという結論に至り、「ReeMo」を開発することになったんです。
ー開発からリリースまでどのくらいの時間がかかりましたか?
田口:新サービスを開発するとなってから配信テストにいたるまでの過程は1年以上かかりました。GMOアドマーケティングの開発責任者を含めたエンジニアはもちろん、GMOインターネットグループの次世代システム研究室(※)にも協力いただき、開発を進めていきました。
(※)次世代システム研究室とは、GMOインターネットグループの事業領域で力を入れているグループ横断プロジェクトにおいて技術・開発・解析などあらゆる側面で支援する部署。
平木:管理画面もゼロイチで開発し、お客さまや同業界の方々にたくさんヒアリングしてましたよね。現在もですが、私たちはサービスを開発するにあたり、使い勝手の良い管理画面を構築することにとてもこだわっています。
世の中で求められている広告
ー「ReeMo」がリリースされてすぐのお話をお聞かせいただけますか?
田口:はい。「ReeMo」は2018年に無事リリースできたのですが、誕生してから2年ほどは売上が伸びず、とても苦労しました。
会社としても「ReeMo」に懸ける想いが強かったので、このままではまずいと思い、サービスを成長させるために平木に協力を依頼しました(笑)!
平木:懐かしいですね(笑)。
急に渡部社長と田口さんに呼ばれて「平木できるよね?」って(笑)。「とりあえずやってみます!」と返事してからは「ReeMo」をどう成長させていくか毎日夜遅くまで考えていました。
ー当時、売上が伸びなかった理由として、どのような課題があったんですか?
平木:当時は、「ReeMo」の特徴でもある「コンテンツ特化型」という点にこだわりすぎて、売上が二の次になっていたと思います。
もちろん、求めているユーザーに良質なコンテンツを届けることは大切なんですけど、そこに囚われ過ぎて定量的な分析や広告主のニーズに正確に応えることができていなかったと思います。
ー売上を伸ばすためにどのような行動をされたんですか?
田口:平木が一緒に動いてくれるようになったタイミングで、開発の優先度を一気に見直すようになりました。これまでコンテンツのみにこだわった開発に時間を割いていましたが、売上を伸ばすことに特化した開発の優先度を上げるように方針転換しました。
ダイレクトレスポンス型の広告主にも喜んでいただけるよう、CPA最適化ロジックに関連する開発の優先度を一気にあげましたね。
平木:私自身もはじめは「世の中で求められてるものはコンテンツ広告だ」と思っていました。ですが、ユーザーにただ「おもしろい!」「タメになる!」と思ってもらえればいいだけでなく、費用対効果を最大化し、広告主にも「お金を出す価値がある」と思っていただかなければなりません。
広告主、ユーザー、メディアが求める広告、そしてGMOアドマーケティングの事業成長、とあらゆる側面を考えたときに「現時点で優先すべきことはコンテンツ広告ではない」と方針転換しました。
時代を先取りしたサービスへ
ー現在、インターネット広告業界における「ReeMo」はどのくらいの規模・ポジションに位置していますか?
田口:インフィード形式のDSP・RTBでは国内トップクラスの規模まで成長しました。 まだまだ業界No.1とは言えませんが、国内市場だけを見ると絶対王者がいない業界でもあります。
平木:インフィードと「ReeMo」ならではの強みを掛け合わせて、No.1を狙っていきたいと考えています。今は日本語Webメディアのコンテンツ解析に力を入れていますが、他にも技術トレンドの変化に対応し、広告主・広告代理店のみなさんが抱える課題を解決する機能を模索し続けたいと考えています。
ー今、「ReeMo」が抱えている課題はありますか?
田口:インターネット広告の費用対効果が明確なため、広告を出す上で「いかに購入につながっているか」をシビアに判断する広告主が多いという課題が昔からあります。
今後の目標でもありますが、購入以外にも態度変容を促すためのリード獲得など、さまざまな指標の広告として利用されるようになりたいですね。
平木:現在はまだまだ「興味関心の最大公約数が大きい=万人が一定数の興味を持つ広告」の配信ボリュームが大きいです。本当はユーザの数だけ広告のパターンが存在すると思いますが、まだまだコンテンツを解析し、そういった尖ったターゲティングで広告を配信するには至っていません。
コンテンツマッチ広告が Cookieの完全な代替になるのは難しいですが、新しい角度からユーザーとコンテンツのマッチパターンを増やしていかなければと考えています。
ーサービスを開発する際に気をつけているポイントを教えてください
平木:売上目標を達成しつつ、理想とトレンドに適したプロダクトに育てるための均衡は常に意識しています。要件がたくさんあるので、優先して開発すべきこと、管理画面ではくBIツール(※)などで可視化すべきことなどを適切に振り分けるように心がけています。事業サイドと開発サイド両方の視点が求められますね。
ときには「いまやるのがベストではない。代替機能で実現できる。プロダクトのビジョンと合わない。」などの理由で開発要望をお断りすることもありました。そういった正直なフィードバックも忖度なく言い合えるような社風があることは、プロダクトを成長させる環境としてすごく助かっています。
(※)BIツールとは、企業が持つさまざまなデータを分析・見える化して、経営や業務に役立てるソフトウェアのこと
ー「ReeMo」の特徴であるコンテンツ解析は、具体的にどんなターゲティングが可能なのでしょうか?
平木:たとえば犬を飼ってるユーザーに対して「ドッグフード」の広告を配信したいという要望があるとします。多くの場合、Cookieの情報をもとにユーザーの行動履歴をたどり、広告を配信していますが「ReeMo」の場合はCookieから得られる情報のみにとらわれません。
「おすすめドッグフード10選」「はじめてワンちゃんを飼う方へ」など、犬を飼ってるユーザーが読むであろうコンテンツを探し出し広告を配信することが可能です。
このコンテンツ解析にはかなりこだわっていて、とくに「ReeMo」の場合は日本語に特化している分、国内でもトップクラスにきめ細やかな解析ができていると思います。
ーこれまでの開発タスクの中で特に大変だったことはなんですか?
田口:たくさんありますが、やはり解析機能ですかね。先ほどお伝えしたドッグフードの事例は一見、簡単そうに聞こえるかもしれません(笑)。しかし、実際は本当に大変で……。
コンテンツに表現されている文字だけを取得して判定しようとすると想定とは異なるコンテンツやユーザーに配信されてしまうことがあります。
平木:よくある事例としてペット関連のコンテンツに広告を配信したいのに、「犬系男子」「猫を被った女性」などを分類してしまうことがありました。「犬」とか「猫」というワードが入っていても全く意味が異なりますよね(笑)。新しい言葉や流行りのワードが次から次へと出てくるので正確に解析するにはかなり高度な技術が必要なんです。精度をあげていくために日々学びながら細かい調整をおこなっています。
成長の先に見えるもの
ーお二人の「ReeMo」への想いを教えてください
田口:「ReeMo」はまだまだ成長・拡張する余地があります。サービスとしても市場的にも成長させがいがあります。Header Bidding(※)環境でのオークション勝率向上など、競合優位性をもっと突き詰めていく必要があると考えています。今後も自分自身の成長とともに「ReeMo」と一緒に成長していけると思うと楽しみですね。
平木:私は「ReeMo」の企画から関わっていたわけではないですが、プロダクトマネージャーというポジションが確立されてはじめて任されたサービスでもあります。1割程しか開発できていないところで任せてもらったので、これからもっと良い子に育てていけることにワクワクしています。
プロダクトマネージャーとして自分で初めて育てはじめたサービスなので、我が子のように想って愛情を注いでいます(笑)。
(※)Header Biddingとは、複数のSSPやアドエクスチェンジ等が、同時に広告リクエストを受け取るようにする仕組みのこと。これによりWEBメディアは同時に複数の広告入札を比較し価格が高い広告を掲載できるため、広告収益の向上につながりやすくなる。
ー「ReeMo」の今後の展望についてお聞かせいただけますか?
田口:「ReeMo」をご利用いただくお客さまの業種を増やしていきたいと考えています。そのためにはコンテンツの解析精度を上げることや、配信メニューの拡充を進めていく必要があります。直近では、動画メニューも拡大予定です。
平木:広告の種類を増やし、さらにコンテンツ解析の精度を上げていくことができれば、より多くのユーザーにマッチした広告を届けることが可能だと考えています。インフィード広告はユーザーの記事閲覧行動を邪魔しづらい特性を持ちますが、そこに加えて「何これ、ちょっと読んでみたい!」という広告を増やしていきたいです。
それができれば、もっと多くのユーザーに広告を自然と受け入れてもらえる日が来るはずです。そのために「ReeMo」を成長させていきたいですね。
ーアドプラットフォーム部が目指す今後の事業戦略についても教えていただけますか?
平木:最近は「ユーザーが当たり前のようにWebを見る時代はいつまで続くのだろうか?」と考えています。広告を出せる画面はスマホやPCのみではありません。ユーザーが集まる、ありとあらゆる場所に「ReeMo」を介して広告を出していきたいですね。
何かの対価として広告を見なくてはならないという状況から技術の発展で脱却したいと考えています。広告をより受け入れられる状態を目指していきたいです。
ーさいごに、お二人が感じるアドテクノロジーのおもしろさについて教えてください!
田口:アドテクノロジーは何年経っても飽きないですね、飽きないからおもしろい!テクノロジーの進化に応じて自分たちのやるべきことを変えて行く必要があります。勉強はあまり得意な方ではないですが、ビジネスとしてサービスをよりよく成長させるのが好きなのでアドテクノロジーのスピード感はおもしろいなと感じます。
また、サービスを成長させることで市場も成長、そして自分自身の成長にも繋がっていると実感できるので、そんな環境に身を置けていることがとてもいい刺激になっています。
平木:アドテクノロジーは、変化の幅が大きいことがおもしろいポイントです。業界的にもアドテクノロジーの分野はGMOアドマーケティングのみならず、学んでいくことにオープンな雰囲気があると感じています。
各社いろんな情報を発信して競合同士でも「みんなで成長していこう!」というシェア文化が業界全体にあるなと感じています。フラットな環境でみんなで切磋琢磨しながら市場を成長させるおもしろさがありますね。
最先端のテクノロジー技術を取り入れながら学ぶ市場的なインセンティブを得ることができることも、やりがいやおもしろさに繋がっていると思います。今後も「ReeMo」を介して新しい技術にどんどん挑戦していきたいです。
🔵 ReeMoに関するお問い合わせはこちら
最後までお読みいただきありがとうございました。
今回はGMOアドマーケティング アドプラットフォーム部 田口さん、平木さんにお話を伺いました。
次回もGMOアドマーケティングの事業やサービスに関するnoteをお届けしますのでお楽しみに!記事のハートで応援よろしくお願いします。
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