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What’s your endgame?(あなたのエンドゲームは何か?)

私は、京都の認定NPO法人グローカルセンターで遊びながら働く行元沙弥です。好奇心と行動力があり、それ以外は助けてもらって生きています。
好きなことばは「逆は真なり」です。

ーWhat’s your endgame?(あなたのエンドゲームは何か?)

この問い。

この記事をことあるごとに読み返しながらも、日常では深く向き合うことができずにいました。

非営利団体のリーダーは「どのように組織をスケールアップさせるのか?」ではなく、もっと根本的な問いと向き合うときが来ているのだ。今こそ考えてほしい問いとは、「What’s your endgame?(あなたのエンドゲームは何か?)」である。

https://ssir-j.org/endgame/

以下、引用と私の記述がごっちゃにならないように気を付けながら自分の整理のために綴ります。

冒頭事例として挙げられるレシプロシティ財団はニューヨーク市でホームレスの若者たちの支援に取り組んでいます。

ー多くの非営利団体の例にもれず、比較的少数の人々に対して深く大きなインパクトをもたらそうと、懸命な努力を続けている。設立者らの信念は、90人の若者の生活を根底から長く変えるほうが、何千人もの若者を相手にしたうわべだけの取り組みより有意義である、というものだ。

こうして、規模とインパクトの直接的な関係に疑問を投げかけ、非営利団体には自らの「エンドゲーム」を明確に定め、それに向けて戦略を考える必要があると主張しています。

2024のチャレンジ。

まず現在、GLOCAL CENTERでは2024年春から、関西大学馬場先生のクラスでインパクト加重会計を学ぶ学生・大学院生の最高なチームとの協働で、定量的な数値だけでは測れない、生み出してきたインパクトの見える化、言語化にトライしています。

内閣府で休眠預金の活用が議論され始めたころ、ロジックモデル策定のワークショップに私と当時総務担当だった林さんとともに出席。プログラムを監修されていた馬場先生と五十嵐さんとの出会いがきっかけです
2024年春学期の講義「意味は、価値に先立つ」これが私のまとめです

私とトニーで組織を代表してこのプロジェクトを進めています。とりわけ2020~2023年に実施した3カ年の高校生向けプログラムがもたらしたインパクト、企業研修や学生×企業のプロジェクト事例にフォーカスしながら進めています。

無理に参加者を延べ人数にしなくてもいい。1000人の学生に〇〇しました、ではなく毎年平均20名のプログラムにきてくれた参加学生と手触りをもって関係を大切に築いて、社会のレバレッジポイント見据えて社会システムを変革し続けたい。10人がその周りの10人に話して、またその10人が話したくなるような活動で1000人にしていきたい。

学生からの問いで私たち自身も大切なことが明確になったり、活動の棚卸ができとても感謝しています。年度末に形にすることを目指している「インパクトレポート」の作成にあたり、なんのために作成するのか?というところから聴いていただけることで、走り続けてきた毎日ですがそもそもを見つめる時間や、原点の2013年からの活動の振り返りや、今の私たちにぴったりな言葉の模索、俯瞰したり遠くを見つめる時間を持てています。

記事の内容に戻ります。

NPOが成長の際に直面するかべ

非営利団体が成長する際に直面する「ソーシャル・キャピタル・キャズム(社会的資本の障壁)」の主な原因は以下の4つとされています:

1.所有権と株式の欠如:
・非営利団体は株式報酬を提供できないため、優秀な人材の獲得が難しい。
・成長の際の金銭的インセンティブが乏しいため、組織や設立者にとって成長への動機付けが不足している。

2.資金調達とサービスの非整合性:
・商業的成功と社会的インパクトの両立が困難であり、収益性と社会的価値のバランスを取ることが難しい。
・収益性が低い社会的なプロダクトやサービスが、市場での成功を保証しない場合が多い。

3.成長投資に対するバイアス:
・大規模な非営利団体は効率性が低いとされ、小規模な団体への支援が優先される傾向がある。
・資金提供者が直接的なプログラムに投資することが多く、組織の内部資本や経営能力への投資が不足している。

4.助成金のゆがんだ資金提供構造:
・助成金が短期的なプログラムよりも長期的なミッションに対して好まれることが多い。
・非営利団体は多様な資金調達の努力を強いられ、組織の成長を阻害する資源の浪費が起きやすい。

全文は記事を参照してください

これらの要因が合わさり、非営利団体が成長やスケールアップを困難にしているとされています。だからかと納得してる場合じゃないのですがとても共感できます。

以下、2資金調達とサービスの非整合性3成長投資に対するバイアスについて特筆したいと思います。

✒2資金調達とサービスの非整合性について

今の私にとっては特に、2資金調達とサービスの非整合性がむずかしいです。この点についてはソーシャルセクターのみならず、既存の組織の中で、社会性や公共性が高く、評価基準に当てはまらない未来軸のダイナミックな取り組みや新規事業や構想の部分で、よく起こっているような気がします。

いかがでしょうか?

ここで一旦、某大学のベンチャーキャピタルで新たな技術に投資を担当しているマネージャの友人Sくんからのフィードバックを紹介します。

NPOに大企業のCSRの予算が流れない理由その1

"NPOに大企業のCSR予算が流れない理由は色々ありそうやけど大きな要因のひとつはcredibilityかな、その点で大企業がオープンイノベーションでcredibilityの低いスタートアップと組み始めている(でもまだまだ難しい)流れがNPOにも来るとよいね、参考にはなりそう。"

”スタートアップのcredibilityは資金調達額で一定程度代替可能やけどNPOの場合はなかなかそれに代わるものがないね、とすると何やろ広報とかかな ・・・(続)"

@その2なども募集中です

✒3成長投資に対するバイアスについて

ー近頃は、大規模な非営利団体は肥大したお役所のようだと揶揄されることが増えており(それが正確なこともあるが)、小規模な非営利団体への支援が好まれるようになった。大規模な非営利団体(たとえば年間収益が5,000万ドル以上)は、リソース配分が非効率だという批判もよく耳にする。その影響もあってソーシャルセクターでは、組織が資本の85%かそれ以上を、運営費(間接費とも言う)ではなくプログラム向けの資金として投入すべきだという通念が一般化してきた。この通念が、組織の成長の足かせとなっている。なぜなら、組織の構造やプロセスや経営能力へ投資することで、組織は成長できるからだ。ところが資金提供者たちが支援するのは、直接的なインパクトを即時に達成できるプログラムばかりだ。資金を提供する側のそうしたバイアスがソーシャルセクターを不安定にし、組織の拡大を妨げているという声がさまざまな専門家から上がっている7。

7 Ann Goggins Gregory and Don Howard, “The Nonprofit Starvation Cycle,” Stanford Social Innovation Review, Fall 2009.

まさにここは強調しておきたい点で、GLOCALは事業型NPOとしても価値を提供して対等なパートナーになっていきたいので、直接的なインパクトを達成できるプログラム、事業連携はどんどん伸ばしたい。そして本当に有難い。その上で、同時に、組織基盤の強化は命題で、スタッフが「NPOで働く」という選択を、ライフステージが変わるまでのものに絶対にしたくない。

財団は設立して日が浅い非営利団体に資金を提供することが多く、成長の後半段階に入った組織を支援する動機はまったくといっていいほどない。たとえその気があったとしても、ほとんどの財団にはそれに足るだけの資金力がない。実際、1970~2003年の間に年間収益が5,000万ドルを突破した144の非営利団体のうち、財団が主要な資金提供者となっていたのはたった2団体だった。144団体の3分の1は収益事業を、3分の1は政府や自治体からの支援を主な資金源としていた3。

3 William Foster and Gail Fine, “How Nonprofits Get Really Big,” Stanford Social Innovation Review, Spring 2007.

ちなみに記事では、

  • スタートアップ(50万ドル未満)

  • コンセプト実証(50万~200万ドル)

  • 成長初期(200万~500万ドル)

  • 飛躍期(500万~1,000万ドル)

  • フルスケール(1,000万ドル以上)

そのあとのロードマップとして6つのエンドゲームが示されているのですが、まず規模感からして、日本とは異なります。内閣府特定非営利活動法人に対する実態調査(R5年)をみると、【収益規模~100万円、~500万円、~1000万円、~5000万円、~1億円、それ以上】という規模間で、区分は異なります。

https://www.npo-homepage.go.jp/uploads/R5_houjin_report.pdf  P.28より

本当の意味でGLOCALのスタッフ自身がこの組織で、長期的な視点を持つことができる安心できる環境づくりができるかが、日本でNPOで働くをスタンダードにする文化を日本でつくっていけるかどうかの解になる。行動していくしかないし、このメンバーだったらできると心から信じている。

Credibilityを高めるために

そんな大きなことを眺めながら、日々の関係構築やレポート。ていねいに、地道な1歩を重ねていくしかない。スタッフが健やかであること。発信・やることとしては、やっぱり、インパクトレポートだな!!!!と。

京都という場所で活動をさせていただきながら、ここでの知見を全国、世界にもフラットに広げていきたい。これは組織の拡大という意味ではなく、このidea(考え方)まちを巻き込んだ人材育成のしくみそのもののスケールを指していて、正直、新卒採用や定着、分野と世代を超えた専門がまたがる長い時間軸での新規事業のアイディエーション、VISION メイキングなどなど、全部所属も地域も文化も超えて一緒になってひとつの器にできると私は信じています。

どこからお金をもらうのか、お金の種類*について(*寄附、委託、自主事業、助成金、リスクが取りやすいお金、リスクを取れないお金など、ここはプロにもっと教えてもらいながら観察しつつ)大企業や中小企業の現状や立場にも立ちながら、軽やかに境目をなくしていきたい。

(・・・このあたり、行元までDMかお会いした時にフィードバックぜひお願いします。)

また記事の引用に戻ります。

いよいよ本題です。

あなたが最終的に叶えたいビジョンに、今の努力は本当につながっているか―?インパクトを実現するために、組織の規模を拡大すべきだと考えるリーダーたちは多いが、必ずしもそれが最適解になるとは限らない。この記事では、インパクトを最大化するための組織と事業の形を「エンドゲーム」と呼び、それには多様な選択肢があるといいます。ここでは、数多くの事例から導かれた6つのエンドゲーム(※以下の図を参照)を提案し、組織と事業の目指すべき姿を見つけるための指針が示されています。

https://ssir-j.org/endgame/

今の私は【①オープンソース化5割②レプリケーション3割③行政施策への導入2割】が理想ではないかな?と思っています。

スタッフのみんなどう思う?まず1つに選ぶとしたら理想は①

2021-2023で行った国際プログラムや、今からはじまるイニシアティブプログラムは②でここをとことんがんばりながら、①に近づけていくみたいな?
けど②に④もめっちゃ絡んでいるから④もいるかな。増えてる

ということで今は②に着手していたり、③の割合が多いです。

前述したとおり、規模感からして、日本は異なるのですが図のみ再掲します。

https://www.npo-homepage.go.jp/uploads/R5_houjin_report.pdf  P.28より

現状GLOCALは収益規模5000万円強、2030年までに1億円をめざしています。それもスタッフの数は変えずに。運営形態を多様にして、チームをたくさんつくって真のコラボで組織運営を継続しつつ、大きくしたいというよりはNPOの業界全体に流れる人やお金を生み出していきたいという気持ちが強いです。ーNPOで働くをもっとスタンダードに。

エンドゲームについて熟考することは、インパクトを最大化する道筋をつけるのに役立つし、組織の成長にばかり目がいってしまうことも防げる。

GLOCAL CENTERのエコシステム、プラットフォームで日々人が出会い、新たな縁が生まれ。組織人や学生としての肩書ではなく、個人としての自立的な意志ある活動を通じた、日常的な縁や出会いが着想となり組織基盤、組織の方向性、あり方を揺り動かしていく先に、大きなインパクトを生んでいく。インパクトを生むことは、財政規模を拡大することと同義ではない。とはいえ、非営利団体が軸となる能力を開発するためには、最低限の資金が必要である。

大きく寄付型のNPO、事業型のNPOがありうちは事業型が主で走ってきたけれど寄附を強化してハイブリッドにしたい。

この文章も、まだまだアップデートができそう。「コンヴィヴィアル(convivial)」自立共生というキーワードも入れたい。

資金提供を決めるプロセスでは、各組織に「あなたのエンドゲームは何か?」と明確に尋ねるべきだ。その情報があれば、組織が(たとえば)商業化やレプリケーションへと舵を切るべきときはいつかをもっと簡単に見極められる。

組織の規模とインパクトの大きさは必ずしも同じではない。

非営利団体の目標は、ひたすら予算規模を拡大することでも、活動範囲を広げることでもない。真の目的は社会的インパクトの達成だ。非営利団体が見据えるエンドゲームを詳しく分析することは、非営利セクターがインパクトを最大化させたあとの次のステージを描くということである。だからこそ、非営利団体のリーダーたちは早い段階でエンドゲームを明確に定義する必要があるし、資金提供者たちはそのエンドゲームに到達するために手を貸す必要がある。

2024年6月、代表理事3期目に突入しました。

みなさん、手を貸してください!
改めましてよろしくお願いします。

代表就任1505日目 7月15日
行元 沙弥

遠くにあるもの
💚
7/10 初の試みスナックGLOCAL ありがとうございました!
🌐



追記)

今週、メンバーや関係者との大切な打ち合わせがいくつかあるので、私の頭の中のスナップショットを書き留めました。この夏はめっちゃ遊ぶので、今日は私の頭の中を海の日にしました。

参加者が、インターン生となり、活躍して多くの大人や学生の心を動かしている。インターン生の働き、学生の視点に私や私たちは日々助けられている。これをどう評価しはかればいいのだろう?これほど意味ある、嬉しいことはない。10年におよぶ講義のまとめを根気強く一緒にしてくれているインターン生のMちゃんこの場をかりてまじでありがとう。後になればなるほど意味があることをしていきたい。

現在何らかのプロジェクトでチームになってくださっている連携先の方、学生、理事の皆さんに向けて、という意味合いもこめて届くといいなと思います。イベントへの参加というひとつのアクション、隣にいる人の話を聴くという大きな勇気になること。話しかけてみるという大きな1歩。イメージではなくリアリティを持って理解し合うこと。共感の寄附により認定NPO法人という形態が継続される意味、1つのプロジェクトや活動が、何につながっているのか。何に繋がっていくのか。

ものがあふれる時代、成長の在り方が問われる時代、GLOCALは皆さんと一緒に意味あるものを価値にして、風通しの良い社会を創っていきたい。

NPOをつくりたい、NPOで働きたいと言ってくれた高校生がいて。現状の日本を見たとき、10年を超えた私たちだからこそ、もう少しやれることがありそう。おいで、って自信を持って言えるように変えていく。

この1年は、この問いを意識して向き合う時間をメンバーと取りながらも、目の前の「今」を生きたいと思います。

ーあなたのエンドゲームはなにか?


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